エッジとコンテナを軸に次世代ビジネスを顧客と共創
――SUSE日本法人新執行役員社長に聞く!

Linuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise」のプロバイダーとして、ドイツに設立され、ミッションクリティカルな基幹システムへのLinuxの普及を牽引してきたSUSE社。近年では、2020年にKubernetesベースのコンテナ管理プラットフォーム「Rancher Labs」を、2021年にはコンテナセキュリティツールの「NeuVector」を買収するなど、新しい展開に向けて活発な動きを示している。そうしたSUSEの日本における事業戦略について、2022年3月にSUSE日本法人(SUSEソフトウエアソリューションズジャパン/以下、SUSEジャパン)の執行役員社長に就任した飯尾 光國氏に話を聞く。
SUSEソフトウエアソリューションズジャパン株式会社
執行役社長
飯尾 光國氏

SUSEソフトウエアソリューションズジャパン株式会社
執行役社長
飯尾 光國氏

略歴:IT 業界で30 年間の経験を有し、オラクル、テラデータ、インフォアなどのグローバルカンパニーで日本での事業を統括する要職を歴任。SUSEソフトウェアソリューションジャパンへの入社直前の4年間はインフォアの日本法人で代表取締役社長を務めていた。

エンタープライズLinuxだけがSUSEの魅力にあらず

――まずはSUSEジャパンの社長になられた理由についてお聞きします。SUSEのどの辺りに魅力と可能性を感じたのでしょうか。

飯尾氏(以下、敬称略):IT業界に属す方ならばSUSEのことはご存じでしょう。ただし、「SUSE Linux Enterprise」のことは知っていても、それ以外のSUSEのプロダクトや事業についてあまりご存じではない方が多いのではないでしょうか。

実を言えば、私も以前は「SUSE=エンタープライズLinuxのディスパリビューター」といった程度の認識しかありませんでした。もちろん、エンタープライズLinux(SUSE Linux Enterprise Server)のビジネスは、SUSEにおける中核の事業で、今日もなお成長を続けています。ただし、SUSEが力を注いでいるのはビジネスクリティカルなエンタープライズLinuxの事業だけではありません。相互に関連する3つの製品ファミリーを有しています。ビジネスクリティカルなLinux、エンタープライズコンテナ管理、Edgeです。

Kubernetesによるエンタープライズコンテナ運用管理を容易にする「SUSE Rancher」そしてコンテナセキュリティのソリューション「NeuVector」を買収し、プロダクトポートフォリオに組み入れ、オープンソースソフトウェア(OSS)によるデータセンターやエッジの変革、ひいては新しいビジネスモデルの創出に取り組んでいます。

お客様はSUSE RancherとSUSE NeuVectorの組み合わせにより、ハイブリッドクラウドアプリケーションのセキュリティを確保し、アプリケーションを変換することができます。

安定したLinuxのビジネスを維持しながら、パートナー、お客様、オープンソースコミュニティのためにイノベーションを促進する新しいITソリューションの創出に挑むSUSEに魅力と可能を感じました。

製品ラインナップ
製品ラインナップ

――改めて確認しますが、エンタープライズLinuxの事業は好調ですか。

飯尾:すこぶる好調です。とりわけ、「SAP S/4HANA」などのSAP製品向けの「SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications」や、AWS(Amazon Web Services)などのクラウドプラットフォーム上で稼働するSUSE Linux Enterprise Serverは売上げを拡大させ続けています。これにより、2022年度(11月期)は2021年11月から3四半期連続で増収が続いています。

また、SUSE Linux Enterprise 15 Service Pack 4をリリースし、世界で最も安全なエンタープライズLinuxプラットフォームの一つを使用する利点をお客様に提供しています。

コンテナの革新によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援に注力

――SUSEの日本法人として、今後、注力していきたい事業についてお聞かせください。

飯尾:基本的にはSUSE Linux Enterprise Serverと、Rancher(「SUSE Rancher」)、そしてNeuVectorという3つのプロダクトを柱に、日本での売上拡大を図るつもりです。とりわけ、SUSE RancherとNeuVectorは、SUSEに新しく加わったプロダクトで、SUSEのソリューションとしてまだ日本で広く知られていません。ですので、これら2つのプロダクトによってどのような変革が可能になるのかの訴求も含めて、普及促進に力を注いでいきたいと考えています。

Simplify complexity across your infrastructure
Simplify complexity across your infrastructure

――例えば、SUSE Rancherについてどのようにして普及を図る計画なのでしょうか。

飯尾:SUSE Rancherによるコンテナ運用管理ソリューションで特徴的なのは、コンテナ技術によってエッジコンピューティングの変革を引き起こそうとしている点です。SUSEでは、コンテナとエッジを、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)や次世代ビジネスモデル構築に役立てようとしているわけです。

――それは要するに、製造ラインのIoT環境などにコンテナを展開し、SUSE Rancherによって運用管理していくといったイメージでしょうか。

飯尾:そのとおりです。工場のIoT環境や移動体通信システムの基地局といった設備系の機器、あるいはネットワークにSUSE Rancherを使ったコンテナ運用管理ソリューションをご導入いただき、ビジネスの変革に生かしていただくというのが、SUSEが目指すところです。日本でもすでに大手製造のお客様が、生産工程のAI(人工知能)分析を行うためのエッジ環境にSUSE LinuxとRancherを適用している例があります。これからも、そうした事例を積極的に増やしていきたいと考えています。

――NeuVectorについてはいかがでしょうか。

飯尾:NeuVectorは、DevOpsのCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリ)のパイプラインに組み込み、コンテナの開発/展開時にそのセキュリティを担保したり、リリース後のコンテナのセキュリティ保護を実現するソリューションです。コンテナによる開発の生産性を落とさずに、その安全性を担保する仕組みとして普及を図っていく考えです。

SUSEへの共感をベースにローカルパートナーを絞り込む

――SUSE RancherやNeuVectorなどの日本での普及を図るうえでは、どのようなパートナーと組むかの戦略も重要になるかと思います。その点に関しては、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

飯尾:SUSEの場合、有力なクラウドプラットフォーマーやシステムベンダーとグローバルに協業していますので、そうしたグローバルパートナーとの関係は日本でも大切にしていきます。一方で、ローカルなパートナーについては、SUSE RancherやNeuVectorを使ったソリューションに共感し、その普及に全力を傾けてくれるようなパートナーと一緒に仕事をしたいと考えています。

――その方針をとる理由について、もう少し詳しくお話いただけますでしょうか。

飯尾:ご承知のとおり、DXの流れの中で、多くの日本企業がシステムの内製によって、自社のITやビジネスを変革しようと動き始めています。そして、SUSE RancherやNeuVectorは、ある意味で、その内製の取り組みをバックアップするプロダクトといえます。

そうしたプロダクトの普及を推進するうえでは、顧客から依頼されたものを作る、あるいは顧客の求めるものを提供するといった「受け身」の姿勢ではなく、プロダクトを使った変革を能動的に提案し、顧客とともに変革を主導していく姿勢が強く求められます。そして、その姿勢が何によってもたらされるのかといえば、それは当該のプロダクトに対する思い入れと、それを使った変革が顧客のビジネスベネフィットの創出に必ずつながるという確信です。

ゆえに、私としては、SUSEのプロダクトやソリューション、あるいはIT変革のアイデアに共感し、顧客との新しい価値の共創にともに取り組んでくれるようなパートナーと協業したいと思っています。そうしたローカルパートナーが2〜3社あれば、SUSE RancherやNeuVectorの日本での普及を十分に加速させられると考えていますし、SUSE本社の経営陣もそんな私の考えを支持してくれています。

「私たちのビジネスをどう変えられるのか」への答えを示す

――日本企業のDXの取り組みは、今後ますます活発化することが予想されます。そうした時代に向けて、SUSEの強みをどのように生かし、事業を拡大していく計画でしょうか。

飯尾:先ほど申し上げたシステムの内製化も、DXの潮流が日本企業にもたらした大きな変化ですが、より本質的な変化は、ITに対する企業の認識が、業務の効率化や自動化、改善のためのツールから、次世代のビジネスを創出するためのソリューションへと変容しつつあることだと思います。

実際、私がお客様のもとに訪れ、SUSEのプロダクトについて説明すると、必ずといっていいほど「私たちのビジネスをどう変えられるのか」と質問されるようになりました。いまの時代、その質問への答えを持っていないIT企業は生き残れないと強く感じます。言い換えれば、革新的なテクノロジー、プロダクトを駆使しながら、お客様とともに次世代型のビジネスを共創していく価値、共創できる能力がIT企業にとって何よりも重要であり、私たちとしても、その価値を維持・向上させていきたいと願っています。

――SUSEには、顧客企業とともに新しいビジネスや産業、あるいは次世代のビジネスソリューションを創造するポテンシャルは十分にあるのでしょうか。

飯尾:あると確信しています。実際すでに、あるお客様と共同で、異業種の企業が共用できるオープン設計の次世代SCM(サプライチェーン管理)の仕組みづくりに取り組んでいます。この仕組みが完成すれば、サプライチェーンに変革のうねりが巻き起こされるはずです。

――SUSEに高い技術力があることは理解していますが、それ以外にSUSEが、日本企業とのビジネス共創を推進するうえで有している強みは何なのでしょうか。

飯尾:強みの一つは、イノベーションを是とし、ITを使ったビジネスの変革に社内の誰もが積極的になれる社内の自由闊達な文化であり、変革への意志です。加えて、もう一つ、SUSEの組織としての特長として、プロダクトの品質と完成度を徹底的に追求する姿勢があります。この姿勢はドイツの成功企業が共通して持つ差異化の源泉ですが、日本企業の姿勢やこだわりにも通じるものです。つまり、SUSEと日本企業はイノベーションを推進するパートナーとして、非常に相性の良い取り合わせであるということです。

そうしたSUSEの価値を最大限に発揮させながら、国内市場におけるSUSE製品の普及と、それによるビジネスの変革に注力していくつもりです。

提供:SUSEソフトウエアソリューションズジャパン株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2022年8月31日
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