株式会社日立製作所(以下、日立)は5月16日、ヴィエムウェア株式会社およびトレンドマイクロ株式会社と共同で、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)の導入を検討している企業や、すでに導入済みのVDIについて運用面で問題を抱えている企業を対象とした技術セミナー「日立×トレンドマイクロの実証実験から読み解く 仮想化・VDIセキュリティ実践セミナー」を開催した。同セミナーでは、ヴイエムウェアの仮想デスクトップソリューション「VMware View 5」およびトレンドマイクロの仮想化・VDI環境向けセキュリティソリューション「Trend Micro Deep Security」についての紹介が行われた上で、これらの仮想デスクトップソリューションに対して日立が実施した実証実験の結果が解説された。
1 デスクトップ仮想化の決定版「VMware View」
ヴイエムウェア 塚田大輔氏
ヴイエムウェアでは、仮想PC型のデスクトップ仮想化ソリューションとして「VMware View」を提供している。同社システムズエンジニアの塚田大輔氏は、デスクトップ仮想化市場の主流は"仮想PC方式"だと指摘する。これはサーバの仮想化環境上に複数の仮想PCを構築する方式で、仮想PCごとにカスタマイズが可能であり、既存のアプリがそのまま使える一方で、リソースの集約率も高いという、これまでの様々な方式のメリットを併せ持ったものである。
VMware Viewもこの仮想PC方式のソリューションだ。サーバ側のインフラとしてはクラウド向け仮想化プラットフォームとして実績のある「VMware vSphere」が採用されており、その高い堅牢性、高可用性、管理性が、そのまま仮想デスクトップ基盤として利用できる点が大きな強みとなっている。
図1.1 VMware Viewの位置づけ
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図1.2 VMware Viewのコンセプト
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VMware Viewの特徴的な機能として、塚田氏は画面転送に採用されているPCoIPプロトコルを取り上げた。PCoIPの特徴は、ネットワークの混雑状況に合わせて使用する帯域を柔軟に決定するというもの。すなわち、ネットワークが空いていれば広い帯域を使い、混雑していたら他のユーザへの影響を考慮して帯域を制限するという方式である。その他のユニークな機能としては、システムディスクなど複数の仮想PC間で共通する部分は読み取り専用で共有し、仮想PCごとの個別の内容はマスターとの差分で管理する「View Composer」や、アプリケーションの実行に必要な設定や構成情報、バイナリなどを単一のファイルにまるごとカプセル化する「ThinApp」が紹介された。
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ヴィエムウェアでは、PCだけに依存しないエンドユーザコンピューティング環境が今後の主流になると考えており、それを実現するために必要な ソリューションを提供していくという。「VMware Viewはその一環です。ポストPC時代のエンドユーザ環境の入り口として使っていただけたらと思っています」と塚田氏は語った。