Dr.Sum活用で定例会議へのプレッシャーからも解放
実際に、BIを使った成功事例は次々と登場している。
バナナやパイナップルなど青果物の生産・販売を手掛けるドールは、鮮度や品質に対して強いこだわりを持ち、過剰な在庫を残すことなく定められた期間にしっかりと売り切る販売計画の着実な実行を重視している。以前は、基幹データを一旦Excelに出力し、マクロで部門別の販売計画資料を作成していたが、わずか2名のIT企画部門の担当者がトータルで370種類にもおよぶレポートを毎週月曜日の朝10時に開催される定例ミーティングに遅れないよう発行しなければならず、月曜日は絶対に休めないといったプレッシャーに苛まれていたという。
こうしたレポートの作成業務を省力化するとともに、よりタイムリーで自由度の高いデータ活用を可能とする環境を実現するため、ウイングアークのDr.Sumを導入。基幹システムから直接データを移行し、あえて部署ごとの専用ビューを設けず、アクセス権限を厳しく効かせた上で全ての商品分野・全ての顧客の売上・全ての予算データなどを公開し、自由に使える仕組みを整えて現場に解放した。同時に、協力会社の倉庫にある在庫量のデータもBIに自動反映させる仕組みも構築。この施策により、営業部員とアシスタントを中心に200名近い社員がBIを活用するようになり、必要なレポートの80%以上が出力されるようになることで業績把握のスピードも向上。IT企画部門の負担が軽減された上に、定例会議へのプレッシャーからも解放されたという。
Dr.SumをベースとするBI基盤にMotionBoardを加えてビジュアル化
また、胃腸薬を中心とする医薬品等の製造販売を手掛ける太田胃散は、2000年代初頭のオフコン時代からウイングアークのBIのユーザーであり、卸を経由してドラッグストアーや調剤薬局などの販売店に納入された製品の実績値(実消化データ)を業界に先駈けてBIに取り込んで集計・分析し、営業活動の効率化と生産性向上を推進してきた。2007年、基幹システムをERPパッケージにリプレースしたのを機に、Dr.Sumもアップグレードを実施し、10年間にわたって収集・蓄積してきた約2,000万件のデータに対する一元的な分析を担う基盤として強化。、実消化データのみならず受注・発注・出荷・売上・請求・入金・在庫などに関する業務データも一元的に集約する環境を整備した。その結果、BIの利用者は営業部門からお客様相談室まで全社規模に広がったという。
また、最近では業務データを“見える化”するツールとして導入したMotionBoardの地図機能と連動させることで、どこに、どんな商品が、どれだけ売れたのかを視覚的に把握することにもチャレンジしている。お客様相談室に「太田胃散の製品をどこに行けば買えるか」という問い合わせがあっても、オペレーターは慌てることなく、顧客の現在地からダッシュボードの地図画面で最寄りの販売店を検索した上で、店舗の実消化データを確認して案内するといった、顧客満足度の向上にもつなげようとしている。
データの持ち方が分散と集中を繰り返しその有り様が複雑化した日本
日本の場合、ある時は分散型でデータを持つことが推奨されたり、集中型でデータを持つ方が有利だと諭されたり、時代ごとに繰り返してきたためデータの有り様が複雑になっているケースが多い。だからこそ、データガバナンスという考え方が重視され始めているのだと大畠氏は指摘する。
「当社は昔から“データから考える”と言い続けてきました。BIの最大の使命は、いかに分析するデータをしっかりと作ることができるかということ。データが活用できないと、結局は声の大きな人の意見がまかり通ってしまい、経験と勘でビジネスを進められてしまいます。データはそれを客観的な角度で正しく判断するための指標となる重要な要素なのです」
ウイングアークのBIは歴史も長く、全体で累計6,000社以上に導入されるなど実績も豊富で業界の信頼も厚い。その中でも2016年に公開した最新の事例を1冊にまとめたのが『ウイングアーク1st BI事例集 2017』だ。Dr.SumやMotionBoardの合計14の事例が、実態に基づく課題の説明や解決に向けた知見とともに豊富に紹介されおり、なぜ数あるBIの中からウイングアークのBIが選ばれたのか、各社はどのようにBIを現場で活用しているのかがつぶさに確認できる貴重な事例集となっているので、ぜひダウンロードしてご一読いただきたい。思いがけない気付きが見つかるはずである。