本プロジェクトでは、地上デジタルテレビ放送難視地区に対する対策手法として検討が進む「ギャップフィラー 」と、ブロードバンド不毛地帯に対する対策手法として期待されている「WiMAX 」を利用したシステムの設計手法を開発し、「どういう電波特性を持つか、どういった利用方法が考えられるか」という点に着眼しビーム計画が各種の検証を行うものです。
実験は、関係機関の許可を前提に、本年10月から岐阜県飛騨市所有の光ケーブルを借用して準備に着手し、他の企業や団体からの実験参加を募りながら、11月より翌年3月末まで同市神岡町山之村 で実験行う予定です。
尚、ギャップフィラーとWiMAXを同時に検証するのは、本プロジェクトが国内初となります。
(動作検証プロジェクトチーム)
ビーム計画設計株式会社
アンリツ株式会社
NECマグナスコミュニケーションズ株式会社
株式会社ウェザーテック
株式会社エフワン
株式会社岐阜放送
株式会社トーエネック
株式会社日立製作所
株式会社フジクラ
シンクレイヤ株式会社
日本電気株式会社
このプレスリリースの付帯情報
用語解説
【 検証の背景 】
2003年12月から三大都市で始まった、地上デジタルテレビ放送は順次そのサービスエリアを広げ、2006年12月までに全体の79%(3,700万世帯) が視聴可能となる予定です。しかしながら全国の山間部や離島、過疎地区では、テレビ中継局設置によるワンセグや地上デジタル放送の直接受信可能地区は少なく、CATVや難視聴施設での受信を想定しています。岐阜県においても、2010年までに県下92.6% の世帯において直接受信が可能と予定されているものの、山間部を中心とする残り7.4%の世帯では、地元共聴施設やケーブルによる視聴を想定しています。
ブロードバンドサービスにおいても、現在全国的なカバー率が94%(4,733 万世帯) と高い水準にあるものの、人口密度の低い山間部や離島を中心とした残り6%(306万世帯)の世帯では、民間通信事業者によるブロードバンドサービス開始が期待できない状態にあり、地上デジタルテレビ放送を含め、都市部と山間部の間に地理的な情報格差が拡大しています。
これに対して、地上デジタルテレビ放送難視聴対策として検討されている「ギャップフィラー」と、高速ブロードバンド整備手法として期待されている「WiMAX」を地方自治体が所有する光ケーブルに接続する事で、FTTHやCATVと比較し最大20%程度安価に地域情報基盤が構築できる可能性があります。また、双方とも無線を利用した基盤であるため、サービスエリア内であれば屋外、屋内に問わず地上デジタルテレビ放送、ワンセグ放送、ブロードバンドが可能となる正に、「ユビキタスネットワーク」としての利用が期待できます。
【 検証の目的 】
上記背景を元に、「ギャップフィラー」と「WiMAX」双方の電波伝搬調査を行い、地理的条件や降雪などの気候による変化を調査することにより、設計手法の確立と効果的な施工方法、想定されるアプリケーションについて検証するものです。
【 検証の期間 】
実験施設構築..........平成18年10月末予定
実験期間..............平成18年11月~平成19年3月
用語説明
【 ギャップフィラー 】
山間地域や地下街、トンネルなど電波の届きにくい地域に対する、受信改善装置の一つ。今回は、地上デジタルテレビ放送電波の受信改善装置として動作確認を行うものであり、受信点で受信した地上デジタルテレビ放送電波を光ファイバで中継、難視地区に設置するギャップフィラーにて地上デジタルテレビ放送電波を送信するものです。
【 WiMAX:Worldwide Interoperability for Microwave Access ワイマックス】
米国電子電気学会で制定された、中域エリアを対象とする無線アクセス装置の名称。規格名称はIEEE802.16eであり、各メーカーや通信事業者等によって構成される業界団体WiMAX forumにより規格準拠の確認や相互通信を行っている。
同機器は、使用する周波数帯域や出力によって変わるものの最大50km前後の伝送距離、最大70Mbps程度の伝送速度があるといわれている。イタリアや韓国では既に民間事業者による商用が始まっており、国内では2.5GHz帯域を利用した「広帯域移動無線アクセスシステム」として実用が検討、早ければ2007年から実用される可能性があります。
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。