パワーオーバーイサネット(PoE):まもなく普及が始まる新技術

株式会社データリソース

2005-11-11 17:40

米国の調査会社ベンチャーデベロップメント社では、PoE対応の電源供給機器(PSE - Power Sourcing Equipment)の年平均成長率は2008年までに33%に達し、イサネットスイッチ市場の収益の10%はPSEインフラストラクチャによるものとなると予測している。
パワーオーバーイサネット(PoE)規格が批准されて約2年が経過し、世界中の企業や産業がこの新技術の採用を切望している。米国の調査会社VDC社の調査レポート「パワーオーバーイサネット(PoE)の世界市場(第2版) - PoE: Global Market Opportunity Analysis」は、PoEによって可能になるPSE(Power Sourcing Equipment)の年平均成長率は2008年までに33%に達し、イサネットスイッチ市場の収益の10%はPSEインフラストラクチャによるものとなるだろうとみている。

また、PoE利用製品(PD)の世界収益は年平均成長率38%で成長して、2008年に52億ドルを超えると予測している。2004年にはネットワークインフラコンポーネントがこの収益の大半で、IP電話とWLANアクセスポイントが販売の87%を占めた。

PoE技術に対応する新しい垂直的市場が始まっているが、より高い出力の電力規格の批准によってさらに新しい市場が創出されるだろう。セキュリティ、ビル管理、小売り、エンタテインメント、RFIDなどの市場である。

IEEEは現在、PoE Plusの開発に取り組んでいる。より多くの製品におけるPoEのサポートを可能にする、より高い電力規格を定義する最新の仕様である。VDC社は、PoEとPoE Plusが最も採用されそうなアプリケーションタイプと市場を特定し、様々な垂直的市場から40以上のアプリケーションを調査した。


その調査結果の一部は下記の通りである。

- ビル管理は将来性が確実な市場である。PoE技術を使ったサーモスタットや煙感知などのアプリケーションは、導入に伴うコストを大幅に削減できるため、スクリーニ ングで大きな成果が出た。ビル管理製品は非常に大きな市場だが、PoE技術を使った製品はほとんど無い。PoEの認知が高まり、成熟が進めば、ビル管理市場での普及は高まると見られる。

- 小売り向けコンポーネントにも適している。クレジットカード用の端末やバーコードスキャナなどの多くのPOSコンポーネントは、現在のPoE仕様で充分に機能する。しかしすべてのPOS製品をひとつの電源で利用しようとすれば、高出力の電力規格が必要になる。PoE対応のより高い電力規格が批准されて、技術の進化によって小売り向けPOSコンポーネントの性能が高まり、電源ケーブルを使う煩わしさから開放されるとなれば、小売り業やレストランなどでの導入が進むだろう。

- PoEの登場によるアプリケーション。スクリーニングモデルによれば、高出力の電力規格によって最も利益を得るのはPTZカメラ、電子キオスク、ノートパソコンで、機能を充分に使うためには25-45ワット必要である。オーディオ機器はPoEをエンタテインメント市場に導くトリガーとなるものとVDC社は考えており、高出力の電力規格から大きな収益を上げるものとして、別のカテゴリーをたてている。

「パワーオーバーイサネットは、多くのアプリケーションと市場が絡まりあう大きな技術である。企業は、PoE仕様スイッチの電源とバックアップ電源としてUPSと電力供給に投資し、電話、カメラ、アクセスポイントなどに電力を供給している。突如として5つの異なる市場のアプリケーションがひとつの技術に統合されることになるのだ」と、VDC社アナリストSpyros Photopoulos氏は言う。


◆調査レポート
パワーオーバーイサネット (PoE) の世界市場(第2版)
Power Over Ethernet (PoE): Global Market Opportunity Analysis - Second Edition
(リンク »)


◆ベンチャーデベロップメント社について
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