フェムトセルの導入で携帯キャリアのビジネスモデルが新局面へ――情報流通ビジネス研究所が予測レポート

「フェムトセル導入に向けた国内外動向と事業モデル分析~固定・移動融合におけるオペレータ/ベンダーの戦略と市場展望」を発刊

株式会社情報流通ビジネス研究所 2007年11月13日

情報流通ビジネス研究所は11月12日、ユーザー宅内に設置して使う超小型携帯電話基地局「フェムトセル」に関する調査報告書を発表した。それによると、フェムトセルは無線の届きにくいデットスポットを解消するだけでなく、データ通信ARPUの向上や完全定額制を含めた新サービス開発、固定電話領域への進出、ホームゲートウェイサービスの開拓など、移動通信キャリアにとって今後の収益向上の強力な武器になると予測。新規加入者数の飽和局面を迎えつつあるなか、携帯電話会社はフェムトセルの導入によって、既存のビジネスモデル転換を図ることが急務だという。

「フェムトセルの導入は、無線デットスポットの解消にとどまらず、データARPU向上や固定通信への進出、ホームゲートウェイサービスの開拓など、移動通信事業者にとって収益向上の強力な武器になる」――ICT分野の調査研究を行う、情報流通ビジネス研究所(神奈川県大和市、所長・飯塚周一・046-271-2323)は11月12日、調査研究レポート「フェムトセル導入に向けた国内外動向と事業モデル分析」を発刊した。

レポートは、ユーザーの宅内に設置して用いられる超小型基地局「フェムトセル」について、その世界的背景から国内外主要キャリア/ベンダーの動向と戦略、ビジネスモデル、導入効果、課題などを分析、モバイルビジネスの新戦略と事業の方向性を展望している。

フェムトセルは、そのコンセプトが本格浮上してから1年も経たずに、米スプリントが初の商用サービスを開始、英ボーダフォンや独T-モバイル、国内ではドコモやソフトバンクモバイルが相次ぎ計画を発表するなど、世界各国のメジャーキャリアから多大な期待が寄せられている。

フェムトセルは、従来の基地局では電波の届きにくい屋内不感エリアを解消する。しかし、レポートでは「デッドスポット対策だけでは導入の意味がない」と指摘。携帯電話会社におけるデータ通信事業の見直しや、固定・移動の融合を進める戦略ツールとして、フェムトセルを捉えることが極めて重要――と結論付けた。

キャリアにとって「3つの戦略的意義」

報告書では、フェムトセルによって携帯電話キャリアが展開できる戦略を、①音声カバレッジ拡大とFMS(移動による固定通信の代替)戦略、②データARPUを向上させる無線ブロードバンド戦略、②開放型ホームゲートウェイ戦略――の3つに分類し、表1のような効果が期待できるという。

フェムトセルで予想される新サービスとは?

加入者数の飽和局面に入り、下落の一途を辿るARPUの向上は、携帯電話会社にとって喫緊の課題だ。しかし従来型のマクロセル基地局環境では、完全定額制なども含め高収益の期待できる新サービスを開発したくても、基地局あたりに収容できるトラヒック容量の問題が常に立ちはだかっていた。

レポートでは、「フェムトセルはこうした現状を解決し、移動通信事業者におけるデータ通信の事業構造を変革する有力な決め手」と分析。音声ベースのソリューションではなく、「データ通信のソリューションとしてポジショニングしてこそ、フェムトセル市場が大きく顕在化する」と予測し、次のように述べている。
 ①音声通信
フェムトセル・サービスにおける初期需要は音声で、なかでも「フェムトゾーン料金プラン」が主な商品になると予想される。ユーザーからすれば、移動通信事業者からフェムトセルを購入、設置し「フェムトゾーン」料金プランに加入すれば、既存の端末を音声サービスでも利用することができるため、サービスを利用する上で違いはない。ただ、屋内で安くて品質のよい通話ができなら、固定電話を利用し続けるべきか悩む。
 ②データ通信
フェムトセルを用いた無線データサービスは、「完全な無制限定額料金」「コンテンツ共有/コンテンツポータビリティ・サービス」「ホームゲートウェイ型コンテンツポータビリティ・サービス」「ユーザー参加型(モバイル2.0型)コンテンツサービス」「新たな位置情報サービス」など、大きく5つに分けられる。

無線データ通信の新たなビジネスモデル

これまで、移動通信キャリアは「C-P-N-T」(Contents/Platform/Network/Terminal)を閉鎖的に支配する「Walled Garden」戦略を堅持してきた。しかし、ユーザーのコンテンツ需要増と定額制ニーズの高まり、無線ブロードバンド環境到来などによって、移動通信でもオープンなビジネスモデルが求められるようになってきている。実際のところ、米スプリントのモバイルWiMAXサービス「Xohm」のように、開放型ビジネスモデルを試みる事例が現われている。

Walled Garden型接続料モデルは、移動通信キャリアの稼ぎ頭だが、「ユーザーニーズを満たすコンテンツ中心の高収益サービスを、これから提供していくためには、開放型ビジネスモデルに軸足を移す必要があるというジレンマを抱いている」とレポートは指摘し、「その点、フェムトセルは既存のWalled Garden型モデルを崩さないまま、屋内でコンテンツ中心の高収益ビジネスモデルを実現できる」という。

このような観点から、移動通信キャリアが選択できるデータ通信の事業モデルは、①マクロセルによる閉鎖型「Walled Garden」モデル、②フェムトセルによる部分開放型モデル、③WiMAXによる完全開放型モデル――の3形態だと、レポートは予測している。

これらの詳細は、今回発行のレポート「フェムトセル導入に向けた国内外動向と事業モデル分析」に掲載されている。内容は、 (リンク ») で見られる。見本ページもある。

1. 「フェムトセル導入に向けた国内外動向と事業モデル分析」について
・発 行 日 2007年11月12日(初版第1刷)
・企画調査 有限会社 情報流通ビジネス研究所/ATLAS Research&Consulting
・編集発行 有限会社 情報流通ビジネス研究所
・体  裁 120頁・A4変型判・本文カラー・表紙PP加工・並製
・定  価 150,000円(税込価格157,500円) ※書店では購入不可

2. 主な内容構成

 1. フェムトセルの概要
1.1 フェムトセルの概念と特徴
1.2 フェムトセルのシステム構造
1.3 フェムトセルにおける4つのサービス方式
 2. フェムトセルの登場とその背景
2.1 マクロセルによるホームゾーンサービスの限界
2.2 屋内無線データ通信の需要増大
2.3 FMCとFMSトレンドの拡大
(1) 欧州市場
      ①BTとFTがリードするデュアルモードUMA競争
      ②T-モバイルとボーダフォンがリードするFMS
(2) 北米市場
      ①ケーブル業者が先取りした融合市場、 電話会社も対応を本格化
      ②法人市場からコンシューマ市場に拡大するFMC対FMSの競争
(3) 韓国市場
             ①KTグループ:デュアルモード端末がFMCの基本戦略
             ②SKグループ:KTグループに対応
             ③LGグループ:フェムトセル・シングルモードFMSに注力する可能性
(4) 国内市場
 3. 国内外における通信事業者の動向と戦略
3.1 欧米市場
       (1) 英ボーダフォン
(2) 仏フランステレコム
(3) T-モバイル
(4) 英O2
(5) 米スプリント・ネクステル
      ①Airaveサービスの概要とネットワーク構造
      ②Airaveフェムトセルの仕様と主要特徴
      ③Airave開始の意義と今後
      ④フェムトセルとWiMAX
3.2 韓国市場
       (1) SKテレコム
(2) KT
(3) KTF
3.3 国内市場
       (1) NTTドコモ
(2) ソフトバンク
 4. ベンダーの動向と戦略
4.1 Tier1 ベンダー
              (1) エリクソン
(2) アルカテル・ルーセント
(3) ノキア・シーメンス
(4) サムスン
(5) NEC
              (6) ZTE
(7) 華為
4.2 Tier2 ベンダー
       (1) Picochip
      ①フェムトセルの捉え方と主要製品
      ②ホームゲートウェイへ発展するフェムトセル
(2) ip.access
(3) Airwalk
(4) Ubiquisys
      ①標準アーキテクチャによるホームゲートウェイを目指す「ZoneGate」
      ②さまざまなベンダー/オペレータと提携
4.3 フェムトセル・ベンダーへの投資動向
       (1) Ubiquisys
(2) Picochip
(3) Tatara Systems
(4) ip.access
  5. フェムトセルの導入効果と障害
       5.1 フェムトセル導入による費用節減効果
       (1) 基本仮説と変数
      ①基本仮説
      ②基本変数
              (2) フェムトセル導入の試算事例
                    ①フェムトセルが導入されない場合
             ②フェムトセルが導入される場合
                    ③フェムトセルのコスト節減効果
      ④フェムトセルによるコスト削減効果
5.2 フェムトセル導入過程における9つのイシュー
              (1) 「移動通信事業者による移動通信事業者のための」フェムトセル
(2) フェムトセルは誰のものか?
(3) フェムトセルをどこに使うか?
(4) コア網接続の3つの方法とインターフェース問題
(5) 認証なきオープンインターフェースの限界
(6) 迅速なコスト削減
(7) タイミングの重要性
(8) 周波数干渉を避けるためのRF計画
(9) Femto Forumの活動
5.3 フェムトセル導入における3つの障害と4つの変数
       (1) フェムトセル導入の3つの障害と4つ変数
(2) フェムトセル市場の行方を決める4つの変数
  6. 固定・移動の融合時代におけるフェムトセル戦略
6.1 音声カバレッジ拡大とFMS戦略
              (1) デッドスポットのカバーによる新規収益創出
(2) フェムトゾーン料金プランによるFMS
6.2 データARPUをあげる無線ブロードバンド戦略
       (1) マクロセルによる3Gネットワークの補完
(2) ユーザーエクスペリエンスの改善
6.3 開放型ホームゲートウェイ戦略
       (1) ドライビングフォースとしての開放型ビジネスモデル
(2) 標準化を通じた料金値下げ
6.4 フェムトセル戦略の進化方向とプレーヤー別のポジショニング
       (1) コンバージェンス競争とフェムトセル戦略の進化方向
      ①音声カバレッジの拡大とFMS戦略
      ②無線ブロードバンドデータのビジネスモデル戦略
      ③開放型ホームゲートウェイ戦略
(2) 主要事業者におけるフェムトセル戦略のポジショニング
  7. フェムトセル市場と予想されるサービス
7.1 音声系サービス市場と予想されるサービス
              (1) フェムトセルにおける音声系サービス市場
(2) フェムトセルで予想される音声系サービス
7.2 データ系サービス市場と予想されるサービス
       (1) フェムトセルにおけるデータ系サービス市場
(2) フェムトセルで予想されるデータ系サービス
  8. 今後の展望
8.1 モバイル2.0の開放型ビジネスモデルをリード
8.2 屋内サービス利用者経験が今後を左右
8.3 デュアルモードからフェムトセルに進化する
              (1) 移動通信事業者のFMS選択肢として再浮上するUMA
(2) 「UMAフェムトセル」の登場と戦略的意義
8.4 無線ブロードバンドの3つのビジネスモデルと今後
       (1) マクロセルによる「閉鎖型モデル」
(2) フェムトセルによる「部分開放型モデル」
(3) WiMAXによる「完全開放型インターネット・モデル」
(4) 無線ブロードバンド・ビジネスのポジショニングと今後の展望

図一覧
[図 1] フェムトセルのネットワーク構造とサービス概念図
[図 2] フェムトセルのシステム構造(W-CDMAフェムトセル)
[図 3] フェムトセルの4つのサービス方式
[図 4] 世界無線データ利用者の推移(2006~2011)
[図 5] 韓国コンバージェンス市場における「FMC1.0vs.FMC2.0」の比較
[図 6] 韓国における携帯電話3キャリアのコンバージェンス競争
[図 7] KTグループの融合サービスにおける提携図
[図 8] SKグループの融合サービスにおける提携図
[図 9] LGグループの融合サービスにおける提携構図
[図 10] KDDIの「OFFICE FREEDOM」のシステム図
[図 11] NTTドコモの「Business mopera IP Centrex」サービス
[図 12] スプリントのフェムトセル・サービス「Airave」のネットワーク構造
[図 13] スプリントが提供するAiraveフェムトセルのイメージ
[図 14] Picochipが提供するWiMAXフェムトセルのイメージ
[図 15] ソフトバンクにおけるUbiquisysのフェムトセル利用実験
[図 16] NTTドコモとソフトバンクのフェムトセル戦略比較
[図 17] アルカテル・ルーセントのFemto BSR基地局とサービスイメージ
[図 18] サムスン「UbiCell」のイメージとネットワーク構造
[図 19] Ubiquisysのフェムトセルを利用したNECのデモ
[図 20] 華為のフェムトセルAP基地局
[図 21] 華為が「ワイヤレスジャパン2007」で披露したフェムトセル
[図 22] Picochipが考えるフェムトセルの概念とサービス構造
[図 23] ip.accessが考えるフェムトセルの概念とサービス構造
[図 24] Airwalkのフェムトセル
[図 25] Ubiquisysが提供するZoneGateフェムトセルとサービス・プラットホーム
[図 26] マクロセル基地局運用コストの例(per month)
[図 27] フェムトセル導入以前と以降の利用者当り月間運用費用の節減効果
[図 28] データ速度別の加入者当り年間費用の節減効果
[図 29] フェムトセル普及率別の加入者当り年間費用の節減効果(128Kbps 動画ストリミング)
[図 30] フェムトセル価格による費用節減効果(128Kbps 動画ストリミング)
[図 31] フェムトセルを中心としたコンバージェンス競争のダイナミクス
[図 32] 主なフェムトセル企業における戦略のポジショニングマップ
[図 33] フェムトセルの音声市場ポジショニングと需要の発展方向
[図 34] フェムトセルのデータ市場ポジショニングと予想されるサービス
[図 35] フェムトセルによる無線データビジネスモデルの登場
[図 36] デュアルモード端末とフェムトセルが共存するUMAサービスコンセプト
[図 37] スプリントにおいて予想される3つの無線データビジネスモデルとフェムトセルのポジショニング

表一覧
[表 1] フェムトセルとデュアルモードFMCの比較
[表 2] フェムトセル方式の長所と短所
[表 3] BTとFTのUMAによるFMCの現状比較
[表 4] BTとFTのFMCホームゲートウェイの比較
[表 5] 欧州のコンバージェンス競争動向
[表 6] 米国電話会社とケーブル会社における融合サービスの現状
[表 7] ベライゾンが提供するオーダーメード型融合商品
[表 8] FMC/FMS 形態別の端末、ターゲット市場、KSF
[表 9] スプリントが提供するAiraveフェムトセルの仕様
[表 10] ドコモとソフトバンクのフェムトセル比較
[表 11] 世界の移動通信事業者における主なフェムトセル導入動向
[表 12] Picochipの3GフェムトセルSWリファレンス・デザイン
[表 13] Picochipのフェムトセル向けPC202チップ搭載イメージと主要スペック
[表 14] Picochipが提示するフェムトセルの進化
[表 15] Ubiquisysのフェムトセル関連提携動向(2006~2007)
[表 16] フェムトセル・ベンダーへの主な投資動向
[表 17] フェムトセル市場の方向性と関連4変数
[表 18] フェムトセルで実現可能な3つの戦略と波及効果、KSF
[表 19] フェムトセルで予想される音声・データサービス
[表 20] 無線データ通信の3つのビジネスモデルと主な特徴

4. 会社概要

[日本]
・社名:有限会社 情報流通ビジネス研究所(Info-Sharing Business Institute, Ltd.)
・設立:2000年4月
・代 表 者:飯塚周一
・事業内容:情報通信(ICT)分野に関する調査研究/政策立案/コンサルティング/専門書籍発行等
・所 在 地:神奈川県大和市南林間2-18-23長尾会計1F 〒242-0006
・U R L: (リンク »)
・T E L:046-271-2323(レポート問い合せ先)

[韓国]
・社名:ATLAS Research&Consulting
・設立:2000年5月
・代 表 者:朴 終鳳
・事業内容:通信・放送関連コンサルティング/調査研究/オンライン情報提供/レポート発行等
・所 在 地:#602 Hanseo bldg.、246-3 Seohyun-dong、Bundang-gu、Seongnam-si、Gyeonggi-do、Korea

用語解説

フェムトセルとは、オフィスや家庭内に設置する超小型基地局を指す。フェムトセルがカバーする電波エリアは半径数十メートル程度で、極めて小さいという意味から「1000兆分の1」を表す「フェムト」との表現が用いられる。フェムトセルは、xDSLやCATV、光ファイバなどのブロードバンド回線を通じて、携帯電話会社のコアネットワークに接続され、従来のマクロセル基地局では十分な電波状況が得られなかったようなエリアでも、良好な通信を確保可能。設置コストについては、ユーザーが導入しやすい程度になると見込まれている。固定回線を利用するという仕組みを生かし、携帯と固定の融合「FMC」(Fixed Mobile Convergence)や、携帯による固定の代替「FMS」(Fixed Mobile Substitution)が可能になるという点からも、各国の主要事業者など世界的な関心が急速に高まっている。

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