外国企業は、研究・開発支援の税優遇措置(研究開発税額控除制度)を利用し、フランス市場が提供するビジネスチャンスを掴んでいる。例えば、日本のサトーグループは、リールに拠点を置き、RFID(電磁波式個体識別)によるソリューションを提案している。コーディングと個体識別事業を行う米マーケム・イマージュ社(Markem-Imaje)は、ソフィア・アンチポリスの「セキュア コミュニケーティング ソリューション(SCS:Secure Communicating Solutions)」産業クラスター(所在地:フランス南東部ヴァルボンヌ)の近くブール・レ・バランスに拠を構えた。また、RFIDソリューションのトップ企業の一つである独ダイスターエレクトロニック社(Deister Electronics)はイル=ド=フランス地域圏に進出した。マロク・トレトマン・ド・トランスアクション社(Maroc Traitement de Transactions :M2t)は、対仏投資庁と地域経済開発局の支援によりイル=ド=フランスに進出した。なお、パリ北部のサン=テチエンヌ=デュ=ルヴレにあるクラスター「ノヴァログ(Novalog)」、トレーサビリティ関連に特化したクラスター「システマテイック・パリ(SYSTEMATIC Paris-Région)」は多数の外国企業を受け入れている。
2011年11月15~17日にパリで開催された『カルト&アイデンティフィケーション2011』では、非接触カード決済、『ユビキタスネットワーク』、M2M、個体識別技術開発が話題の中心となった。ブルーライン社(Blueline)は、個体識別技術として、アルツハイマー患者在宅時の監視用電子ブレスレットを開発した。こうした技術をより広く利用するには、物品、貨物、車両、動物、人間の追跡調査を行う場合、所要通過地点に検知設備をおく必要がある。また人間や財産の追跡や監視を行う場合に生じる職業倫理上の問題にも配慮する必要がある。今後、レジ清算手順(バーコード読み取り)、通行料金徴収システム(RFID読み取り)、券売機(地下鉄、劇場、駐車場)などの関連アプリケーションは急速に発展していくとみられている。
NFC規格の定義をおこなうコンソーシアム「NFCフォーラム」は2011年10月、NFC機器同士のデータ交換のプロトコルでSNEP (Simple NDEF Exchange Protocol) とよばれる、ピア・ツー・ピアモードの仕様を公開した。この通信モードは、NFC規格の2台の電話で、単純な接触によりデータ交換を可能にするものである。この技術は、名刺交換、提案書の回収(再利用のため)、SNS上でのコンタクト、小額金銭や交通機関の切符の交換など、多様なアプリケーションに利用できる。フランス政府は2011年5月、「NFC非接触モバイルサービス開発」プロジェクトの公募を行った。2000万ユーロを投じ、フランスの都市圏で需要がある携帯電話による非接触情報交換や決済システムを開発するプロジェクト20~30件への助成を行う。
対仏投資庁(略称AFII)
フランスへの国際投資誘致、進出企業向け支援を担当する国の機関。全世界におよぶネットワークで機能し、フランス全土の地方経済開発局との連携により、外国企業にビジネスチャンスを提案、ニーズに応じたサービスを提供している。詳細情報はウェブサイトをご参照ください。 (リンク »)
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