富士ハウスやアーバンエステートの被害者の記憶も新しいが、注文住宅を発注する際に、工務店の倒産で発注者が被害を受けない
ような安全網の整備を目的とした検討会が開催された。
『注文住宅におけるエスクローシステムの運用についての調査検討会』と題されたこの検討会は、りそな総合研究所(株)と(株)マスイデア
が事務局、藤澤好一芝浦工業大学名誉教授を委員長として、椎野元早稲田大学教授ら消費者、工務店、金融機関、弁護士などの
有識者を委員として平成25年1月~3月に3回にわたって開催された。
日本の注文住宅の請負という独特の発注形態が、工務店倒産で施主である住宅発注者の被害を生んでいた。検討会では、現在運用
されている第三者預託(エスクロー)を活用した仕組みを検証し理想的な安全網の構築に関して議論がなされた。その成果として、施主
と工務店の中間の立場で信託口座を利用することにより、施主の建築資金を厳正に管理する『住宅工事建築資金管理機構』を提唱して
いる。信託口座は、第三者預託(エスクロー)という形式で運用され、工務店が倒産した場合でも、施主の建築資金が保全され施主の
住宅の完成に使われる。検査機関との連携による出来高や品質の確認、保険会社との連携による瑕疵保険、出来高管理情報をデータ
ベースとした工事履歴情報をリフォームや中古住宅流通に活用するなど、消費者の目線で見た注文住宅の建設・維持管理・リフォーム・
中古流通の各段階で、安心できる仕組みをつくることにより注文住宅市場で安全網を構築する利点について各方面の有識者が実現性
に関し検討した。
この検討会の成果は、報告者として一般社団法人木を活かす建築推進協議会へ提出された。今後の住宅市場に関する政策に反映
されることが期待される。
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。