近年、マーケティングの世界では「3世代型消費」というキーワードが注目を集めています。「3世代型消費」とは、親・子・孫それぞれの世代が一緒になって行う消費活動を意味します。
シニア(祖父母)世代が消費活動やマーケットをリードしている現代において、金融商品や住宅・レジャーなど、様々な市場で新たなトレンドが生まれているといえます。その新たな動きのひとつが「3世代旅行」です。団塊世代が定年退職を迎え時間に余裕ができたということもあり、親・子・孫の3世代で旅行を楽しむスタイルは今後も増加すると予想されます。
ここでは、2013年3月に実施された「3世代旅行の実態調査」の結果をご紹介します。実際に3世代旅行を実施した経験のある祖父母世代・父母世代双方を対象として行われたこの調査では、「旅行のきっかけ」や「旅行の費用負担」「実の親・義理の親との関係」「旅行に行く家族構成」など、さまざまな切り口から3世代旅行の実像に迫っています。
■結果(1)
3世代旅行の実施率は48% 2人に1人が3世代旅行を経験
父母世代の女性は「義理親より実親と行きたい」
男性は「実親も義理親も平等に接したい」というスタンス
■結果(2)
3世代旅行の費用、誰が負担する?
「多めに払う」のは祖父母世代。
「お会計の場面は気を遣う」という声も…
■結果(3)
3世代旅行の「お誘い」は誰から?
父母世代は「祖父母に誘われたから」
祖父母世代は「孫が行きたがっているから」
▷なんと2人に1人が「3世代旅行の経験あり」
3世代旅行の経験率は48%という結果になった。過去1年以内の3世代旅行経験率は28%であった。
▷3世代旅行経験のある女性は「義理の親よりも自分の親」との関係を重視する傾向にあり
男性の場合「自分の親と義理の親とそれぞれ平等に接したい」という項目に「あてはまる」と回答した人の割合は、3世代旅行の経験がある者が「62.2%」、ない者が「45.9%」という結果になった。女性の場合は「自分の親と接する時間の方が長い」「子どもは自分の親の方になついている」など、義理の親よりも自分の親との関連性の強さを示す項目で、3世代旅行経験の有無の差が出た。この結果からは、男性の場合は「自分の親と義理の親を平等に考える人」の方が、女性の場合は「義理の親より自分の親との関係を重視する人」の方が3世代旅行を実施する傾向にあるといえる。
▷3世代旅行は「父母世代夫婦+子ども(孫)+実父or実母」で多く実施される。女性は「パパ抜きで子ども(孫)+自分の親」の比率も高い
3世代旅行のパーティ構成は「父母世代夫婦+子ども(孫)+実父or実母」が49%で最も多い。男性・女性どちらでもこの構成が最も多いが、男性の方が「義父or義母パーティ」、女性の方が「配偶者なし+実父or実母パーティ」の比率が高い。父母世代で見た場合、女性に比べて男性の方が「義理の親との3世代旅行」を実施する傾向にあり、男性に比べて女性の方が「夫を抜きにして、自分の親と3世代旅行」を実施する傾向にあるといえる。
▷3世代旅行の費用「多めに払う」のはやっぱり祖父母世代
3世代旅行の費用負担についての設問の回答は、全体的に「祖父母世代が多めに払った」という傾向にあった。父母世代の回答では「交通費」は「父母世代が多い・計」の方が「祖父母世代が多い・計」のスコアを上回っているが、それ以外の3つの項目は「祖父母世代が多い・計」が高い。「いつもの旅行と比べた場合の旅行費用」に関する設問では「変わらなかった」が5~6割を占め多数派。「高くなった」の割合は祖父母世代の方が高い傾向にある。3世代旅行の費用は祖父母世代が多めに払うことが多い分、祖父母世代にとっては通常の旅行よりも費用が多くなる傾向にあるといえる。
▷3世代旅行のきっかけ、父母世代は「祖父母が誘ったから」・祖父母世代は「孫が行きたがっていたから」
父母世代・祖父母世代ともに「今のうちに旅行に行って思い出を作りたい」というのが共通のきっかけ(父母世代:23.4%、祖父母世代:24.3%)であった。旅行のきっかけとして、父母世代は「祖父母世代から誘われたから」、祖父母世代は「子ども世代(孫)が行きたがっていたから」と回答する者の割合に差が見られる。3世代旅行には「旅行を通して家族の思い出を作りたい」という共通のきっかけがあるものの、父母世代は「祖父母世代」を、祖父母世代は「子ども世代(孫)」を3世代旅行実施の端緒として捉えていることが伺える。
▷3世代旅行の目的、「家族でのんびり過ごしたい」父母世代と「より活動的に旅を楽しみたい」祖父母世代
3世代旅行の目的は「宿でのんびり(43.7%)」「温泉・露天風呂(47.6%)」「地元の美味しいものを食べる(38.3%)」が中心。「宿でのんびり」は祖父母世代よりも父母世代の方がスコアが高い。一方「テーマパーク」「買い物・アウトレット」など宿泊以外のアクティビティは祖父母世代の方がスコアが高い。3世代旅行では、父母世代は「家族でのんびりと過ごすこと」を志向している一方で、祖父母世代は「より活動的に旅行を楽しみたい」と考えていることが伺える。
▷3世代旅行の日程は「長期休暇」よりも「土日・祝日」
3世代旅行が実施された日程は夏休みなどの「長期休暇利用」が40%、「土日・祝日利用」が49%と、「長期休暇」よりも「土日・祝日」に行われていることが分かった。3世代旅行に行った家族構成を見ると「長期休暇利用」と答えた人は子ども(孫)が「小学生」である比率が高く、「土日・祝日利用」と答えた人は「2歳以下」の比率が高かった。
▷フリーアンサーから
○父母世代の満足は「祖父母と子ども(孫)が一緒に旅行に行くことで親孝行になった」こと
77歳の母が大変喜んだので良かったです。車で移動だったので年寄りには楽だったと喜びました。娘も物知りの母が一緒で楽しかったようです。(父母世代/44歳女性/旅行先:山梨県)
国内旅行はよく行く両親だが海外は二人では無理。でも「行きたい」とは言っていたので、親孝行ができた。こどもが小さいので、親たちだけで何かをするということが普段はできないが、なついている両親にあずけて自分たちの時間が持てた。(父母世代/38歳男性/旅行先:グアム・サイパン)
○祖父母世代、「孫(子ども世代)と一緒に過ごすことができて良かった」
ホテルのツインルームを2部屋。祖母と小学生の孫、父母と幼稚園の孫の隣同士。毎朝、チビ太が着替えを抱えて祖母達の部屋のドアをドンドン叩いて、寝起き顔でやって来て、「バアバ、おはようございます」。可愛くて、とても嬉しい想い出です。幸せな4泊5日を過ごさせて貰いました。(祖父母世代/68歳女性/旅行先:沖縄県)
孫が喜ぶ顔を見て、娘が喜び、その様子を見て我々祖父母世代も嬉しくなる。今後も孫が全員小学校を卒業するまで3世代旅行を続けていきたい。(祖父母世代/62歳男性/旅行先:静岡県)
○3世代旅行の課題は、スケジュール・行きたい場所・食べたいものの調整
祖父母世代は仕事を持っていないので休暇はどうにでもなるが、子ども世代の仕事日程を考慮するのがなかなか難しい。孫世代も大きくなると、学校を休ませることが難しくなり、全員で長期の連泊ができなくなる。(祖父母世代/63歳女性)
子どもがつくった旅行プランに全く口をはさまなかった。歴史好きな私として行きたいところで十分な時間が取れなかったことが残念といえば残念。(祖父母世代/68歳男性/旅行先:長野県)
父母世代、子供は現地のものでも特に好き嫌いなく食べられるが、義母が無理に付き合ってくれている感が毎回あるのが、なかなか遠慮して言ってくれないのがネック。(父母世代/40歳男性/旅行先:台湾)
○父母世代には「義理の親子での調整や気遣いが難しい」との声も…
こちらがお金を出すのはいいけど、祖母にお金を出してもらうのはかなり気を使う。旅行だとお会計の場面が多々あるので面倒。(父母世代/27歳女性)
どちらの祖父母と旅行しても配偶者への気遣いがなければ誰かしら不満の残る旅行になると思う。(父母世代/37歳女性)
▷6つのタイプに分けられる「3世代旅行に行った人」
今回の調査から、実際に3世代旅行に行った人は6つのタイプに分けることができる。全体の傾向と比較して、3世代で沖縄に行く人は「全世代満足させたいさん」「パパ抜きお子様ラブラブさん」の占める比率が多いという結果になった。
(1)まずは予算ありきさん
費用負担の軽減を重視するタイプ。3世代旅行のタイプで最も多数派を占める。旅行そのものに対するこだわりは薄い。
3世代旅行経験者の35.0% > 3世代旅行で沖縄に行った人の20.6%
(2)こだわりモリモリ調べまくりさん
旅行のあらゆることを重視する「旅行大好き」タイプ。海外旅行に行く比率が最も高い。多くの情報源にあたって決める。
3世代旅行経験者の25.2% ≒ 3世代旅行で沖縄に行った人の26.5%
(3)全世代満足させたいさん
旅行のきっかけは「今のうちに旅行に行って思い出を作りたいから」。親・子・孫それぞれが楽しめるような旅行を志向している。
3世代旅行経験者の20.3% < 3世代旅行で沖縄に行った人の29.4%
(4)パパ抜きお子様ラブラブさん
第3世代(孫世代)を中心に旅行を考えるのがこのタイプ。日程の関係上、第2世代の男性(パパ)が不参加になってしまいがち…。
3世代旅行経験者の10.1% < 3世代旅行で沖縄に行った人の20.6%
(5)集まるついでに行きますかさん
記念日や親戚の集まりのついでに旅行に行くのがこのタイプ。第2世代の兄弟と一緒に3世代旅行を行うこともある。
3世代旅行経験者の6.9% > 3世代旅行で沖縄に行った人の2.9%
(6)ほんとは面倒なんだけどさん
旅行に対してあまり積極的ではないタイプ。旅行にきっかけは「理由がなくても定期的に行っているから」。
3世代旅行経験者の2.5% > 3世代旅行で沖縄に行った人の0.0%
■調査概要■
調査実施:株式会社リクルートライフスタイル沖縄・株式会社リクルートコミュニケーションズ
調査方法:インターネット調査
調査実施時期:2013年3月26日(火)~3月28日(木)
調査対象とサンプル数
スクリーニング調査
▷関東エリア・東海エリア・関西エリア在住の20~69歳の男女 合計30,000サンプル
▷性別・年代は均等割付
▷各エリアに該当する都道府県は以下の通り ※エリアに関しては割付なし
-関東エリア:東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県
-東海エリア:岐阜県・愛知県・三重県
-関西エリア:滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県
本調査
▷関東エリア・東海エリア・関西エリア在住の20~69歳の男女 合計1,000サンプル
▷この1年間に1回以上、海外旅行および国内宿泊旅行として3世代旅行をしたことがある20~69歳の男女
▷うち、700サンプルは20~59歳〈父母世代〉、300サンプルは59歳以上〈祖父母世代〉
-3世代旅行の〈子ども世代〉は末子が小学6年生まで。
-〈父母世代〉〈祖父母世代〉で設問構成と選択肢は共通だが、具体的な設問の聞き方は〈父母世代〉〈祖父母世代〉で変えている。
■本件に関するお問い合わせ先■
春のおきなわ親子孫たび うとぅいむち宣言事務局(OCVB委託事業)
株式会社リクルートライフスタイル沖縄・株式会社リクルート コミュニケーションズ
担当:安田 TEL:03-6835-6485 / FAX:03-3548-7742
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