ジョージ・オーウェル(George Orwell)の小説で『動物農場』(アニマル・ファーム "Animal Farm")という名作があります。1945年に刊行された、搾取する人間を追い出した豚が独裁者になってしまう顛末を描いたものでスターリンのスターリニズム"Stalinism"を痛烈に批判した寓話(おとぎばなし)です。
お話は、それまでの「荘園農場(マナー・ファーム "Manor Farm")」 を解放した動物たちが「動物農場」と改名して七誡(しちかい)を創ります。
「二本脚は敵。」
「四本脚は良い。翼のあるものは仲間。」
「すべての動物は平等である。」
これら戒律はやがて特権階級となった豚たちが農場を支配するに従って自分に都合よくルールを変えてしまうのです。仕舞い(しまい)には、「四本脚は良い。二本脚はもっと良い。」として豚と人間の区別すらつかなくなってしまう顛末です。
寓話や風刺、道化が演じる笑いこそが紛れもなく世相を映し出す鏡となるのですが、この「動物農場」に関しては現在社会に准えて(なぞらえて)も全く色褪せないどころか、現代日本そのままに当てはまることに驚きを禁じ得ないのです。作品が普遍的な人間の性(さが)を表現しているものだと言い切れます。
多くの翻訳がある中で筆者は1984年に開高健が翻訳した「動物農場」を読んだのですが、併録されていた開高健の論考から「合唱、そしてたちまちの忘却があるだけで背骨がないクラゲ人間の大群」とニッポン国を評した彼も筆者同様に感じ捉えていたであろうことが伺えます。
「動物農場」を原作としたアニメがあります。ハンガリー人のジョン・ハラス(John Halas)と英国人のジョイ・バチェラー(Joy Batchelor)のハラス&バチェラー(Halas and Batchelor)が1954年に公開した長編アニメーション映画がとても心に深く痛く感じました。
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