調査期間は8月1日から8月7日まで。調査手法は、駅ホームもしくはビル・商業施設の入口付近で、測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を利用して、下り通信速度、上り通信速度を各3回ずつ測定する形式とした。モバイルルーターと無線接続したスマートデバイスは、「Nexus7」である。
■高速通信受信エリア比率はほぼ互角も、ワイモバイルが90%と若干優勢。
実測の結果、東名阪100地点でワイモバイルの高速通信「4G」を受信した地点は90地点、UQ WiMAXの高速通信「WiMAX2+」を受信した地点は89地点となった。ワイモバイルがわずかに優勢な結果となったが、どちらも非常に高い受信エリア比率を記録した。地域別に見ると、東京(96%)、名古屋(80%)は両者互角。大阪がワイモバイル86.7%に対して、UQ WiMAXが83.3%となった。東京に比べると、名古屋、大阪の受信エリア比率がやや低い傾向がある。高速通信を受信できなかった地点は、両者いずれも地下鉄駅である。両者ともに、空が目視できるような屋外では電波が非常に安定しているが、地下鉄駅のホームでは、ワイモバイルは「3G」、UQ WiMAXは「WiMAX」しか受信できないケースも散見された。
■ワイモバイルが下り、上りともに通信速度で優勢。下り平均20.19Mbpsを記録。
通信速度という切り口で見ると、ワイモバイルが下り20.19Mbps、上り5.69MbpsといずれもUQ WiMAXを上回った。特に名古屋エリアでは下り平均24.38Mbpsと非常に高い数値を叩き出している。「松坂屋名古屋店」(下り平均47.21Mbps)、「千種駅」(下り平均46.89Mbps)など、いわゆる“爆速”を記録した地点がいくつかあり、エリアの平均を押し上げた。ただ、東京エリア(下り平均19.74Mbps)、大阪エリア(下り平均18.16Mbps)ともに高い数値で安定している点も見逃せない。
■UQ WiMAXは下り18.24Mbps、上り4.94Mbpsと十分な速度を記録するも次点。
ワイモバイルに通信速度トップの座は譲ったものの、UQ WiMAXも下り平均18.24Mbps、上り平均4.94Mbpsと十分な通信速度を記録した。ワイモバイルに比べると、いわゆる”爆速“地点が少なかったことや、大阪エリアで高速通信「WiMAX2+」を受信できない地点が多かったことなどが、平均の通信速度にも影響した。特に大阪エリアの上り平均速度は2.93Mbpsと低めの数値となっている。それでも、東京エリア(下り平均19.52Mbps)、名古屋エリア(下り平均19.10Mbps)ともに高い数値で安定している点は見落としてはならない。
■どちらも東名阪主要部では電波状態が安定。WiFi対応端末を快適に利用可能。
外出先でモバイルルーターを介してノートパソコンやタブレット端末でインターネットに接続する需要は都市部が中心であると考え、今回の調査では東名阪の主要駅および主要ビル・商業施設を対象とした。大手3社のスマートフォンと比べると電波状態が安定しないのでは、という危惧の念も抱いたが、高速通信の受信エリアが約90%、下り平均速度が約20Mbpsと、総じて安定した結果を記録できた。この安定感があれば、ノートパソコンやタブレット端末、ゲーム機など、通信回線を内蔵していないタイプのWiFi対応スマートデバイスを、日常的に快適に利用することができるだろう。
8月1日からサービス開始した「ワイモバイル」は、画期的な料金プランが話題の中心なっている感も否めないが、肝心の電波状況の面でも安定していた。一方、UQ WiMAXは、速度制限のないことが注目されることが多いが、こちらも実使用上、電波状況の問題はなさそうだ。
各社とも順次エリア拡大、速度向上への取り組みを続けており、さらなるユーザーの利便性向上が期待される。一見差がないように見えるが、実際に測定してみると、ある程度の違いは浮き彫りになってくる。
ICT総研では今後も、「つながりやすさ」や「通信速度」というそれぞれの側面について、ユーザーが利用するさまざまなシーンを想定し、ユーザーにとって指標となる実測データを定期的に提供していく方針である。
このプレスリリースの付帯情報
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。