~9月21日は「世界アルツハイマーデー」~高齢期の認知機能の低下に対するオメガ3系脂肪酸の可能性

DHA・EPA協議会

From: 共同通信PRワイヤー

2014-09-16 16:00

2014年9月16日

DHA・EPA協議会

~9月21日は「世界アルツハイマーデー」~高齢期の認知機能の低下に対するオメガ3系脂肪酸の可能性

-アルツハイマー病をはじめとする認知症の現状-

高齢化の進行とともに「認知症」の有病者数が増加

日本人の平均寿命が男女ともに80歳を超え、ともに過去最高を更新したことが厚生労働省の調査でわかりました。2013年の日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、2012年に比べて男性は0.27歳、女性は0.2歳延び、男性は初めて80歳を超えました。この理由として、日本人の死因の上位4疾病であるがん、心疾患、肺炎、脳血管疾患による死亡者が減少したことがあげられています1)。このように日本人の死因上位を占める疾病が減少していることに対して、今後の増加が予測されている健康課題もあります。それがアルツハイマー病をはじめとする「認知症」です。
厚生労働省研究班(代表者:朝田隆筑波大教授)の調査によると、65歳以上の認知症の有病率は15%と推計され、2012年時点で有病者数は462万人に上ると報告されています。加えて、認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)も約400万人と推計され、65歳以上の4人に1人は認知症とその予備軍であることがわかりました。年代別の認知症推定有病率は80~84歳で約20%、85歳以上では40%を超えると推計されています。また調査対象者の認知症の原因疾患は、アルツハイマー病が67.6%を占め、最も多いことがわかりました[図1参照]2)。さらに、厚生労働省が推計した2012年の日常生活自立度II以上の認知症高齢者は305万人に上ります。この人数は今後増加することが予想され、2025年には470万人、65歳以上の人口に対する比率も徐々に高まっていくことが予測されています[図2参照]3)。
こうした状況を受け、厚生労働省は早期診断、早期対応をはじめとする「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を2013年から推進しています。その取り組みのひとつ、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を支援するボランティア「認知症サポーター」の養成強化により、認知症サポーターは500万人を突破しました4)。
まもなく訪れる9月21日は、「世界アルツハイマーデー」です。国際アルツハイマー病協会が1994年、この日に開催された第10回国際会議を機に、世界保健機関(WHO)と共同で制定しました。アルツハイマー病などに関する認識を高め、世界の患者と家族に援助と希望をもたらすことを目的としています。その国際アルツハイマー病協会のレポートによると、全世界のアルツハイマー病などの認知症有病者数は2013年時点で4400万人、2050年には1億3500万人に達する見込みとされています5)。現在世界の多くの人々に、認知症に対する正しい理解が求められています。

1)厚生労働省: (リンク »)
2)筑波大学付属病院精神神経科: (リンク »)
3)厚生労働省: (リンク »)
4)認知症サポーターキャラバン: (リンク »)
5)Alzheimer’s Disease International: (リンク »)


-アルツハイマー病をはじめとする認知症対策の考え方-

認知症予防の可能性を秘める「運動」と「食事」

認知症、特にアルツハイマー病には、進行を確実に止める方法がありません。このため認知症対策において、予防が重要になります。認知症予防として、その有効性の一部が実証されているものに、運動と食事があります。
身体活動が少ないことはアルツハイマー病の危険因子と指摘され、中年期の活動性の高さはアルツハイマー病に対して防御的に働くという知見もあります。運動が効果をもたらすメカニズムとして、直接的には脳血流の増加作用、また神経成長因子への刺激や、脂質、ホルモン、インスリン、あるいは免疫機能を介する作用などが考えられています6)。
一方、食事関連で注目されているものとして、抗酸化物質があげられます。抗酸化物質は酸化による傷害から体を守ります。また脂質のなかでも、不飽和脂肪酸が認知機能によいということが知られるようになってきました。特にオメガ3系脂肪酸であるDHA・EPAは、血栓予防、抗炎症作用、降圧作用、インスリン感受性への作用など多くの効果を有し、魚の摂取量が多いとアルツハイマー病予防効果をもたらすという報告があります6)。


-オメガ3系脂肪酸の研究成果-

オメガ3系脂肪酸が高齢者の認知機能の低下を抑制

高齢期の認知機能低下が世界的に問題とされているなか、 オメガ3系脂肪酸であるDHA・EPAの機能性に注目が集まり、その効果を確認する研究が世界各国で行われています。本項ではその成果の一部をご紹介いたします。

● 健常な高齢者の認知機能の低下を抑制し、脳の萎縮を低減
オメガ3系脂肪酸の摂取により、高齢期の認知機能低下と脳萎縮の抑制を期待できることがわかってきました。
55~90歳の高齢者819人(認知機能が正常な229人、軽度認知障害(MCI)患者397人、アルツハイマー病患者193人)を対象に、神経心理学的検査とMRI検査を6ヵ月ごとに実施しました。その結果、アルツハイマー病の危険因子とされるApoE4遺伝子を持たない認知機能が正常な人(試験開始時)の中で、オメガ3系脂肪酸のサプリメントを常用していた人は、認知機能の低下が有意に抑制されていることがわかりました。さらにMRIの結果でも、認知機能に関与する脳の萎縮が軽減していることが明らかにされました7)。
これらの結果から、オメガ3系脂肪酸であるDHA・EPAが、高齢期の認知機能の低下と脳萎縮を予防することが示唆されました。そしてこの結果を報告した論文には、認知症予防に対するオメガ3系脂肪酸の長期的な使用の効果に関して、さらなる研究の必要性が強調されており、今後の研究の進展が望まれます。

● 非常に軽度のアルツハイマー病患者の認知機能検査の成績低下を抑制
オメガ3系脂肪酸の摂取により、非常に軽度のアルツハイマー病患者の認知機能低下を抑制する可能性があることがわかってきました。
軽度から中程度のアルツハイマー病患者204人を、オメガ3系脂肪酸摂取群(DHA1.72g+EPA0.6g/日) とプラセボ摂取群に分け、それぞれ6ヶ月間摂取した後、全員にオメガ3脂肪酸を6ヶ月間摂取してもらいました。そして摂取期間前、摂取6ヶ月後と12ヶ月後に、認知機能検査(MMSE)をはじめとする検査を行いました。その結果、オメガ3摂取群において、摂取期間前の検査で非常に軽度のアルツハイマー病と判断された人(MMSE27点以上)で、認知機能検査の低下が有意に抑制されていることがわかりました。またプラセボ群の非常に軽度のアルツハイマー病患者も、オメガ3脂肪酸を摂取した6~12ヶ月目において、同様の傾向がみられました[図3参照]8)。
これらの結果から、オメガ3系脂肪酸の摂取が、非常に軽度のアルツハイマー病患者の認知機能低下を抑制する可能性があることが示唆されました。さらに今後、アルツハイマー病の初期進行に与える影響について、研究が進むことが期待されます。

6)厚生労働省: (リンク »)
7)Alzheimer’s & Dementia (2014) 1-10 ( (リンク ») )
8)Arch Neurol. 2006;63:1402-1408


- Interview -
古賀 良彦 先生  杏林大学医学部 精神神経科学教室教授・医学博士
1946年東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経科学教室入室。1976年杏林大学医学部精神神経科学教室に転じ、1990年同大学助教授、1999年より教授となり現在に至る。日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長、日本薬物脳波学会副理事長、日本臨床神経生理学会名誉会員などを務める。精神医学全般の治療のほか、脳の老化防止の研究でも知られる。

- 認知症の原因は、脳の細胞もしくは血管の障害 -
認知症の原因は大きく2つあります。ひとつは脳の神経細胞が死滅し、神経細胞が減少してしまう「アルツハイマー型認知症」。もうひとつが神経細胞そのものには異常がないものの、脳の血管の障害により十分な酸素と栄養を細胞に供給できないことが原因で起こる「血管性認知症」です。これまで日本人には血管性認知症が多いといわれてきましたが、近年の診断技術の向上によりアルツハイマー型認知症が多いことがわかってきました。
これら認知症は今後も増加が続くことが予想されています。その理由は高齢化が進むことが予測される一方、治療が大変困難であるためです。特にアルツハイマー型認知症に対する有効な治療手段は現在ありません。このため「予防」という考え方が重要視され、アルツハイマー型認知症の予防を中心に研究が進められています。

- 認知症に対するオメガ3系脂肪酸の可能性 -
1990年代に認知症の前駆状態とされる「軽度認知障害(MCI)」という概念が広がるなか、この段階で進行を遅らせる方法が模索されるようになりました。そのなかで、脳の神経細胞の構成物質のひとつであるDHA、体内でその一部がDHAに変換されるEPAをはじめとする「オメガ3系脂肪酸」が注目され、数多くの研究が進められてきました。
現在ではオメガ3系脂肪酸が、血液をサラサラと流れやすい状態に保ち、硬くなった脳の血管を柔軟にして、神経細胞が必要とする酸素と栄養を十分供給できる状態とすることから、血管性認知症を予防し、その初期進行を遅くすることがわかっています。そして近年、アルツハイマー型認知症に対する報告も見られるようになってきました。
前頁にある「健常な高齢者の認知機能の低下を抑制し、脳の萎縮を低減」した理由は、脳の神経細胞の構成物質であるオメガ3系脂肪酸により、神経細胞の構造が強化されたためと考えられます。高齢期になると健康な人も認知機能が低下し、脳の萎縮も進みますが、オメガ3系脂肪酸はそれらを低減する可能性があるのです。
また、「非常に軽度のアルツハイマー病患者の認知機能検査の成績低下を抑制」については、加齢に伴って低下する神経細胞の働きを、オメガ3系脂肪酸が維持しているためと考えられます。被験者は非常に軽度のアルツハイマー病であるため、神経細胞の減少がはじまっている可能性がありますが、オメガ3系脂肪酸が活動を続けている神経細胞に働き、その機能が維持されたため、成績低下が抑制されたと考えることができます。

- 脳の健康を保つために、食生活を見直す -
認知症予防の前提となるのが、脳を健康に保つことです。このためには良質な睡眠と食生活、ストレスをためない生活などがあげられますが、意外と見過ごされているのが食生活です。特に血管性認知症予防を考えたときには、3つの「ア」(アルコール、甘いもの、脂っこいもの)を極力減らし、薄味にすることが有効です。そして先述の通り、オメガ3系脂肪酸であるDHA・EPAには、予防と初期進行を遅くする働きがあることが確認されています。
脳の機能の低下は一般的に40代からはじまり、60歳前後に症状として現れます。また血管性認知症の原因となる血管の問題も60歳頃に顕在化します。このため脳の機能低下がはじまりつつも、血管の問題が生じていない40歳頃から、脳の健康を意識していただきたいと思います。

【浜内 千波 先生 のDHA・EPAが豊富な旬のお魚レシピ】
<プロフィール>
『家庭料理をちゃんと伝えたい』……という思いで、料理教室を主宰。『料理は、もっともっと夢のある楽しいもの』をモットーに、テレビ番組や料理ビデオの出演、講演会、雑誌や書籍の執筆活動、各種料理講習会への参画を積極的に行い、その発想のユニークさやクリエイティブな仕事には定評があります。
最近の主な著書は、『「おいしいね」って言われるレシピ』(KADOKAWA)、『お腹が凹むオリーブオイル・レシピ』 (PHP研究所)、『免疫力を上げるまいたけ健康レシピ』 (マイナビ)、など多数。

◎サバのハニーマスタード焼き[1人分190kcal/調理時間10分]
はちみつと粒マスタードを使ったソースで青臭みを取っています。
<材料:4人分>
サバ     1尾(160g)
塩(サバ用)  小1/4
塩(ブロッコリー用) 小1/3
コショウ   適宜
はちみつ         大2
粒マスタード 大1
水      大3
ブロッコリー 200g
オリーブオイル 大2
ラディッシュ  適宜

-作り方-
(1)サバを4等分に切り、塩コショウをして、
 フライパンで皮目のほうからしっかりと中火から中火弱で皮目を焼き、
 ひっくりかえして身を焼き、取り出す。
(2)サバの横で、ブロッコリーを小房に分けたものを焼き、軽く塩コショウして取り出す。
(3)はちみつ、粒マスタード、水を入れひと煮立ちさせて、少し煮詰め、
 サバを戻して軽くからめ、ブロッコリーとともに盛り合わせる。


◎秋刀魚缶の麻婆ナス風[ 1人分208kcal/調理時間10分]
トマトケチャップでナスの色もきれいになり、また秋刀魚缶も食べやすい味になります。
<材料:4人分>
秋刀魚缶 2缶
茄子   3本
葱    10cm長さ
生姜   1かけ
ニンニク 1かけ
トマトケチャップ 大3
醤油   大1
水    1/2カップ
サラダ油 大1
水溶き片栗粉 小1
山椒    適宜
七味唐辛子 適宜
ごま油   適宜


-作り方-
(1)香味野菜は微塵切りにする。
(2)茄子は7~8mmの輪切りにする。
(3)トマトケチャップと(2)をもみこむ。
(4)フライパンにサラダ油、ねぎ(半量)、生姜(半量)、ニンニクを入れ、香りが出るまで炒める。
(5)(3)を加えて蓋をして、蒸し焼きにする。
(6)水を入れて一煮立ちさせ、秋刀魚缶を入れ、火を通す。醤油で味を整え、水溶き片栗粉でまとめる。
(7)最後に残りのねぎ、生姜をのせ、山椒、七味唐辛子、ごま油をかける


★9月、10月が旬の魚
サンマ、サバ、イワシ、カンパチ










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