太陽グラントソントン
●世界34カ国の景況感平均DI 43。過去最高値を記録した前期(DI46)から3ポイント低下。
●ドイツはDI 36と前期より43ポイントの大幅悪化。 米国はDI 69で前期より5ポイン低下。
●日本の景況感は前期より5ポイント低下しDI 0(ゼロ)、2期連続の悪化。
●世界34カ国の景況感平均DI 43と引き続き高水準。
世界34カ国の自国経済の今後一年の見通しに関する2014年第3四半期(調査実施期間2014年8月~9月、以下今回)景況感平均DI*1 は43で、前期(同2014年5月)から3ポイント低下となったが、前年同期(同2013年8月~9 月)と比較すると11ポイント高く、3期連続でDI 40以上の高水準を維持した。
【日本、中国、米国、英国比較】
●米国および英国が引き続き高い景況感を示す。日本のDIは2期連続で悪化しDI 0に。>
日本の景況感DIは、 2014年第1四半期には調査開始以来の最高値DI 17を記録したが、その後2期連続の悪化となり、今回の景況感は前期比で5ポイント低下のDI 0となった。
米国も、前期比で5ポイント低下となるDI 69となったが、前年同期比では17ポイント上昇となり、3期連続でDI 60以上の高いDIを維持した。
一方、英国は前期から2ポイント上昇となるDI 82を示し、3期連続でDI 80以上の高い水準を維持した。
また、中国における同DIは、前期比25ポイント上昇となるDI 55を記録し、過去3年の中では最も高いDIとなった。
【世界34カ国の景況感】
●ドイツの景況感が大幅に悪化。地域別では、EU加盟国とG7は悪化、BRICsとアジア太平洋地域は共に改善。
今回の調査で、調査対象国34カ国(左表)のうち景況感DIが高い国はインド95、英国82、アイルランド80、ニュージーランド80などとなった。一方、景況感DIが低くマイナスのDIを示した国は、アルゼンチン -44、フランス -42、イタリア -14などであった。
DIが対前期比で大きく改善した国は、タイ(前期比58ポイント増)、中国(同25ポイント増)などとなった。景況感DIが対前期比で大きく悪化した国を見ると、ドイツは前期にDI 79と調査開始以来の最高値を記録したが、今回は逆に前期比で43ポイントの大幅な低下となるDI 36、前年同期比でも15ポイント低下と悪化が際立った。
その他で大きく悪化した国は、オランダ(対前期比 38ポイント低下)、リトアニア(同38ポイント低下)、南アフリカ(同32ポイント低下)などであった。
地域別に比較すると、EU 加盟国平均はDI 21と前期比で22ポイント低下、前年同期比でも1ポイント低下となった。G7平均はDI 43と、調査開始以来の最高値DI 53を記録した前期と比較すると10ポイント低下となるが、前年同期比では9ポイント上昇となった。7ヵ国の内訳をみると前期比で改善となったのは英国のみで、前述のドイツに加え、イタリア(前期比20ポイント低下)とフランス(同28ポイント低下)も大幅に悪化した。一方、 アジア太平洋地域平均(DI 46、前期比4ポイント上昇、前年同期比12ポイント上昇)と、BRICs平均(DI 50、前期比14ポイント上昇、前年同期比18ポイント上昇)は共に改善した。
【日本における動向】
●今後一年間の自社の見通し・日本では全項目で悪化
日本の中堅企業の今後1 年の自社の見通しに関する質問については、前期の同調査では販売価格以外の全項目の見通しが対前期比で改善していたが、今回の調査では一転して全項目で悪化、今後一年間の中堅企業の厳しい見通しが明らかになった。特に大きく悪化したのは「売上高」(DI49)で前期比で25 ポイント低下、次いで「調査研究」(DI 35)で同23ポイント低下となった。また、「雇用」以外の全ての項目で、日本企業は全調査対象国平均を下回った。特に「収益性」と「売上高」ではその差が顕著に現れており、「収益性」では43ポイント「売上高」では32ポイント、それぞれ全調査対象国平均を下回った。
【今後一年間の日本経済の見通し】
●「楽観的」と考える理由として「デフレの解消」「円安の進行」を挙げる人が増加。
●「悲観的」と考える理由として「消費税の増税」が3期連続で最大の要因に。
日本の調査対象者に、今後一年間の日本経済の見通しについて尋ねたところ、 「たいへん楽観的だ」は1.3%、また 「少し楽観的だ」と回答した人は25.3%で前期から9.9ポイント低下した。一方、「たいへん悲観的だ」は5.3%、「少し悲観的だ」は21.3%で前期から5.1ポイント上昇した。この結果「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」の合計と「たいへん悲観的だ」「少し悲観的だ」の合計はともに26.6%と、楽観視と悲観視が均衡する結果となった。
「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」と回答した人に「楽観的だ」と考える理由(複数回答)を尋ねたところ、「現政権の政策」(40.0%)は、前期から32.7ポイント低下したものの、上位に挙げられた。また、「デフレの解消」 (45.0%)や「円安の進行」 (40.0%)、「株価の上昇」 (35.0%)、「米国の景気回復」(35.0」%)が前期よりポイントを伸ばして上位に入った。
「たいへん悲観的だ」「少し悲観的だ」と回答した人に、その理由(複数回答)を尋ねたところ、最も多かった回答は、前期と同じく「消費税の増税」で、前期比で3.2ポイント低下したものの60.0%と依然として高い数字を示しており、2014年第1四半期に本項目を設定して以来3期連続で最大の要因として選ばれた。次に多かった回答も前期同様「内需縮小」で前期比7.6ポイント増の55.0%だった。一方、「為替の変動」「現政権の政策」「世界経済の影響」「新興国の低迷」は10%以下の低位にとどまった。
【経営課題】
自社の事業で過去一年間において達成された事項(複数回答)について尋ねたところ、前期と同様最も多く挙げられたのは「5%以上の増収」(65.0%)で前年同期(2013年8~9月)比で16.3ポイント上昇した。また、「国外における新規市場参入」(13.3%)は前年同期比で9.2ポイント上昇した。一方で「研究開発への予算5%以上の投資」の達成は1.7%となり、前年同期比で3.6ポイント低下した。
今後一年間の主な経営課題について尋ねたところ、上位6項目の順序は前期と同じ結果となった。最も多かった回答は「5%以上の増収」(58.9%)で、前年同期比で3.0ポイント低下した。一方「職員(人員)水準を5%以上増やす」(17.8%)は、前年同期比9.6ポイント上昇、「国外における新規市場参入」(12.3%)は、前年同期比6.1ポイント上昇、「M&A、吸収合併を行う(される)」(12.3%)は、前年同期比5.1ポイント上昇した。
理想の為替相場水準に関する質問では、前期と同様「1ドル=100円以上105円未満」との回答が36%で最も多く、これに「1ドル=95円以上100円未満」「1ドル=105円以上110円未満」が同率(18.7%)で続いた。
TPP交渉で貿易の自由化が進むことによる収益への影響について尋ねたところ、「収益力が高まる」「どちらかといえば収益力が高まる」の合計(19.1%)と「収益力が低下する」「どちらかといえば収益力が低下する」の合計(8.2%)を比較すると、 「収益力が高まる」「どちらかといえば収益力が高まる」の合計が、 「収益力が低下する」「どちらかといえば収益力が低下する」 を9.9ポイント上回る結果となったが、回答が最も多かったのは「わからない」(73.0%)であった。
また、政府に実施してもらいたい経済活性化の推進施策について質問したところ、前期と同様多くの人が自社の経営に直接影響を及ぼす「法人税の引き下げ」(69.3%)や「設備投資減税」(41.3%)を挙げた。他方、「国家戦略特区の創設」 (8.0%)、 「自由貿易の枠組み作り」(4.0%)、「女性の登用拡大」(4.0%)など長期的に影響を及ばす施策への回答は少なかった。
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