APACでは、政府機関によるイニシアチブやインセンティブによって、ヘルスケアITの導入が加速している。テクノロジーの活用による医療費の削減や医療ケアの質の改善などの利点から、政府は医療のデジタル化を優先事項として進めている。また、地域連携医療を通じた患者情報の統合も今後進むことが期待される。これらの利点を踏まえて、政府は民間セクターからのヘルスケアITに向けた投資を奨励するために、官民パートナーシップを結んでいる。
さらに、APACにおける医療ツーリズムの拡大が、医療機関でのより高度なテクノロジーの導入や、国際レベルの医療施設の設置を促進している。「安定したITツールは医療機関が国際水準に見合う医療の提供を可能にするだけでなく、国外の患者にも医療の提供が可能になることで、医療の国際化も実現できる。高度な技術を有することは、医療機関が国際的に認定された機関であることを示す保証にもなる」と、フロスト&サリバンのアジア太平洋地域ヘルスケア部門インダストリーアナリスト、ナターシャ・グラティは話す。
しかしその一方で、APACにおける一部の精度が低いヘルスケアITシステムによって、医療機関は投資に対して慎重となっている。不十分な機能や既存のシステムとの不適合、低いROI(対投資効果)などが、ヘルスケアITシステムの導入拡大における課題となっている。様々なレベルでの取り組みが必要とされており、企業や政府、非営利団体によって、特に相互運用性の改善に向けた取り組みが実施されている。さらに、医療機関やITベンダーは、ヘルスケアITの活用による患者の転帰に関する臨床上の利点や質的改善を定量化できておらず、ヘルスケアIT導入の価値が全てのステークホルダーに十分に認知されていない。
「この様な技術面における課題が存在する一方で、モバイル機器などのコネクティングデバイスの普及が進むにつれて、APACのヘルスケアセクターにおいてデジタル消費者は着実に存在感を示している」と、グラティは述べる。
医療機関は、データや情報を電子的に収集、保管、送信できるデジタル化病院のコンセプトを模索している。一部の企業では、医療・健康上のリスク管理や病気の予防を手助けする予測ソリューションの提供を目的に、ビッグデータやビッグデータアナリティクス戦略の展開に着手しており、じきに利益を生み出すことが期待されている。
「APACのヘルスケアセクターにおけるITの役割は過去数年間で進化を遂げ、ITによる自動化から、地域内での医療ケア提供におけるバリューチェーン全体を統合するものとなった。この様な進化は、顧客経験の強化のために、医療機関や政府間でのより優れた連携が必要とされている状況にかなっている。データは顧客オーナーシップや顧客エンゲージメントを促進する最大の要素であり、有益なデータを生み出すためのデジタル化戦略は、今後5年間でヘルスケア業界の中核となるだろう」と、グラティは話す。
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