コンサルティング会社のFrost&Sullivanは、「ドローン配送のグローバル展望と市場機会」を発表した。日本法人のフロスト&サリバンジャパンが3月15日に発表した。
この調査で修理やメンテナンス用ドローンの需要は今後拡大し、電子商取引(Eコマース)で利用される配送ドローン(マルチコプター型や固定翼型)も2025年までに220万台に到達すると予測する。これまでドローン配送の試験飛行は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、日本、スイスを含む15カ国で行われてきた。実施企業は、Flirtey、Flytrex、Ziplineといったドローン配送ベンチャーや、Amazon、Alphabet、阿里巴巴(アリババ)、京東商城(JD.com)、Airbus、UPSなど。
Frost&Sullivanは、テクノロジ、Eコマース、航空、ロジスティクスなどの知見がある異業種がドローン配送ビジネスに参入することで、市場は成長すると語る。
同社モビリティ部門のコンサルタントであるジョー・プラヴィーン氏は「迅速な配送、交通渋滞の緩和、遠隔地へのアクセス、ミスのない配送など、ドローンは利便性の高さから末端の配送拠点と消費者を結ぶ配送手段として期待されている。ドローン配送に関わる技術は多岐にわたる。ドローン配送サービスを行う企業は現在、ドローンのソフトウェアプラットフォーム開発企業と提携し、AI(人工知能)や自動飛行技術の開発に取り組んでいる。さらに、騒音を抑制する次世代型のドローン用プロペラを開発する企業との提携においても膨大な市場機会が存在する」と話す。
ドローン配送サービスの実施拡大に向けて、サイバーセキュリティへの投資の重要性を同社は語る。ブロックチェーンによって、商用ドローンの安全で正確な追跡調査や飛行制御が可能になる説明する。ブロックチェーンの暗号化技術によって安全性が確保されたネットワークは、ドローン同士、コマンドセンター同士、エンドユーザーの携帯電話との安全な通信を実現するという。
同氏は「ドローン配送サービスは、企業にも大きな市場機会をもたらすだろう。その機会を活用するには、ドローン飛行規制の策定が必要だ。米国の多くの州では、ドローンの飛行許可が認められる状況や用途に関する法規制の枠組みが策定中である」と述べた。
Frost&Sullivanが考えるドローン配送サービスの市場拡大に向けて必要な取り組みは、次の通りである。
- 新たなビジネスモデル確立のための、特定のニーズに応じたドローンの開発
- ドローン配送の円滑な運用に向けた、流通中心地、配送プラットフォーム、充電ステーションなどサポートインフラの確立
- 政府機関との密な連携を通じた、ドローン配送の運用における規制枠組みの策定
- 安全性や飛行規制、騒音といった課題の解決