監修:医学博士、健康科学アドバイザー福田千晶先生
女性の健康力向上を通した社会の活性化への貢献を目指す『ウーマンウェルネス研究会supported by Kao』(代表:対馬ルリ子/産婦人科医)は、大寒に向かって本格的に寒さがつのり、仕事や年末年始の準備などで一年で最も多忙なこの時期に肩、首、腰のこりや腰痛・ぎっくり腰が起きやすい傾向になることから、肩・首・腰のこりや痛みを感じている20 歳から59 歳までの女性446 名に、こりと腰痛・ぎっくり腰についての意識調査を実施しました。
その結果、こりや腰痛などを感じている人の80%は身体が冷えていることを実感しており(図1)、特に冬に感じるという人が40%以上で、一年中感じるという人約50%とあわせると、この時期には90%以上の人にこりや腰痛があることが明らかになりました(図2)。 更に、30 歳以上の女性の70%以上は、「ぎっくり腰経験者または、ぎっくり腰になりそうで怖い」と回答しており、腰に不安を抱えている女性が多いことが分かりました(図3)。
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当研究会メンバーで医学博士、健康科学アドバイザーの福田千晶先生は、次のように指摘しています。
「寒さや衣服の厚着などで身体が縮こまり、特に仕事や家事が忙しくなる年末年始や年度末の時期(3月)に肩や首、腰のこりや腰痛を感じる方やぎっくり腰になる方のご相談が多くなっています。年末年始は、1月の大寒に向かってどんどん気温が低くなってくる上、忘年会・新年会などの飲み会などの付き合いも多く、さらに、大掃除などの普段やらない作業も発生してきます。年度末の時期も仕事が忙しく疲労がたまりやすい上、未だ寒さが続いているのにだんだん薄着になってきて冷えてしまうことから、血流が悪くなります。また、ぎっくり腰はかつて、女性は50代の方が多かったのですが、最近では、30~40代の子育てに忙しい主婦の方も増えています。その理由として常に身体に疲労がたまっている上、PCやスマートフォンなどに集中して同じ姿勢を長く続けることにより血のめぐりが悪くなっていることが考えられます。」
■ぎっくり腰は疲労の蓄積から!?年末年始は特に注意!
こりの原因は、「冷え」、「同じ姿勢でいること(運動不足)」、「疲労」などにより、筋肉が緊張すると血流が滞り、老廃物がしっかり排出されず、筋肉を作っている細胞に酸素や栄養が行き届かないことに起因します。中でも腰痛は、腰はこりを感じにくいので気づかないうちに疲労が蓄積し、そのまま暮らしていると、負担がかかった状態が続くことが原因で起きます。
ぎっくり腰は、このような「疲労」の蓄積が原因のひとつです。「冷え」、「同じ姿勢でいること(運動不足)」などで腰にさらに負担がかかり、何かの拍子に突然に激しい痛みを感じて動けなくなります。意識調査において、腰のこりや痛み、肩・首のこりを感じる人に、その際に行っている行動を質問したところ、「気がつくとしばらくの間同じ姿勢をしている」と回答した人は79%でした。(図4)
福田先生は、「寒いと血管が細くなって、ますます老廃物が排出されにくくなり、栄養が届かなくなるという悪循環がおきます。特に腰痛、ぎっくり腰については、いくつかのパターンがあるものの、忘年会・新年会などの宴会や大掃除などが落とし穴です。年末で仕事が忙しく疲労が溜まっている中、宴会も多くなります。宴会では、椅子や座敷に長時間同じ姿勢でいることに加え、お酒を飲むので一時的に温まるものの、帰宅時はグッと冷えこんでしまいます。また、大掃除などできちんとした姿勢をとらずに重いものをもったり、運んだりしてしまうことなどで首や肩のこりを感じたり、腰の痛みを感じたりします。きちんと身体を温めて、冷えや一日の疲労を解消しましょう」と述べています。
■冬に起こりやすいこりや腰痛、放っておくともっと心配なぎっくり腰。まずは、自分がぎっくり腰になりやすいかチェックしてみましょう。
【ぎっくり腰予備軍チェック表】
□きつい服を着ることがある
□立っているのがつらい
□腰に手を当てると、手の暖かさが気持ちいい
□いつもと違う感覚が腰にある
□荷物がいつもより重く感じる
□なんとなく腰に疲れがある
□腰が張っていると感じることがある
□寒くても薄着をしがちである
□高いハイヒールをよく履く
□いつも荷物が多い
上記にチェックが2個以上ある方は、特に腰部を温めてぎっくり腰にならないように気をつけて生活をすることをお勧めします。(ぎっくり腰になってしまった時は温めず、安静にして様子をみましょう)
《3大こり&ぎっくり腰を予防するために取り入れたい3つの方法》
肩・首・腰などの3大こり、腰痛、ぎっくり腰は、身体を温めて筋肉の緊張をとき、血流を良くし、老廃物の排出を促すとともに酸素や栄養を身体の細胞に届ける必要があります。日頃から身体を温めて血流を良くし、筋肉を緩めるようにしましょう。以下に、こりや腰痛、ぎっくり腰の予防法をご紹介します。
(1)疲労を取り除く、入浴方法(血管拡張作用を高める炭酸入浴)
38~40℃のお湯にゆっくりと入り、身体を温めます。心臓に問題のない方には、肩までしっかりと浸かる全身浴をおすすめします。肩までしっかり浸かることで、身体全体に水圧がかかり、腕や足に溜まった血液が押し流され老廃物を取り除き、疲労回復を促します。特に炭酸ガス入りの入浴剤は血管拡張作用の高いことが確認されています。また、炭酸は濃度が高いほど、血管拡張作用が高まります。
(2)肩、首、腰などの部位を温める方法
温かい空気を外に逃さないように、薄着をせずに、しっかりと防寒することが大切です。また、室内でも場所によっては温度差が激しいので、冷えないように十分な対策をとりましょう。特にこりを感じやすい部分を温めて、血流をよくしましょう。自宅では、ホットタオルなどで直接温める方法もありますが、仕事中や外出時には低温やけどの心配のない、肌に直接貼るタイプの蒸気のでるシートで簡単に血流を促す対策ができます。朝出かける前にシートを貼って温め対策をしましょう。
(3)身体が縮こまりがちなこの時期、同じ姿勢を回避する方法
忘年会や新年会の場では、一時間に一回は席を立ちましょう。仕事や年末年始準備の買物などでPCやネットに集中しても30分おきにストレッチをしましょう。同じ姿勢を長時間とらないように注意します。また、年末ならではの大掃除では、本やふとんなどの重いゴミや荷物を持ち上げる時は、要注意です。しっかりヒザを曲げてかがんでから、ゆっくり持ち上げましょう。
<調査概要>
調査方法 : インターネット調査
調査期間 : 2014年11月
調査対象 : 全国の20歳~59歳の女性 446名
調査内容 : 女性のこりと腰痛・ぎっくり腰に関する意識調査
《参考資料》
■女性の身体の悩みベスト3は、“肩こり”、“腰痛”、“首のこり”
厚生労働省が2014年7月15日に発表した平成25年 国民生活基礎調査では、女性の自覚のある症状として、(1)肩こり、(2)腰痛をあげています。
また、右図の2014年2月の調査でも、女性の身体の悩みとして多かったのは、(1)肩のこり、(2)腰痛、(3)首のこりの順となっています。
●ウーマンウェルネス研究会とは
『ウーマンウェルネス研究会』は、現代女性のライフステージごとに異なる様々な心身の不調を解消し、女性が健康で豊かな生活を送り充実した人生を実現することを願って、医師や専門家、企業が集い2014年9月1日に発足いたしました。女性のウェルネス実現のために、公式サイト「ウェルラボ」( (リンク ») )やイベントなどを通じて、女性が知っておきたい健康の基礎知識や不調への対応策など、心身の健康に役立つ情報を発信します。
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