■ニュースアプリの利用者は今年度末に3,385万人、2018年度末には5,082万人へ。
ニュースを得るための媒体といえば、新聞、テレビ、ラジオなどが長らく主流であったが、近年ではパソコンやモバイル端末でニュースを閲覧する利用者が急増している。特にアプリの普及に伴い、スマートフォンやタブレット端末と言ったスマートデバイスでの閲覧形態が一般化してきているのが現状だ。
日本国内におけるモバイルニュースアプリの利用者数(アクティブユーザー数)は2012年度末に303万人だったが、2013年度末には4倍の1,294万人、2014年度末に2,264万人と増加が続いており、2015年度末(2016年3月末)には3,385万人に拡大する見通し。今後は伸び率こそ落ち着くものの順調に増加を続け、2016年度末 4,084万人、2017年度末 4,657万人、そして2018年度末には 5,082万人がモバイルニュースアプリを利用するものとICT総研は予測する。
従前は、モバイル端末上でニュースを見るユーザーの多くは、ニュースアプリではなくインターネットブラウザ上のニュースサイトを利用するケースが圧倒的であった。今後もブラウザ上のニュースサイトでニュースを閲覧するユーザーは3,000万人規模で安定して推移すると見込まれるが、ニュースアプリの利用者数は増加を続け、これを上回る利用者規模になりつつある。
■利用率1位はYahoo!で23.4%。スマートニュース 13.2%、LINE NEWS 11.6%と続く。
ICT総研では2016年1月21~22日にモバイルニュースアプリの利用実態について、インターネットユーザー 2,157人にWebアンケート調査を実施した。その結果、「1ヵ月以内にニュースアプリを利用したことがある」とした回答者は45.5%を占めた。利用したことのあるニュースアプリは、Yahoo!ニュース(アプリ版)が23.4%でトップとなった。利用率2位はスマートニュース(13.2%)、以下 LINE NEWS(11.6%)、新聞社提供のニュースアプリ(10.4%)と続いた。
前回調査(2014年11月実施)ではYahoo!ニュース(アプリ版)の利用率は31.7%であり、今回調査でもトップの座は守ったものの、利用率は減少している。一方で、スマートニュース(前回6.8%→今回13.2%)、LINE NEWS(前回6.3%→今回11.6%)、グノシー(前回7.3%→今回9.3%)など、2位以下のニュースアプリの利用率の増加が目立った。キュレーション型ニュースアプリの利用ニーズが拡大していることが読み取れる。
Yahoo!ニュースがモバイルニュースアプリの利用率でもトップである要因は、パソコンなどでもともとYahoo! Japanのポータルサイトを利用する5,000万人以上のユーザーを抱えており、ユーザーがアプリの利用にも抵抗がないためであると見られる。
一方で、グノシーがアプリダウンロード数1,200万件突破、スマートニュースも日米合計で1,000万ダウンロード超、NewsPicksも登録ユーザー数が100万人を超えるなど、新興ニュースアプリ事業者の躍進ぶりには目を見張るものがあると言えよう。
■利用者満足度1位はNewsPicksで78.6ポイント。次点はAntenna (76.6ポイント)。
モバイルニュースアプリの利用者に対して、満足度を聞いてみると、満足度1位はNewsPicksであり100点満点換算した満足度ポイントは78.6ポイントとなった。2位はAntennaで76.6ポイントであり、以下 LINE NEWS 76.1ポイント、エキサイトニュース 76.0ポイント、スマートニュース 75.9ポイントと続く。今回調査対象とした全ニュースアプリ事業者の平均満足度は74.9ポイント。ICT総研では、ICT関連のさまざまな分野について、100点満点換算した満足度ポイントを算出しているが、平均満足度ポイントがこの水準に達する製品・サービスはなかなか見当たらない。それだけ各事業者の満足度水準が高いと言える。
前回調査時(2014年11月)には、スマートニュースが77.7ポイントを記録してトップであり、電波の悪い場所でも快適に記事を読める機能などが評価されたと見られた。今回トップとなったNewsPicksは、ニュースに対して「有識者」や「業界の専門家」がさまざまな「解釈」などをコメントする点が大きな特徴となっており、その点が満足度の高さにつながったと言えよう。
■紙媒体とネットメディア間の競争よりも、ネットニュース内での読者獲得競争が重要に。
ニュースアプリを利用しない回答者に対して、その理由を聞いたところ、「他の媒体から得るニュースで十分だから」(53.9%)が群を抜いてトップとなった。前回調査でもこの選択肢が56.1%でトップであり、その傾向は変わっていない。次に多かったのは、「利用の仕方が分からないから」であり17.3%。前回調査時は5.8%と少なかったが、大きく増加した。ニュースアプリが話題になっており、利用してみたいとは思うものの、入手方法や操作方法に利用障壁を感じるスマホ初心者が増えてきているためと考えられる。また、コンテンツ課金に対する懸念や、ニュースアプリ上の広告などは、前回調査時と同様にニュースアプリを敬遠する理由となっている。
文字や写真で読むニュースメディアと言えば、これまで紙媒体の新聞が担ってきたが、若年層の新聞離れが続き、ここ数年でネットニュースがニュースメディアの主役となりつつある。国内の新聞発行部数は2000年の5,370万部から2015年には4,400万部へと減少を続け、歯止めがかかっておらず、今後も新聞購読者の増加は見込めないものと見られる。
表1に示したようにモバイルニュースの利用者だけでも既に5,000万人を超えており、2016年度には7,000万人に達する見込みだ。パソコンやその他の媒体を利用したネットニュース利用者も加えれば、国民の大半が何らかの形でネットニュースを中心に読む時代になってきている。
今後は、今まで以上に紙媒体とネットメディア間の競争よりも、ネットニュース内での読者獲得競争がより重要になるだろう。モバイルニュースアプリでの成功が将来のマスメディアを制するという見方すらできる時代になったと言える。ICT総研は、今後もこの市場の動向、利用者の動向に注視していく方針だ。
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用語解説
【本資料の調査結果・推計データについて】
*この調査は、ニュースサイト運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー2,157人へのWebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものである。
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