・研究グループ独自の光学顕微鏡を駆使し、長年の謎であった氷の表面融解のメカニズムを解明。
・これまで見逃されてきた擬似液体層の新たな生成ルートが明らかに。
◆研究成果の概要
氷の表面は氷点下にあっても擬似液体層と呼ばれる非常に薄い水膜で濡れている。この現象は氷の表面融解として150年以上前から知られているが、そのメカニズムは今なお謎に包まれている。本研究では独自の光学顕微鏡を駆使し、擬似液体層がさまざまな温度、水蒸気圧下でどのように生成・消失し、氷表面を濡らしているのかについて詳細な観察を行った。
その結果、従来の定説に反し、水はそれ自身の固体である氷を完全に濡らすことができないこと、それゆえ、擬似液体層は平衡状態では安定に存在できず、蒸発してしまうことが分かった。
一方で、氷表面がある一定の氷の成長条件もしくは昇華条件を満たしたときのみ、擬似液体層が生成されることも突き止めた。この結果は、擬似液体層が水蒸気から氷へと相変化する過程(もしくはその逆)で過渡的に生み出される中間状態であることを強く示唆する。
本研究成果は、長年の謎であった氷の表面融解を引き起こすメカニズムを新たに解き明かすと同時に、他の結晶表面における表面融解を理解するための普遍的枠組みを与えるものと言える。
◆論文発表の概要
研究論文名: Thermodynamic origin of surface melting on ice crystals(氷結晶における表面融解の熱力学的起源)
著者: 村田 憲一郎(北海道大学)、麻川 明俊(北海道大学、現: 山口大学)、長嶋 剣(北海道大学)、古川 義純(北海道大学)、佐崎 元(北海道大学)
公表雑誌: 米国科学アカデミー紀要
公表日: 米国東部時間 2016年10月17日(月)午後3時(オンライン公開)
▼本件に関する問い合わせ先
所属・職・氏名: 北海道大学低温科学研究所 助教 村田 憲一郎(むらた けんいちろう)
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