日本薬学会第137年会(仙台)一般シンポジウム(2017年3月25日) 「日本発 顧みられない熱帯病(NTDs)治療薬におけるパートナーシップの最前線」 約200名の参加者により大盛況の下に終了

特定非営利活動法人DNDi Japan

From: Digital PR Platform

2017-04-24 13:37


本シンポジウムでは官民パートナーシップによる日本発NTDs治療薬開発の最前線が紹介され、NTDsと治療薬の研究・開発の現状、NTDs治療薬開発のためのDNDi(Drugs for Neglected Diseases initiative顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ)による企業の壁を超えたコンソーシアム「創薬ブースター」の革新的な創薬候補化合物のスクリーニングと最近の成果が説明されました。

さらに、候補化合物の最適化研究、NTDs創薬のためのフィールドでの臨床試験や薬剤アクセスまでをカバーするPDPs(Product Development Partnerships)の役割、NTDs創薬への投資を行う官民パートナーシップのグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について紹介されました。NTDs創薬の先行日本企業からその参画が自社にもたらしたインパクトの紹介やアカデミアへの期待などについても議論がなされました。

今回のシンポジウムは、2015年3月に初めての試みとして行われた日本薬学会一般シンポジウム「日本発 顧みられない熱帯病治療薬開発への挑戦」の第二弾として位置づけられ、NTDs治療薬開発への関心を有するアカデミアから企業までの多くの方々約200名にお集まりいただき、立ち見が出るほどの大盛況でした。

―参加者アンケート結果から:2015年の前回のアンケート結果と比較して―
「顧みられない熱帯病(NTDs)」に対する参加者の知識・関心度は2年前の前回より総じて増しています。

企業からの参加者が前回時の22%から大幅アップの43%となり、企業の関心の高さがうかがわれました。「NTDsを以前から知っていたか?」の質問に対して、「知っていた」が82%にものぼり、前回の60%を上回りました。「NTDsとはWHOが指定した18の疾病であることを知っていたか?」の質問に対しても、「知っていた」が41%で、前回の25%を上回りました。「2012年採択のNTDsに関するロンドン宣言」については「知らなかった」が69%で前回の59%と比較して、知らなかった人が増えています。「NTDsに対する現在の関心度は?」については、「非常に興味あり」が前回の48%から61%となりました。「以前と比較して関心の度合いは増したか?」については、今回と前回とも約9割の参加者が「増した」と答えました。その理由として、前回においては「昨今のエボラ、デング熱の話題から」が断トツに高かったのですが、今回は「大村智先生のノーベル賞受賞から」「官民パートナーシップGHIT Fundの活躍から」「グローバルヘルス向上への貢献から」が理由として上回りました。

<「シンポジウムで一番印象に残ったこと(自由回答)」から代表的な意見を抜粋紹介>
★「産官学」の連携がうまくとれているという印象が残りました。なかなか企業だけ、アカデミアだけでは研究が難しい分野だとは思いますが、この連携の良さを活かした創薬を達成してほしいと思います。★様々な壁をこえて、パートナーシップが築かれていること。この取り組みが、可能な限り早くに実現し、少しでも多くの人々の命が救われれば、と深く望むとともに、今後、私もこの活動の一端を担う立場になりたいと思いました。企業としては、今ある資源とニーズとをマッチングするシステムやサポートの設立をする、という観点が非常に勉強になりました。★以前の薬学会年会(神戸)での講演より企業全体の取り組みが進展していたこと。創薬ブーストは理想的。各企業の英知をうまく活用できていて良いプロジェクトだと感じた。★塩野義さん、武田さん、エーザイさんと言った大手の会社が、NTDsに関与しているということそのものが印象に残りました。(顧みられない病の薬を創ることは、企業としては、なかなか動けない場合が多いのではないかと思っていたため。)

<その他のコメント(自由回答)から代表的な意見を抜粋紹介>
★感染症のシンポジウムは毎回やっていただきたい。年々感染症の動向は変わる。さらにオリンピックを考えるとグローバル化は進むと思われる。★大村教授のノーベル賞受賞も相まって、興味関心も急上昇していると思います。このすばらしい取り組みを、もっと世の中にアピールしても良いと思います。★シンポジウムに来ている人は既に関心がある人だが、そうでない人に関心ももってもらいたい内容でした。将来NTDs撲滅に貢献していくためには、どうしたらいいのだろう。★大手の会社がかなり熱心にNTDに取り組んでいることに非常に感銘を受けました。★NTDsという言葉は知っており、興味もありましたが、なかなか詳細を知る機会がなかったため、今回のシンポジウムでは概要から詳細な説明までうかがえたので大変勉強になりました。

なお、今回のシンポジウム「日本発 顧みられない熱帯病(NTDs)治療薬におけるパートナーシップの最前線」の採録が2017年中に雑誌「臨床評価」に紹介される予定です。

注1:WHOが顧みられない熱帯病と指定した18の疾病とは
リンパ系フィラリア症(象皮病)、シャーガス病、リーシュマニア症、ギニア虫感染症、アフリカ睡眠病、失明に至るトラコーマ、ハンセン病、住血吸虫症、オンコセルカ症(河川盲目症)、土壌伝播寄生虫症(腸内寄生虫)、ブルーリ潰瘍、デング熱、嚢尾虫症、狂犬病、包虫症、食物媒介吸虫類感染症、風土性トレポネーマ症、マイセトーマ(真菌性菌腫)
注2:2012年採択の「顧みられない熱帯病に関するロンドン宣言」とは
2008年第34回主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)において顧みられない熱帯病に感染した人々に支援を届ける宣言がなされ、2012年1月30日、世界の製薬会社、WHO、各国政府、世界銀行などが集まって、顧みられない熱帯病の10の疾病を2020年までに撲滅・抑制するために寄付や研究などで協力する「顧みられない熱帯病に関するロンドン宣言」が採択されました。
以上

参考
2017年3月25日開催の日本薬学会137年回(仙台)一般シンポジウム:
「日本発 顧みられない熱帯病治療薬におけるパートナーシップの最前線」

山田 陽城 東京薬科大学薬学部特任教授/北里大学名誉教授/DNDi Japan理事長
北 潔 長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科研究科長 教授/東京大学名誉教授
 オーガナイザー挨拶・シンポジウム趣旨説明(東京薬科大学 山田 陽城)
 NTDsと治療薬の現状と課題(長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科 北 潔)
 顧みられない病気の治療薬開発へのDNDiの役割(東京薬科大学 山田 陽城)
 創薬ブースター:ヒットからリードへの創薬科学における革新的なアプローチ(DNDi チャールズ モーブレー)
 人類を脅かす感染症に対する治療薬の研究開発に対する企業としての取り組み(塩野義製薬株式会社 山野 佳則)
 Access to Medicineへの取り組みと研究プロジェクト(武田薬品工業株式会社 池浦 義典)
 顧みられない熱帯病制圧に向けたパートナーとの治療薬の研究開発及び提供(エーザイ株式会社 渡辺 直彰)
 総括・質疑応答(長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科 北 潔)

【Drugs for Neglected Diseases initiative, DNDi :顧みられない病気の新薬開発イニシアティブについて】
1990年代後半、発展途上国の現場で医療活動に従事していた国境なき医師団のチームは、顧みられない病気に苦しむ患者を治療できないことに苛立ちを募らせていました。患者の治療に使用する医薬品の効果がなかったり、強い副作用があったり、あるいは製造中止になって使用ができないなどの問題があったためです。そこで、国境なき医師団は、1999年に受賞したノーベル平和賞の賞金の一部を、患者のニーズを重視して、顧みられない病気に対する治療薬の研究開発(R&D)に取り組むための革新的な組織の設立に充てることに決定し、スイス・ジュネーブに本部を置く非営利財団として2003年7月に正式に発足しました。DNDiはヨーロッパを中心とした多くの政府機関および私設財団から資金援助を受けて活動しています。2013年度からは日本政府も参画する公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)による資金援助も受けています。また、WHOの熱帯病医学特別研究訓練プログラム(WHO-TDR)が常任オブザーバーとして参加しています。www.dndi.org/

【DNDi Japanについて】
DNDi Japanは、2003年に日本の活動を開始し、2009年に特定非営利活動法人として東京都の認証を受けました。顧みられない熱帯病(NTDs)に苦しむ途上国の人々を援助するために日本の窓口として、DNDi本部のプロジェクトを支援し日本国内外の協力先と協働して、NTDsの治療薬開発、それに関連する能力開発、ならびに啓発活動など、発展途上国の人々の保健医療、福利厚生に貢献することを目的とした活動を行っています。 (リンク »)

お問合せ:広報担当 松本眞理(mmatsumoto@dndi.org/ TEL03-4550-1195)

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