マーサー 『2017年世界生計費調査‐都市ランキング』を発表

マーサー ジャパン株式会社

2017-06-21 15:30

•海外駐在員にとって最も物価が高い都市はルアンダ(アンゴラ)、最も低い都市はチュニス(チュニジア) •東京は3位に上昇(前年は5位)、大阪22位、名古屋54位 •アフリカ、アジア、ヨーロッパの都市がランキング上位を占め、アジア5都市がトップ10にランクイン •変動する世界情勢下において、多国籍企業はキャリアの成長を支え国際競争力を確保するために海外赴任者に注目している •海外派遣はグローバルタレント戦略上の重要課題のひとつである •グローバル企業の競争力を維持する報酬体系は不可欠である
世界最大級の組織・人事コンサルティング会社、マーサーは、「2017年世界生計費調査 (Cost of Living Survey)-都市ランキング」の結果を発表した。

急激に変化する世界情勢において、海外派遣は多国籍企業のグローバルタレント戦略の重要課題の一つとなっている。派遣先の増加に伴い増える海外赴任者をサポートするために、企業は文化的視点からの評価、地域間異動への準備、そして、競争力を維持する報酬パッケージの改善に力を入れている。企業はこうした課題に取り組みながら、社員のニーズに応え、そのキャリアをサポートするために力を尽くしている。マーサーの 2017年グローバル人材動向調査によれば、社員にとって公平で競争力のある給与と昇進機会が優先事項となっている。不確実で変化の絶えない現在の事業環境からすれば当然の結果である。

その結果、多国籍企業は海外派遣に際しての駐在コストを慎重に把握している。今年で23年目となるマーサーの世界生計費調査結果から、不安定な住宅市場や価格上昇などの要因が、現在の国際的な事業遂行に要するコスト全体に影響を及ぼしていることが明らかになった。

「市場のグローバル化については様々な事例がありますが、多くの企業が複数の国で事業を行い将来幹部となる者に経験を積ませるために海外赴任を推進しています。」とシニアパートナーでマーサーのキャリアビジネスのプレジデントでもあるイリヤ・ボニックは言う。「派遣期間にかかわらず、社員の海外派遣には個々人や組織面で様々な利点があります。例えば、海外で経験を積んでキャリアアップする、スキルを伸ばし赴任する、リソースを再配分する、といったことです。」

マーサーの 2017年世界生計費調査によれば、アジアと欧州の都市(特に香港 (2位)、東京 (3位)、 チューリッヒ (4位)、シンガポール (5位) )が駐在員にとって最も物価の高い都市の上位を占めている。物価やセキュリティ・コストにより、最も物価が高い都市はアンゴラの首都ルアンダ (1位)となった。続いて、駐在員にとって物価が高いその他の都市としては、ソウル (6位)、ジュネーブ (7位)、 上海(8位)、ニューヨーク (9位)、ベルン (10位)がトップ10に入った。一方で、駐在員にとって世界で最も物価の低い都市は、チュニス (209位)、ビシュケク (208位)、スコピエ (206位)となった。

マーサーの世界生計費調査は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されている。今回発表のランキングはニューヨークをベースとし、ニューヨークを100とした場合の各都市の指数を比較している。基軸通貨は米ドルとしている。

この調査は、5大陸209 都市において、住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査し、それぞれを比較している。

「従来、海外赴任、タレントマネジメント、報酬については個別に管理されてきましたが、昨今企業はより総合的なアプローチをとり、国際間移動戦略を強化しようとしています。報酬は競争力を保つために重要であり、生計費、通貨、赴任地の観点から適切に決定しなければなりません。」とボニックは言う。

【地域別分析】

◆南北アメリカ

南北アメリカ地域では米国の都市が最も物価が高い結果となった。ニューヨーク (9位)が最も高く、昨年から2つ順位を上げた。サンフランシスコ (22位)とロサンゼルス (24位) がこれに続き、それぞれ4、3と順位を上げた。他には、シカゴ (32位) が2つ順位を上げ、ボストン (51位) は4つ順位を下げた。シアトルは7つ順位を上げた。ポートランド (115位)とウィンストン=セーラム (140位) は今年も米国で最も物価の低い調査都市となった。

マーサーのプリンシパルでありこのランキングの編集責任者であるナタリー・コンスタンティン=メトラルは、「全体的に、米国の都市は順位が安定しているか、世界の主要通貨に対する米ドルの動きから多少順位を上げています。」と述べている。

南アメリカでは、ブラジルのサンパウロ (27位)とリオデジャネイロ (56位)がそれぞれ 101、100と飛躍的に順位を上げたが、これは米ドルに対して現地通貨レアルの価値が上昇したことによる。アルゼンチンの首都であり金融の中心でもあるブエノスアイレスが40位に入り、これにサンチャゴ (67位)、ウルグアイのモンテビデオ (65位)が続き、それぞれ41、54と順位を上げた。南アメリカで他に物価の高い都市として順位を上げたのは、リマ (104位)とハバナ(151位)である。 94位から順位を下げたコスタリカのサンホセ (110位) は地域でも最も大きく順位を落としたが、米ドルに対して現地通貨コロンが上がった影響による。ベネズエラのカラカスは公定為替レートが複数存在する複雑な状況にあり、選択する為替レートによって順位が大きく変わるため、マーサーでは今年もランキングから除外した。

「インフレの懸念により一部の南アメリカの都市は引き続き順位を上げていますが、この地域では現地通貨安により順位を落としている都市もあります。」と コンスタンティン=メトラルは言う。

昨年より35順位を上げたバンクーバー (107位)はトロント (119位) を抜き、カナダで最も物価の高い都市となった。これに続くのがモントリオール (129位)とカルガリー (143位)である。152位のオタワはカナダで最も物価の安い都市となった。「カナダドルの価値が上がり、今年の順位に大きな変動が生じました。」とコンスタンティン=メトラルは解説している。

◆ヨーロッパ・中東・アフリカ

ヨーロッパで、海外赴任者にとって最も物価が高い都市トップ10に残ったのは3都市であった。
チューリッヒ (4位) が再びヨーロッパで最も物価が高い都市となり、これにジェノバ (7位)、ベルン (10位)が続く。モスクワ(14位)とサンクトペテルブルグ (36位)がルーブル高や物価上昇により、それぞれ昨年から53、116と順位を上げた。一方、イギリスのロンドン (30位)、アバディーン (146位)、バーミンガム (147位)は、イギリスのEU離脱決定後のポンド安の影響により、それぞれ13、61、51と順位を落とした。コペンハーゲン (28位)は24位から 28位へ4つ順位を落とした。オスロ (46位)は昨年から13位上がり、パリは18順位を下げ62位となった。

その他の西ヨーロッパの都市も順位が下がったが、主に米ドルに対する現地通貨安によるものである。ウィーン (78位) とローマ (80位) はそれぞれ24、22と順位を落とした。ドイツではミュンヘン (98位)、フランクフルト (117位)、ベルリン (120位) がかなり順位を落とし、デュッセルドルフ (122位)とハンブルク (125位)も同様だった。

「ヨーロッパのほとんどの都市で物価上昇は緩やかながら、欧州通貨が米ドルに対して安くなり、ほとんどの西ヨーロッパ都市の順位を下げることとなりました。」とコンスタンティン=メトラルは説明している。「そのうえ、ユーロ圏の経済状況の影響も受けています。」

米ドルに対して現地通貨が下落した結果、プラハ (132位)やブダペスト (176位)といった東西ヨーロッパの都市は順位を落とした。一方で、地域の住居費は安定しているものの、ミンスク (200位) やキエフ (163位)はそれぞれ4、13と順位を上げた。

17位のテルアビブは昨年から2つ順位を上げ、引き続き中東で海外駐在員にとって最も物価の高い都市となり、これにドバイ (20位)、アブダビ (23位)、リヤド (52位)が続き、いずれも順位を上げた。ジッダ (117位)、マスカット (92位)、ドーハ (81位) はこの地域で最も物価が低い都市である。カイロ (183位) は地域内で最も物価の低い都市で、大幅な通貨切り下げが行なわれたために昨年から92順位を落とした。

「エジプトが自国経済の強化を促す目的で、3年間で120億ドルの融資を受ける代わりに通貨を自由変動相場制に移行する決定を下したため、エジプトポンドが米ドルに対して100%以上大幅に引き下げられ、カイロは順位を落としました。」と コンスタンティン=メトラルは述べる。

アフリカの多くの都市は、今年の世界生計費調査でも上位に入っており、海外赴任者にとって生計費や物価が高いことが窺える。ルアンダ (1位) は、現地通貨安にもかかわらず、アフリカ全体及び全世界で最も物価の高い都市としてトップとなった。これに続くのがビクトリア(14位)、ンジャメナ (16位)、キンシャサ (18位)である。チュニスは6つ順位を落として209位となり、地域、および全体として最も物価の低い都市となった。

◆アジア・太平洋

今年のランキングのトップ10 のうち5都市がアジアである。香港 (2位)はドルペッグ制の影響により、現地の住居費が上がり、最も物価の高い都市となった。この国際金融センターである香港に続くのが東京(3位)、シンガポール (5位)、ソウル (6位)、上海 (8位)である。

「消費財の価格の高さや、変化の絶えない住宅市場に円高が加わり日本の都市は上位に入っています。」とコンスタンティン=メトラルは述べている。「一方で、中国の都市の大半が中国元の下落に伴い、順位を下げています。」

オーストラリアの都市はいずれも米ドルに対するオーストラリアドルの価値の上昇により、昨年よりランクをあげている。シドニー(25位)は、オーストラリアで海外赴任者にとって最も物価の高い都市であり、17順位を上げた。メルボルン(46位) とパース (50位) もそれぞれ25、19と順位を上げた。

インドで最も物価が高いのはムンバイ (57位)で25順位を上げた。急速な経済成長、対象品目の価格上昇、米ドルに対する現地通貨の安定が理由である。インドで最も人口の多いこの都市に続くのがニューデリー(99位) とチェンナイ (135位) でそれぞれ31、23順位を上げた。バンガロール (166位) とコルカタ(184位)はインドで最も物価の低い都市だが、やはり順位を上げている。

アジアのその他の地域では、 バンコク (67位) が昨年から7順位が上がり、ジャカルタ (88位)とハノイ (100位)もそれぞれ5、6順位を上げた。カラチ(201位)とビシュケク (208位)は今回も海外赴任者にとって地域で最も物価の低い都市となった。

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マーサーでは、調査対象となったそれぞれの都市について、個別の生計費および住居費のレポートを提供しています。都市ランキングの詳細や個別都市のレポートのご購入に関しては、マーサーのホームページをご覧いただくか、インフォメーション・ソリューションズまでご連絡ください。(TEL:03-5354-1483、Email: mobility.japan@mercer.com)

• マーサー:日本人世界生計費レポートについて  (リンク »)
• よくある質問集:世界生計費レポート  (リンク »)
• サービス概要:インフォメーション・ソリューションズ  (リンク »)

付記:2017年マーサー世界生計費調査について
マーサーの世界生計費調査は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されています。一般的な物価指数を測るものではありません。今回発表のランキングは、プレスリリース用にニューヨークをベースとし、ニューヨークを100とした場合の、各都市の指数を比較し、基軸通貨は、米ドルとしています。

掲載されている生計費および住居費の数値は、すべて2017年3月にマーサーが実施した世界生計費調査に基づくものです。為替は2017年2月の平均レートを使用しており、品目はマーサーの国際人用バスケットをベースとしています。

このデータは、政府機関や多国籍な企業が従業員を海外に派遣する際に、海外駐在員の購買力を補償するために利用されています。また、住居費に関するデータは、海外駐在員の現地における住居手当を決定する際に利用されています。調査対象都市は、企業や政府機関からの要望により選択されたものです。

調査対象都市の個別レポートは、マーサーよりお求めいただけます。派遣元の都市および派遣先の都市を選択いただいた上で、派遣元の生計費を100 とする現地生計費の指数をご提供いたします。通常駐在員の給与を算出する際には、「海外赴任することで発生するエキストラなコストは別途支給する」という考えから、住居費は別途手当で支給すべきと判断し、生計費の指数の算出対象品目の中には、住居費は含まれません。住居費は別途住居費の情報をご提供しております。ただし、今回発表のランキングは、外国人駐在員が一般的に利用する住宅の家賃を含めたランキングとなっていますので、ご注意ください。また、この データはマーサーでは「国際人用」と呼び、国籍を問わない一般的な海外駐在員モデルの購買パターンを予想し、それに沿った生計費を調査した上で、指数を算出しているものです。このデータをベースに、日本人独特の品目(米、味噌、日本語の新聞など)を追加し、特に日本人用にカスタマイズした「日本人用」世界生計費レポートもございます。

都市ランキングリストはプレスリリース用に作成したものであり、全文掲載は禁じます。上位、下位のそれぞれ10都市については表形式で複製可能ですが、出来るだけ事前にマーサー広報(TEL:03-5354-1674、Email: pr.japan@mercer.com)へのご連絡をお願いいたします。

全ランキング(英語)は下記フォームへの入力後ダウンロード可能です
(リンク »)

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※ランキング表を含むリリース全文は、以下よりご参照ください
(リンク »)
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<マーサーについて>
マーサー(英語社名:Mercer、本社: ニューヨーク、社長兼CEO:Julio A. Portalatin) は、組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野でサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームです。

全世界約21,000名のスタッフが40カ国以上約180都市の拠点をベースに、130カ国以上で、28,000超のクライアント企業のパートナーとして多様な課題に取り組み、最適なソリューションを総合的に提供しています。

日本においては、35年余の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&Aアドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、資産運用に関するサポートなど、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。

マーサーは、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン証券取引所に上場している、マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(証券コード: MMC)グループの一員です。 マーサーについての詳細は、以下をご参照ください:
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マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ (ニューヨーク証券取引所コード: MMC) は、グローバルプロフェッショナルサービスを提供する企業グループとして、顧客企業にリスク、戦略、人材分野の助言とソリューションを提供しています。

マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズはマーシュ(保険仲介とリスクマネジメント)、ガイカーペンター(再保険仲介・コンサルティング)、マーサー (組織・人事マネジメント・コンサルティング)、そしてオリバーワイマン(戦略コンサルティング)から構成されており、年間総収入130億米ドル超、全世界に60,000名の従業員を擁し、130ヶ国以上で顧客に分析、アドバイスを行い、各種取引を支援しています。

当グループは責任ある企業市民として事業展開しているコミュニティに貢献しています。詳しい企業情報については (リンク ») 、今日企業が直面する課題に取り組む当グループの国際的な実務能力とソリューションについては (リンク ») をご覧ください。

<本件に関するお問い合わせ>
マーサージャパン株式会社
広報
小原 香恋 Karen Ohara
Tel: 03 5354 1674 pr.japan@mercer.com

プロダクト・ソリューションズ
Tel: 03 5354 1483 mobility.japan@mercer.com

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