マーサー 「グローバル年金指数ランキング」 (2017年度) を発表

日本の年金制度は30ヵ国中29位

マーサー ジャパン株式会社 2017年10月23日

● デンマークが6年連続首位を堅持、最下位はアルゼンチン ● 日本の指数・ランキングは変化なく下位に留まる。少子高齢化の進展に伴う問題解決など抜本的な改善が求められる ● 世界中の多くの年金制度の持続性が危ぶまれ、決定的な対策を迫られている

マーサージャパン株式会社
2017年10月23日

● デンマークが6年連続首位を堅持、最下位はアルゼンチン
● 日本の指数・ランキングは変化なく下位に留まる。少子高齢化の進展に伴う問題解決など抜本的な改善が求められる
● 世界中の多くの年金制度の持続性が危ぶまれ、決定的な対策を迫られている


世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーは、2017年度グローバル年金指数ランキング 「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数」 レポートとランキングを発表した。

ランキング首位はデンマークで、2012年より6年連続で首位を堅持、総合指数は78.9であった。
日本の年金制度のランキングは30ヵ国中29位と再び下位に留まり、総合指数は2016年の43.2より若干上がり2017年は43.5となった。

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数 (MMGPI)」は調査開始から今年で9年目を迎え、調査対象国は30ヵ国となり全世界の人口の60%をカバーしている。今回の調査結果は、持続が危ぶまれる年金制度を有する国々に対し、今こそ早急に対策を講じなければならないと、警鐘を鳴らすものとなっている。

マーサーのシニア・パートナーであるジャック・グレーは、各国が年金制度改革を検討する際に、制度の持続性に取り組む必要性を強調している。
「平均余命の伸び、および低い投資リターンが、長期的に見て、世界中の多くの年金給付制度の現在および将来における退職給付の支給能力に影を落としています。また、このような差し迫った状況が、世代間格差の問題の重要性を増大させていることを各国政府へ警告しています。」

「日本、オーストリア、イタリア、およびフランスといった先進国の年金制度は、現在および将来老後を迎える世代を支える持続性が確保された年金給付モデルとは言えません。これは、将来必要となる年金資産が確保されていないこと、高齢者層の労働参加率の低下、高齢化による大幅な人口動態の変化などの複合的な要因によるものです。これらの年金制度をこのまま放置した場合、年金給付が世代間で公平に分配されないという社会問題を引き起こすでしょう」

しかし、マーサーのシニア・パートナーであり当レポートの責任者でもあるデービッド・ノックス博士は、将来に全く希望が持てないというわけではなく、各国がより良い年金制度へ移行すべく喫緊の対策を講じれば、今後改善する可能性は十分にある、と述べている。

「当指数の第一の目的は、現在および将来において、どのような観点で最善策がありそうなのかを把握し易いように、各国の退職所得制度を指数化するものです。当社の調査を通して、どの国が将来十分な給付を支給し得る、持続性の高い年金制度を先駆けて提供しているのか、そして年金制度の改善を必要とする他の国々がそれらの国々から何を学ぶことができるのかが明確になっています。評価が高かったデンマーク、オランダ、およびオーストラリアの3ヵ国は、立場によってそれぞれ異なるアプローチを取っているものの、それぞれ堅固な多階構造の年金制度を採用していると言えます。」

【将来の展望】

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数」は、世界各国の年金制度を最も包括的に比較したもので、各国年金制度を横断的に比較し、かつ最も多角的、包括的に調査した指数であるといえる。長寿リスク、高齢者の人口割合増加、長寿化による貯蓄額の不足など、現在多くの退職者が直面している問題をふまえ、各国政府がどのように適切かつ持続可能な給付の提供をし得るかについて提案している。
評価指数は40以上の項目から構成され、それぞれ「十分性 (Adequacy)」、「持続性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」に大別され、30ヵ国の年金制度を検証しており、全世界の人口の60%をカバーしている(※調査方法の詳細は "FACT SHEET" を参照)。

より良い老後を送るという実現性の観点から、今年の指数は世界の年金制度をより深く、かつ詳細に分析している。

年金制度の持続性向上のため、他の国々よりも一層の急進的改革が必要となる国々が幾つかあることが明らかになった。それぞれの国が抱える独自の事情に合わせ、異なる原点から改革を始めなければならないが、対策を講じれば、全ての国がより良い年金制度へ移行することができる。長期的に見て完璧な年金制度は存在しないが、現時点で取るべき最善策は明確であり、各国政府は改革に必要となる政策や経済状況を作るべきである。

また今年はコロンビア、ニュージーランド、及びノルウェーも対象国に加わった。異なる背景や文化において運営される多種多様な年金制度の国際比較が可能となる。

【数値で見るマーサー・メルボルン・グローバル年金指数】

2017年の指数評価は、デンマークが総合指数78.9で、オランダの78.8およびオーストラリアの77.1を上回り、6年連続の首位を堅持している。

新規調査対象国のうち、ノルウェーとニュージーランドの指数値はそれぞれ74.7、および67.4となり、それぞれの年金制度の信頼性を示す総合指数値となった。両国とも多くの優れた特性を伴う健全な構造を有する年金制度と評価されたが、改善すべき領域もある。一方コロンビアの総合指数は61.7となり、いくつかの優れた特性を備えているものの、対処すべきいつくかの重大なリスクと欠点も存在する制度と評価された。

日本の年金制度については、例年指数・ランキング共に大きな変化がなく、制度の安定性はみられるものの、高齢化社会をめぐる課題に対する取り組みなど、引き続き改善の余地があることが明らかになった。日本の総合指数は例年とほぼ変わりなく43.5で、評価はDであった。各項目の指数については、最も低い項目である“持続性”(Sustainability)は2016年の24.4から26.0(評価E)に若干上がり、十分性(Adequacy)“の項目は48.0(評価D)、”健全性(Integrity)“の項目指数は60.7(評価C+)とほぼ変化はなかった。
日本の制度を更に改善するために可能な対策として、以下の対策が挙げられる。
● 家計貯蓄額の増加
● 年金給付額の引き上げに伴う、所得代替率の改善
● 退職給付の年金形式での受給を促す制約の導入
● 平均余命の延びに伴う公的年金制度の支給開始年齢のさらなる引き上げ
● GDPに対する政府債務残高比の引き下げ
マーサージャパン年金コンサルティング部門チーフ・アクチュアリーである伊藤寛太は、日本の年金制度の評価について以下のようにコメントしている。

「2017年の日本の年金制度の総合評価は、30ヵ国中29位と、前年に引き続き下位に留まっています。総合指数は、公的年金・私的年金を含めた年金制度を、十分性、持続性、健全性、の3つの観点から検証しています。日本の総合指数が低いのは、十分性と持続性の指数が低いためです。

前年と同様に、十分性に関しては、年金給付による所得代替率 (現役世代の年収に対する年金給付額の比率) が低いこと、税制や私的年金の仕組みが年金受給を促す形になっていないこと、などにより指数が低くなっています。持続性においては、少子高齢化に伴い、高齢者人口割合の増加していること、平均余命の増加に伴い、公的年金の期待支給期間(年金支給開始年齢時の平均余命)が長くなっていること、更に、政府債務残高が大きいことなどの要因により指数が低くなっています。

少子高齢化に伴い、公的年金では、給付水準の引下げ、支給開始年齢の引き上げ、マクロ経済スライド方式による給付調整等が行われてきました。現役世代の負担面では、保険料の引き上げも行われ、2017年から保険料率が上限に達しました。今後の高齢化の進展で、給付と負担の観点から、更なる支給開始年齢の引き上げも考えられます。そのような状況になれば、私的年金での補完の強化策や高齢世代の労働市場への参加促進策など、老後資金の蓄え方と、高齢期に向けたキャリア形成や働き方をセットで考えることが重要となるでしょう。」

【2017年度指数において最高評価「A」の獲得国はなし】

指数の健全性と妥当性を維持するにあたり、本年は新たに2つの検証項目を追加した。1つ目の項目は、持続可能性の評価指標となる実質経済成長に関する事項で、2つ目は個人年金を考慮したものであったが、これら項目の影響により、今回「A」ランクの評価を得た国はないという結果になった(昨年はデンマークとオランダのみが「A」ランク評価を得た)。

持続性の評価指標として新たな検証項目が追加された結果、自ずと評価基準の重み付けにおいて、資産や拠出金の水準に関する項目の重要度が後退した。指数値が大幅に改善されたのは、過去3年間における実質経済成長率が高く、今後3年間その成長が持続すると予測される国々で、中国、インド、インドネシア、アイルランド、マレーシアなどがこれに該当する。逆に、巨額の年金資産を有し、強制拠出金額も多額ではあるものの実際の経済成長率が低い国では、持続性の評価指標が低下している。カナダ、デンマーク、オランダなどがこれに該当する。

「当指標 (MMGPI)は、世界中の政策立案者が、持続可能でかつ、十分性が高い年金制度から学び得る重要な参考資料です。各国共通で適用可能な完璧な年金制度は存在しないということは明らかですが、同時により良い制度構築のために共有されるべき、多くの共通した特徴があることも事実です。」とノックス博士は述べている。

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FACT SHEET
「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数」 調査方法

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)」は、2009年に11ヵ国を対象として調査を開始。9年目の2017年の対象国は2009年実施当初の11ヵ国から30ヵ国に拡大、全世界の人口の60%をカバーしている。

特長

● 対象国の様々な年金制度への取り組みが指数として表される。
● 公的ならびに私的年金制度の積み立てや、個人貯蓄などの年金以外の資産についても客観的な評価をしている。
● 調査では、対象国の年金制度に0から100までの評価が付けられ、「十分性 (Adequacy)」、「持続性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」の平均評価値が指数として表される。
● 各国の老後の所得保障制度における40以上の検証項目から構成され評価付けされている。
各項目の評価指数における構成は次の通り:
- 十分性 (Adequacy)  40%
- 持続性 (Sustainability)  35%
- 健全性 (Integrity)  25%

定義

● 十分性 (Adequacy)  の項目において高い評価を得ている国は、平均以上の最低年金額によって貧困の緩和がみられ、中所得者の所得代替率がよく、老後の所得として定期的に給付を受け取れるシステムがあり、その他の制度が制定されている。
例えば、公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか、等が評価対象になる。

● 持続性 (Sustainability)  の項目において高い評価を得ている国では、年金制度に優良なカバレッジ (通常、年金制度の義務化および自動登録などによる)、対GDP年金基金運営資金高比率が達成され、制度の義務化、政府債務が低いことが挙げられる。
例えば、年金が支払われるのに十分な環境が整っているか、平均寿命と支給開始年齢の関係は良いか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等が問われる。

● 健全性 (Integrity)  の項目では、包括的な規制を設け、年金制度のガバナンスおよび政府と国民間のコミュニケーションにおいて数ヵ国が高評価を得ている。例えば、年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか、また私的年金のスキーム等が評価される。なお、世界銀行が発表している世界ガバナンス指数を評価に加えている。
いる。* 世界銀行 - プレスリリース
(リンク »)

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「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(MMGPI)」の詳細・参考資料は以下をご参照ください

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数2017」 レポート全文 (英文 -PDF: 約7MB)
MMGPI Infographics (英文 ‐グラフ中心のパンフレット ‐ 4ページ)
※上記資料を以下リンクより無料ダウンロードいただけます。
(リンク »)

コンサルタントコラム740 年金制度の国際比較 ~「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(2016年度)」
(リンク »)

コンサルタントコラム698 年金制度の国際比較 ~「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(2015年度)」
(リンク »)

* 本プレスリリースはマーサー(オーストラリア) が発表したプレスリリースを翻訳・編集したものです。
Melbourne Mercer Global Pension Index 2017 (オリジナル英文)
URL: (リンク »)

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※図を含むリリース全文(日本語)は、以下よりご覧ください
(リンク »)
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<マーサー・メルボルン・グローバル年金指数について>
マーサー・メルボルン・グローバル年金指数はマーサー社の協力と、豪州ビクトリア州政府による資金提供の下、オーストラリア金融研究センター(ACFS)によって発行されている。また、フィンランド年金センター (The Finnish Centre for Pensions)による財政支援も受けている。

<オーストラリア金融研究センター(ACFS)について>
オーストラリア金融研究センター(ACFS)は、モナッシュ大学ビジネススクールの非営利研究センターです。ACFSは、最先端の金融及び投資の研究を専門とし、 オーストラリアの金融業界のグローバルでの信用を高め、学界と産業界間の隔たりを埋め、金融の実践、研究、及び教育のための国際センターとなっています。

ACFSは、金融業界の学者、実務家や政府間のリンクを構築し、その各グループの専門知識や経験を活用することで、より大きな金融コミュニティ全体での知識の共有を促進しています。ACFSの情報は、業界関連事項に関する独立した機関の意見として高い評価を得てきました。なおACFSは、以下のような活動 を行っています。金融セクターの問題に関する公開討論に貢献。専門的かつ詳細な分析。業界のパートナーに対する公正な受託研究。カンファレンス、講義シリーズ、昼食会等の説明会、トワイライトセミナー、円卓会議など知識共有のための様々なイベントの開催。銀行、資金管理や保険の分野において、産業界と学界のリーダーを結ぶ3つのリサーチプログラム委員会(Research Program Committees)の進行。また、ACFSは、金融制度審議会(Financial System Inquiry)、税務白書(Tax White Paper)、生産性委員会(Productivity Commission)からの問い合わせ対応など、主要な政府の政策見直しにも関与しています。

<マーサーについて>
マーサー (英語社名:Mercer、本社: ニューヨーク、社長兼CEO:Julio A. Portalatin) は、組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野でサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームです。

全世界約22,000名のスタッフが40カ国以上約180都市の拠点をベースに、130カ国以上でクライアント企業のパートナーとして多様な課題に取り組み、最適なソリューションを総合的に提供しています。

日本においては、35年余の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変 革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&アドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、資産運用に関するサポートなど、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。

マーサーは、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン証券取引所に上場している、マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(証券コード: MMC)グループの一員です。 マーサーについての詳細は、以下をご参照ください:
マーサー ジャパン (リンク »)
Mercer(Global) (リンク »)

<マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズについて>
マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(ニューヨーク証券取引所コード: MMC)は、グローバルプロフェッショナルサービスを提供する企業グループとして、顧客企業にリスク、戦略、人材分野の助言とソリューションを提供しています。

マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズはマーシュ(保険仲介とリスクマネジメント)、ガイカーペンター(再保険仲介・コンサルティング)、マーサー(組織・人事マネジメント・コンサルティング)、そしてオリバーワイマン(戦略コンサルティング)から構成されており、年間総収入130億米ドル超、全世界に60,000名の従業員を擁し、130ヶ国以上で顧客に分析、アドバイスを行い、各種取引を支援しています。

当グループは責任ある企業市民として事業展開しているコミュニティに貢献しています。詳しい企業情報については (リンク ») 、今日企業が直面する課題に取り組む当グループの国際的な実務能力とソリューションについては (リンク ») をご覧ください。

<本件に関するお問い合わせ>
マーサー ジャパン株式会社
広報
小原 香恋 Karen Ohara
Tel: 03 6775 6639 pr.japan@mercer.com

年金コンサルティング部門
retirement.japan@mercer.com
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