法政大学自然科学センター/国際文化学部の島野智之教授らの研究グループは、2018年2月に秋吉台(山口県美祢市)北部の鍾乳洞「景清穴」で新種のジムカデを発見、2019年3月に国際学術雑誌の『ズーキーズ』誌上で和名「カゲキヨツメジムカデ(学名:Arrup akiyoshiensis Tsukamoto & Shimano,2019)」と命名する論文(※)を発表しました。
カゲキヨツメジムカデは「Mine秋吉台ジオパーク」として認定されている日本最大級のカルスト台地・秋吉台の北部に位置する国指定天然記念物「景清穴」から美祢市文化財保護課の村上崇史氏(美祢市文化財保護課)によって採集されたものです。島野教授・塚本将氏(現首都大学東京大学院修士課程1年)・江口克之准教授・山崎健史特任助教(首都大学東京理学研究科)・蛭田眞平氏(国立科学博物館)・村上氏の研究グループによって学名をArrup akiyoshiensis Tsukamoto & Shimano,2019と命名され、発見された「景清穴」にちなみ、和名は「カゲキヨツメジムカデ」と命名されました。
ツメジムカデ属は日本にも広く分布しますが、秋吉台から見つかったツメジムカデは形態が他の種と異なっており、DNA塩基配列によっても他の種とは明確に区別出来たことから、今回新種として記載されました。本種は洞窟性と考えられていますが、まだ生態はよくわかっていません。
景清穴には、アキヨシホラヒメグモやアキヨシメクラチビゴミムシ、アキヨシシロアヤトビムシ、エトウオビヤスデ、ホラアナナガコムシなどの固有種が生息しており、秋吉台には、他にアキヨシミジンツボ、アキヨシホラズミカニムシ、アキヨシアゴザトウムシ、ガロアムシ、最近新種として記載されたアカツカメクラヨコエビなどの珍しい生き物や、固有種が見られます。
秋吉台には、多くの貴重な洞窟性生物が進化の道筋なども未解明のまま生息していると考えられるため、今後、固有種などの分類学的研究の更なる進展が待たれます。
(※)『秋吉台の石灰洞からの新種のジムカデArrup akiyoshiensis(原題:A new species of the genus Arrup from a limestone cave in Akiyoshi-dai, Western Japan (Chilopoda, Geophilomorpha, Mecistocephalidae))(Tsukamotoほか,2019)』
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