大阪大学とサンワード商会がハイブリッド触媒のヒトコロナウイルスを用いた感染阻害試験を行い、ウイルスの99.9%が不活化することを確認

大阪大学

From: Digital PR Platform

2020-11-17 20:05




大阪大学産業科学研究所・関野研究室(先端ハード材料研究分野)と株式会社サンワード商会(本社:大阪市中央区、代表取締役:西尾幸也)は、共同研究中の多機能型触媒【ハイブリッド触媒※】のヒトコロナウイルスを用いた感染阻害試験を実施した結果、ウイルスの99.9%が不活化することを確認しました。




 新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界中の人々が不安やストレスに悩まされ 非日常的な生活を強いられてきました。そのような状況下で、安全と安心ならびに心地よさを提供するために、ワクチンや治療薬の研究開発に加えて、細菌やウイルスに対する安全で確実な標的防除対策を徹底的に施すため、消毒・予防技術による抗菌性や抗ウイルス性を具えた生活資財の開発が急がれます。

 この課題を解決するために株式会社サンワード商会と大阪大学産業科学研究所は、産学連携による基礎研究を重ねた結果、環境浄化用多機能型触媒【ハイブリッド触媒】を誕生させました。
 ハイブリッド触媒は有機と無機を特殊な技術で合成させる仕組みのことで、加工剤として利用されています。ハイブリッド触媒に含まれるある種の金属が有する酸化還元によって、気相と固相の界面で表層部の清浄度を保つという効果が生じることが判明しました。

 ハイブリッド触媒は、これまでインフルエンザウイルスやネコカリシウイルス(ノロウイルスの代替ウイルス)に対して抗ウイルス効果があることは実証されていましたが、本研究グループはヒトコロナウイルスに対する有効性を確認することにしました。
 【ヒトコロナウイルスOC43】を用いてウイルス感染阻害試験を実施した結果、99.9%のウイルスが不活化することを確認しました。触媒の成分がヒトコロナウイルス OC43 のウイルス膜に作用して、ウイルス膜の変性やウイルス蛋白質の変性を引き起こし、感染を阻害していると考えられます。
 今回の試験に用いたウイルスはヒトコロナウイルス OC43(Human Coronavirus OC43)で、 現在問題となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因である新型コロナウイルス (SARS-Cov-2)そのものではありませんが、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)と遺伝学的特徴が同じヒトコロナウイルスです。
 この結果から、ハイブリッド触媒は新型コロナウイルスに対して【抗ヒトコロナウイルス性】があると推測できます。

※ハイブリッド触媒とは
 ハイブリッド触媒は安全性に優れた多機能型触媒で、有機と無機を特殊な技術で合成させた加工剤として、繊維分野で活用されています。特別な方法でハイブリッド触媒加工された繊維製品を身に付けることによってウイルスが体内に侵入することを防御する一定の効果が期待できます。また電車・バス等の車輛内、航空機内や船内、病院・介護施設・オフィス・スポーツジム・ホテル等の建物内に特殊工法による施工をすることによって、安全で安心して利用できる快適な空間の提供ができます。その他にも樹脂分野、フィルム、塗料、インク等活用の可能性が広がっています。
 ハイブリッド触媒は急性経口毒性試験、皮膚刺激性試験、皮膚感作性試験、復帰突然変異試験、染色体異常試験、閉鎖式皮膚貼付試験の各種安全性試験で評価基準に適合していることを確認しています。

【試験概要】
(1)試験機関:大阪大学産業科学研究所内 大阪大学発ベンチャー 株式会社ビズジーン(*1)
(2)試験方法:コロナウイルスの培養細胞に対する感染阻害試験
(3)試 験 株:Human Coronavirus OC43(ヒトコロナウイルス OC43) ATCC VR-759
(4)宿主細胞:MRC5細胞(ヒト胎児肺繊維芽培養細胞) ATCC CCL-171
(5)試験素材:ハイブリッド触媒 水性組成物
(6)結  果:濃度100%~1%まで8水準で試験を実施し、すべての濃度で99.9%のウイルス不活化を確認。(99.9%のウイルスが感染能力を失う)

(*1)株式会社ビズジーン 英語表記 VisGene,ltd. 《大阪大学発ベンチャー》
・大阪府茨木市美穂ケ丘8-1 大阪大学 産業科学研究所 オープンイノベーション棟OI-104
・主な事業:ウイルスの迅速検出技術、ウイルス濃縮技術、ウイルスや細菌の蛋白質解析、ウイルス培養、細菌培養、新型コロナウイルスの抗原検査キット開発 他多数の事業を展開
・URL : (リンク »)



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