コロナ禍の盲導犬ユーザー 『困りごと』聞き取り調査 「消毒液の置き場所や人との間隔が分からない」

公益財団法人日本盲導犬協会

From: 共同通信PRワイヤー

2021-06-01 10:30

~周囲の声かけやサポートが必要です~

2021年3月19日
公益財団法人 日本盲導犬協会

 
【画像: (リンク ») 】

 
公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬歩行のフォローアップの一環で、毎年1、2月にユーザーへの聞き取り調査を行っています。
今回はその調査(盲導犬を使用する視覚障害者227人対象)でコロナ禍での外出時の不安や困りごとについても尋ねました。
感染防止のためにソーシャルディスタンスの確保や外出自粛、頻繁な手指消毒が求められていますが、ユーザーからは「レジに並ぶ列でも人との距離が分からない」「消毒液の置き場所が分からない」といった困惑が寄せられました。またコロナ感染を理由に、手引きなどのサポートや盲導犬同伴での受け入れを断られる事例もありました。以前にも増して、コロナ禍で視覚障害の方が不自由を強いられている現状が浮かび上がってきます。
周囲から「お手伝いしましょうか」と声をかけるなどちょっとした気遣いがあれば、こうした不安も和らぎます。「新しい生活様式」でも誰もが安心して暮らせる社会となるよう、視覚障害の方への声かけやサポートのご協力を改めてお願いいたします。

以上、ぜひ報道いただけますようよろしくお願いいたします。

 
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コロナ禍の盲導犬ユーザー                            外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査報告
~「消毒液の置き場所や人との間隔が分からない」周囲の声かけが必要です

 
【目的】
日本盲導犬協会は、盲導犬歩行で困っていることはないかなど盲導犬ユーザーのフォローアップの一環として毎年、定期的に「聞き取り調査」を実施しています。「盲導犬同伴での社会の受け入れ」などについて聞きますが、今回は「コロナ禍での外出時の不安、困りごと」についても尋ね、ユーザーの社会参加への影響を調査しました。

【調査概要】
調査対象:日本盲導犬協会所属のユーザー(盲導犬使用者)230人
     回答数227人(男性104人 女性123人)
調査対象期間:2020年1月から12月末までの1年間
調査期間:2021年1月~2月末
調査方法:職員による電話とメールを使っての聞き取り

【回答内容の比率について】
比率は、小数点以下第1位を四捨五入して記述
複数回答設問には、回答数を母数として比率を算出

【結果】 

1 .外出時の不安、困りごと1位は「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」

コロナ禍での外出時の困りごとを尋ねた(選択肢8つの複数回答可)ところ、「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」(41%)が突出して多く、次いで「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」(22%)、「商品などを触るため周囲の目が気になる」(21%)、「同行援護依頼回数が減った」(20%)、「声かけや周囲のサポートが減った」(18%)が続きました。また、「犬の感染を理由に拒否に遭うのではと不安」(12%)もありました。

【画像: (リンク ») 】

この設問でのコメントを抜粋してみました。
・「消毒液の置き場所が分からない」
・「スーパーのレジに並ぶのに距離感や進み具合が分からなくて困った」が複数件

・「病院の待合室でソファの間隔を空けるのが難しい」
・「店で機械での支払いが増えてきてサポートを受けるまでに時間がかかる」
・「飛沫防御シートで声が聞きづらい、距離がわかりにくい」
・「物に触ることが不安」

目が見えない、見えにくい人にとって、音声情報や触覚情報は日常生活に欠かせません。感染防止のため店頭で手指消毒が求められ、カード決済など非接触型の生活が推奨されても、実行するには周囲の手助けが必要です。スーパーのレジで人との間隔を取るにも、周囲からの情報がないとわかりません。データからも、コロナ禍において視覚障害の方は、「声かけ」や「サポート」を必要としていることが改めて示されています。
こんな声もありました。「盲導犬ユーザーとして外出していることに何か文句を言われないか、不安だ」。見えない、見えにくい方にこのような思いをさせない、そんな社会を目指したいと考えます。

 
2.コロナを理由に盲導犬受け入れやサポートを断られる

外出時の不安を尋ねた質問で、「犬の感染を理由に拒否に遭うのではと不安」が12%ありましたが、実際はどうだったでしょうか。「コロナ感染を理由に、店や施設でサポートを断られたり、入店を拒否されたりしたことがあるか」を聞くと、14人(6%)が「ある」と答えました。

具体的にはどうだったのでしょうか、コメント欄からみてみます。
・「いつも宿泊しているホテルなのにコロナだからと断られた」
・「犬から人間に(コロナウイルスが)うつる」「こんなご時世なので…」と犬を敬遠する事例。
・「デパートの地下で買い物をしようと、いつも通りの誘導を依頼したら、『感染症対策のためにできない』と受付の方から断られた」
・「スーパーで以前はいつ行っても介助してもらえたが、6月ごろから『スタッフが少ないから事前に連絡して』と言われ、さらに『その日、その時間帯は無理』と自由に利用できなくなった」など今までどおりのサポートが受けられなかった事例がありました。

「コロナ禍でサポートを人に頼みづらい」。なので「家族にお願いしている」「サポートが必要な場所には行かないようにしている」という声もありました。盲導犬と単身で自由に外出できるはずなのに、出先で人のサポートを得られるか心配なので断念せざるを得ない。以前にも増して、コロナ禍で視覚障害の方が不自由を強いられている現状が浮かび上がってきました。
視覚障害の方が委縮せずに必要な時にサポート依頼ができるよう、社会全体で考えていかなければなりません。

 
3.受け入れ拒否が減った~外出が少なかったから

①過去1年間(2020年1月から)に盲導犬同伴を理由とした「受け入れ拒否」があったかどうか聞いたところ、93人(41%)が「ある」と回答していました。
 この質問は、障害者差別解消法の社会への定着度をみるため、施行(16年4月)の1年後から始めました。振り返ると55%(17年)→59%(18年)→60%(19年)→63%(20年)と漸増してきましたが、今回は41%に急減しました。

【画像: (リンク ») 】

 
下がったのはコロナ禍でユーザーの外出頻度が減った(調査結果後述)という一時的要因が大きいと推察されます。「コロナ禍なので断られそうなところに行かない」「病院への付きそいでは犬を置いていくことにした」など、受け入れ拒否を避けるための行動を余儀なくされていたこともあったようです。

この調査ではユーザーの外出頻度を聞き、集計していますので、「受け入れ拒否」の減少に関連して紹介しておきます。
■外出日数減少
例年、ユーザーに外出頻度を尋ねますが、コロナで緊急事態宣言が出るなど社会全体に外出自粛が求められたこともあって、いつもと比べると今年は「出控え」がうかがえました。
外出頻度は2015年以降、「毎日」と答える人は62~70%の間で推移していましたが、今回は前年の62%から52%へと10ポイント下がりました。「できるだけ外出しない」とするコメントも多数ありました。
■盲導犬との歩行時間も減少
では、1日に盲導犬と歩いている時間はどのように変わったでしょうか。例年、「30分~60分」と「1時間~2時間」とで合わせて80%ほどになりますが、前年と比べると「1時間~2時間」が40%から30%へと10ポイント下がりました。代わって「30分~60分」が46%から53%へと増えました。当然ですが、「外出日数」の結果と軌を一にしています。

②拒否に遭った場所は、飲食店が74%(前年78%)と抜きんでて多く、医療機関22%(同24%)、スーパーやコンビニエンスストアなど小売店が16%(同15%)、タクシーやバスなどの交通機関が14%(同24%)と続きました。カラオケなどの娯楽施設は2%(同9%)でした(複数回答可)。

③拒否の理由は「犬は駄目」が60%(前年59%)と突出していました。「犬は店の外で待たせるなどの条件をつけられた」が34%(同37%)、「犬アレルギーや犬嫌いの利用客がいるから」が32%(同42%)の順になり、「受け入れの前例がない」が22%(同36%)ありました(複数回答可)。

【画像: (リンク ») 】
非接触、非対面が進む社会で、視覚障害の方はサポートを必要としています

 
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【社会理解へ向けた活動】
この調査結果を受けて、日本盲導犬協会では、コロナ禍で盲導犬ユーザーと共に活動する視覚障害の方の実態を伝えると同時に、社会での受け入れ理解とサポートを呼びかけるために「オンライン盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」を定期開催いたします。
4月19日、飲食店を対象としたセミナーを最初に、月1回のペースで開く予定です。詳細情報は下記協会ホームページにて公開しています。
<飲食店向け>
(リンク »)

 宿泊事業者向けセミナーは、6月16日に開催予定です。詳細情報は下記協会ホームページに公開中です。
<宿泊事業者向け>
(リンク »)

 



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