大阪経済大学(学長:山本俊一郎/所在:大阪市東淀川区)では、非正規シングル女性が「いかに働き、生活しているのか」「自らの仕事と生活についてどのように考えているのか」について実態と意識を明らかにするため、本学経済学部の森詩恵教授が大阪市立男女共同参画センター中央館研究室との連携により、非正規雇用で働く子どものいない女性(未婚・既婚)を対象に大阪市・福岡市・札幌市で調査を行い、結果を発表しました。
近年、増加が著しい非正規労働者に対して、政府は社会保険への適用拡大や無期転換への推進を実施し、雇用の安定と待遇の改善に取り組んでいます。しかし現状は依然として、非正規雇用の所得水準は正規雇用に比べて低く、そのため男女とも結婚をためらい、シングル化が加速しています。
昨年からのコロナ禍でこの状況が更に加速するなか、非正規シングル女性が「いかに働き、生活しているのか」「自らの仕事と生活についてどのように考えているのか」について実態と意識を明らかにするため、本学経済学部の森詩恵教授が大阪市立男女共同参画センター中央館研究室との連携により、非正規雇用で働く子どものいない女性(未婚・既婚)を対象に大阪市・福岡市・札幌市で調査を行いました。
コロナ禍における「非正規で働くシングル女性の実態調査」結果
【調査結果にみる「非正規シングル女性」の傾向】
~約半数が年収200万円未満でも、6割以上は自ら望んで非正規を選択~
1)「個人年収300万円未満」が86.4%を占め、さらに厳しい「個人年収200万円未満」は 48.7%。
しかし全体の81.3%が自身の収入で生計を立てており、56.1%が「自身が家賃を全額負担した賃貸住宅」で生活。
2)学校卒業後の初職から「非正規雇用」 が57.3%。(非正規既婚女性の初職は「正社員」 70.7%)
3)62.6%が「自ら望んで非正規雇用を選択」 。
正社員として厳しい労働環境を受け入れて働くより、非正規の方が都合が良いと考える傾向に。
4)雇用期間の定めがある非正規シングル女性のうち約半数の55.2%が、現状から「変更を希望していない」。
今後も「非正規雇用のまま働きたい」(57.7%)が、「正社員として働きたい」(28.0%)の2倍以上。
5)65.5%が「社会保障の知識を得たい」と回答したが、「どれに加入しているか分からない」が1割弱。
3人に1人が「社会保障関連窓口を利用したことがない」。
どの社会保障においても「詳しく知っている」人は、5~18%程度。
6)現在・将来の「住まい」「生活費」「仕事」「健康」「家族の介護」「結婚・恋愛」への不安を尋ねたところ、
最多は「現在不安を感じているものはない」44.8%、次いで「将来に不安を感じているものはない」37.1%。
また約半数が「将来の介護の可能性はない」と回答。
【経済学部・森詩恵教授の分析】
~「社会保障リテラシー」獲得の課題が判明~
非正規シングル女性の多くは、主たる生計者として働いていても低収入で、将来への十分な備えが難しい状況にあります。しかし、雇用の継続が保障されず連続性を持った働き方・暮らし方ができない社会は、彼女たちを将来設計が立てられない状況へ追い込んでいます。また、非正規シングル女性の生活は、将来的に崩れやすい状況にあるだけでなく、親の介護を担う可能性も高く、親亡き後の住まいの確保や経済的困窮も懸念されます。
本来は正社員が良いけれど、厳しい労働環境を受け入れて働くぐらいなら非正規の方が良いと考えている人も多く、それぞれが安心して働ける労働環境を整備し、当事者の社会保障リテラシーを確保・向上させることが重要な課題と考えます。
▼本件に関する問い合わせ先
経営企画部広報課
住所:大阪府大阪市東淀川区大隅2-2-8
TEL:06‐6328‐2431
FAX:06-6323-4790
メール:kouhou@osaka-ue.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター (リンク »)
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。