フェアリーデバイセズとNTTテクノクロス 首掛けウェアラブルデバイスにおけるメディア処理技術の共同開発契約を締結

NTTテクノクロス株式会社

2022-06-29 12:00

フェアリーデバイセズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役CEO:藤野真人 以下、フェアリーデバイセズ)とNTTテクノクロス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:桑名栄二 以下、NTTテクノクロス)は、フェアリーデバイセズが提供する首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET(シンクレット)」において、音響信号処理をはじめとするメディア処理技術の共同開発契約を2022年6月29日に締結しました。今後、両社は共同で技術開発を進めることで、フィールドメンテナンス、工場、倉庫、建設現場など、さまざまな産業現場の効率化、作業安全性の向上、暗黙知のデータ化をより一層加速させます。
■背景
 音声を適切にデジタル化することは、現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上で重要となっています。しかし、建設現場や工場などの高騒音環境や、対面接客などの複数人が同時に発話する状況において、目的の音声のみをクリアに収録することは困難であり、現場で発生する音声の有効なデータ活用が進んでいませんでした。

 この課題を解決するため、これまで両社は、フェアリーデバイセズのウェアラブルデバイス「THINKLET」のさらなる高度化に向けて「LINKLET*1(インテリジェントマイク版)」を試作開発し、世界最大のデジタル技術見本市「CES 2022」に参考出展する (リンク ») など、技術連携に取り組んでいます。
 その成果の1つとして、フェアリーデバイセズの有するマイクアレイ*2を活用した指向性集音機能「mimi® XFE」に、先進技術を有するNTTの研究所が開発し、NTTテクノクロスが製品化した高性能音響信号処理技術(インテリジェントマイク技術)を組み合わせることで、産業現場の極度騒音下における雑音抑圧性能を大きく向上することができました。集音機能の指向性を自由に制御できるため、デバイス装着者の声に加え、目の前にいる人の声や特定方向の機械音を選択的に集音するなどの機能を実現し、海外からも高い評価を受けました。
 両社は、厳しい作業環境下での「THINKLET」の利便性向上を図るため、世界に先駆けた革新的な音声フロントエンド処理にかかる技術開発を進め、「THINKLET」におけるメディア処理機能のさらなる強化・発展を実現します。

■共同開発の内容
 フィールドメンテナンス、工場、倉庫、工事現場や建設現場などの極度騒音下において活用可能な「THINKLET」の音響信号処理およびメディア処理技術の共同開発・商用化。

■今後の展開
 両社は、共同開発した新たな音響信号処理機能を「THINKLET」に搭載し、2022年度内に一般提供を開始する方針です。さらに 音声のほか映像を収録できる「THINKLET」の特長を生かし、世界中の現場からのデータを収集・活用することで継続的に技術を強化し、さまざまな産業現場のDXと暗黙知のデータ化などをはじめとする作業高度化に積極的に貢献します。

■音響信号処理技術について
 フェアリーデバイセズの「mimi® XFE」は多チャンネルマイクを利用したフロントエンド音響信号処理、雑音抑制、発話区間抽出、エコーキャンセル、ボイスウェイクアップ*3などの技術を複合した音声エッジAIライブラリです。「THINKLET」にも搭載されており、産業現場の騒音環境下で動画像データを機械学習の学習データとして直接的に活用可能な形で集積するために、キーとなるテクノロジーです。
 NTTテクノクロスのインテリジェントマイク技術は、NTTコンピュータ&データサイエンス研究所が技術開発し、NTTテクノクロスが製品化した高性能音響処理技術です。話者の方向にマイクの指向性を向けて音を強調するビームフォーミング処理と、話者以外の方向の音や人の声とは異なる特性を持つ雑音成分を観測して抑圧するスペクトルフィルタ処理のハイブリッド構成を取り、騒音下でもクリアに音声を収集し、明瞭な音声通話や高精度な音声認識を可能としています。
 既に車載マイクユニットやコミュニケーションロボット、受付端末などの幅広い用途で、日本国内だけでなく海外でも多くの利用実績があります。

■両社からのコメント
フェアリーデバイセズ 代表取締役CEO 藤野 真人(ふじの まさと)
 THINKLETにとって、高度な音声信号処理機能は、他のデバイスにはない極めて重要な機能です。建設現場や工場など周囲騒音が大きい現場で正確に音声認識をすることやクリアな通話を実現するのみならず、対面接客において向かい合った人の声を狙って収音するなど、さまざまな用途が存在します。当社での過去10年にわたる研究活動に基づき、THINKLETはそれを実現するための他社にはないユニークなハードウェア・ソフトウェア機能を備えていますが、その技術基盤上に、いま、NTTが持つ世界トップクラスのメディア処理機能を統合することができることを心より嬉しく思います。
 数多の国際学会でNTTの研究所が発表してきた世界的に評価の高い学術論文は、当社の研究活動においても指針となるものであり、日本からそのような優れた研究成果が世界に発表されることを誇りにも思いました。本共同研究開発契約に基づき、「最先端の研究成果を、それとは気づかれない自然な形で現場・現実・現物に届ける」という当社の理念をより一層推進して参る所存です。

NTTテクノクロス 取締役 ビジネスイノベーション事業部長 羽生 誠(はにゅう まこと)
 今回の共同開発契約締結により、フェアリーデバイセズとの技術開発を通じ、現場作業のDX加速に取り組み、人手不足の解消や作業安全性の向上に貢献してまいります。世界で評価されたフェアリーデバイセズが有する、ユニークなウェアラブルデバイス「THINKLET」、そして現場作業に対する知見とアイデアに、インテリジェントマイク技術をはじめとするNTTの研究所の先進技術と、「ソフトウェアリーディングカンパニー」をめざす当社の開発力を掛け合わせることで、お客様と共に新たな価値創造を実現します。

このプレスリリースの付帯情報

首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET」

用語解説

*1:「LINKLET」
 フェアリーデバイセズが提供する「THINKLET」の応用ソリューションの1つであり「Zoom」「Microsoft Teams」と連携したライブストリーミングを実現するウェアラブルプロダクトです。( (リンク ») )
 「CES 2022 Innovation Awards」において、日本企業で唯一、「Wearable Technologies」、「Streaming」、「Digital Imaging/Photography」の3部門を同時受賞しました。

*2:マイクアレイ
 複数のマイクを組み合わせて制御することで、入力された音を信号処理して指向性を高めたマイクのことです。

*3:ボイスウェイクアップ
 特定のキーワードを音声トリガーとして、ソフトウェアのスリープ状態を解除する機能のことです。

* 記載されている商品名・会社名などの固有名詞は一般に該当する会社もしくは組織の商標または登録商標です。

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