麻布大学(学長:川上泰、本部:神奈川県相模原市)生命・環境科学部 環境科学科では、新しい科学領域として「未来共生科学」を提唱。2019年度から「企業と連携して実社会の課題に基づく学び(PBL)」「生物多様性を体験的に学ぶフィールドワーク」「気候変動の影響と適応策を探るデータサイエンス」といった実践的な学びを展開している。今年9月には、これらの学びの中間成果報告会を実施。学生らに、主体性の向上や生物多様性に対する理解の深化といった変化がみられることを報告した。
「未来共生科学」とは、すでに顕在化した環境問題だけでなく、将来起こり得る環境に関する課題を予測・発見・把握し、課題解決を実践する新しい科学領域です。生態系・地域社会・健康の各視点から、地球共生系において将来的に起こり得るさまざまな課題の解決に向けて、SDGsを見据えた総合的な科学を推進しています。
2019年度後期からは「企業と連携して実社会の課題に基づく学び(PBL)」「生物多様性を体験的に学ぶフィールドワーク」「気候変動の影響と適応策を探るデータサイエンス」の3つを柱とした教育・研究プログラムを展開しています。現実のフィールドを題材とした教育を充実させ、地球規模の環境課題に対応する分野も強化し、現在の課題だけでなく将来的な課題も解決できる人材の育成を目指しています。
(1)企業と連携して実社会の課題に基づく学び
実社会の課題を発見・把握する力と課題解決に取り組む実践力を養うことを目指し、社会連携型PBL 科目を実施しています。この科目では、「JR東日本環境アクセス」等の企業と連携し、脱炭素、脱・プラスチックなどの現実の環境課題に向き合い、解決に挑みます。学生がチームを組み、自ら課題を発見し、情報収集・整理・分析を経て、解決策の考案と企業への提案(発表)を行いました。また正課外活動では、環境問題に強い関心をもつ学生たちが集まり、プロジェクトを結成。プロジェクトメンバーは「アサヒグループホールディングス」「ウォータースタンド」の2社と連携し、本学キャンパス内でのマイタンブラー・マイボトルの利用促進に取り組んでいます。さらに、複数の企業・大学と連携しながら、学内のペットボトルキャップや清涼菓子容器の回収も行い、新たな商品へとアップサイクルする活動を行っています。
(2)生物多様性を体験的に学ぶフィールドワーク
「生物多様性」や「生態系」を学生が視・聴・嗅・味・触の五感で体感し、環境への興味・関心・意識を高めること、および基礎科目や座学での知識をフィールドで実践的に学ぶことを目指し、大学近隣の身近な地域から箱根や島根県美郷町といった大自然の中まで、さまざまな場所で動植物調査の実習をしています。
島根県美郷町では、麻布大学フィールドワークセンターを拠点に、地域での植物調査や美郷バレー協定企業の協力による食肉加工の体験、野生動物から田畑を守る侵入防止柵の視察、センサーカメラによるイノシシの調査を実施。こうした体験を通して、学生は美郷町の自然と人の関わりを体感しました。
また、近年、環境アセスメントなどの調査現場でも活用されている最新技術である環境DNA分析を授業に導入しています。
(3)気候変動の影響と適応策を探るデータサイエンス
気候変動の多様で複雑な影響を定量的に評価する手法について、実データを用いて学ぶデータサイエンス教育を実施。また、キャンパスでの自動気象観測や定期的な生物季節観測を行い、身の回りの自然・生き物に対する関心を高めるとともに、気候変動の実態把握の方法を学んでいます。
生物季節への影響調査に関しては、国立環境研究所と共同研究を開始。大学での生物季節観測の体制確立に取り組んでいます。併せて、同大の強みである衛生・生物分野を生かし、気候変動と生物季節の関係や熱中症や感染症など健康への影響評価についても取り組んでいます。
【成果と今後の展開・展望】
「実践的な学び」の中で学生は、社会とのつながりの中で重要な環境課題を自分ごととして捉えて行動するようになり、さらに現地調査に基づいて課題解決の提案を行うことで主体性の向上や問題解決力の向上が見られました。また、データサイエンスに基づく気候変動影響評価と適応策にむけた課題抽出力が向上し、確実に定着してきています。
今年度は、企業へのプレゼン経験を生かして就職が決まる事例や、共同研究先に就職が決定する事例も出てきました。「気候変動」「生物多様性」はさまざまな業界で現在注目されている分野であることから、自然・社会フィールドで実践的に学んだ経験と合わせて就職時の大きなメリットとなり、学生の成長だけでなく就職に大きな成果をもたらしています。
同学科は引き続き、学生たちが「実践的な学び」を継続できる教育体制を整え、「未来共生科学」の確立に向けて、さらなる発展に取り組みます。
●環境科学科について
麻布大学 生命・環境科学部 環境科学科では、生物学や化学を基盤に身近な生活環境から将来の環境課題までを幅広く学び、持続可能な環境を支える技術と専門知識を得る。
実践的な学び: (リンク »)
▼本件に関する問い合わせ先
事務局 渉外課
磯野、野鶴
住所:神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71
FAX:042-754-7661
メール:koho@azabu-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター (リンク »)
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。