DiscGenicsは、2年間の観察期間を設けたDDD治療用細胞療法の米国臨床試験において良好な成績が得られたと発表
*Discogenic椎間板前駆細胞による細胞治療は、DDDによる腰痛症患者の治療後2年間において安全で、
変性した椎間板の大きさを増やすとともに腰痛ならびに運動機能やQOL(生活の質)を速やかにかつ
継続的に改善させました。
ソルトレイクシティ(ユタ州),2023年1月25日/PRNewswire / --脊椎関連変性疾患に伴う疼痛緩和および機能改善を目的とした再生医療等製品を開発する臨床開発ステージのバイオベンチャーであるDiscGenics (リンク ») ( (リンク ») )は、同社が開発を進める変形性椎間板症(DDD: Degenerative Disc Disease)治療用の椎間板前駆細胞(他家)を有効成分とするリードシーズ「IDCT(Injectable Discogenic Cell Therapy)」に対して、2年間の観察期間を設けたヒトに対する最初の臨床試験(FIH試験)において良好な成績が得られたことを本日発表しました。
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FDAと合意した、製剤の基材ならびに生理食塩液を比較対照とした前向き無作為化二重盲検比較試験において、IDCT高用量群(9,000,000cells/mL; 20例)は、主要評価項目の安全性を確認するとともに、同じく主要有効性評価項目において、統計的に有意な腰痛・障害指数・QOLの改善に加えて変性椎間板の体積の増加を認めました。これは椎間板へのIDCTの単回投与による変性椎間板の再生を示唆したものです。
該当する主要な試験結果:
・安全性の主要評価指標である、治験薬の初回投与以降に発現した治験薬に起因すると考えられる有害事象(TESAE:Treatment Emergent Serious Adverse Event)が1例もなかった。
・既報の通り、主要評価指標である投与52週後における腰痛に関して、100mmのVisual Analog Scale(VAS)で計測した値の比較で投与前より30%を超えて改善した割合が、IDCT高用量群において統計的に有意であった(62.79%で改善、p=0.0005)また製剤の基材の対照群においても統計的に有意なVASの改善が認められたが、その割合は小さかった。
・IDCT高用量のDDDへの投与12週後に、VAS値・障害指数(ODI)・QOL(EQ-5Dを使用)が統計的に有意に改善したことは臨床的に意義がある。
・これらの臨床効果は、投与後2年間にわたり6か月ごとの観察において継続し、それぞれの臨床評価項目において、DDD患者への意味のある臨床介入(腰椎固定術など)によって得られる臨床的意義のある最小変化量(MCID: Minimal Clinically Important Difference)を統計的に上まわっていた。
・IDCT低用量群(3,000,000cell/mL; 20例)は、臨床効果において一部の評価項目に統計的に傾向のある改善を認めた。一方、製剤の基材対照群(10例)においては、部分的にVASの改善をみとめたものの臨床的に意義のあるODIやQOLにおける改善は認めなかった。また生理食塩液の比較対照群(プラセボ群;10例)においては、統計的にも臨床的にも意味のある、一貫性があり持続的な改善は認めなかった。
・IDCT高用量群において、統計的に有意な変性椎間板の体積の増加が投与52週後ならびに104週後でそれぞれ認められた(MRI画像による体積の投与前からの増加量の平均値;249.01 立方ミリメートル, p=0.0284および402.1立方ミリメートル, p=0.028)。
・一方、比較対照群における椎間板の体積は統計的に有意ではないものの減少を認めた。
・さらに重要な点として、IDCT高用量群は唯一オピオイドおよび非ステロイド性消炎鎮痛薬NSAID(例えばアスピリンやイブプロフェン)の使用量を減らすことを確認した。
・2年間の観察期間を完了できた患者の割合は、全症例数のうち85.0%であった。
「これらの臨床成績から、IDCTは単回投与によりDDDに伴う腰痛や障害を安全に治療できる極めて高い可能性を秘めた治療法であるのみならず、原因となる変性した椎間板の再生にも対処しうる再生医療等製品であり、30年にわたってDDDに対する臨床治療を経験してきたなかで、現在市場にはない傑出した治療法であろう。」とセントルイス整形外科センターの整形外科専門医のMatthew F. Gornet,M.D.氏はコメントしております。なお彼はこのIDCT試験で最も患者をリクルートされた医師です。
そして、「MRI画像に基づく変性椎間板の体積増加は、潰れたままかさらに悪化し減少していく椎間板に対し、DiscGenicsのIDCTは椎間板組織の再生効果があることを示唆している」と画像診断専門医もコメントしています。
60例によるこの臨床試験は、臨床症状を伴うDDDに対して、製剤基材および生理食塩液(プラセボ)を比較対照としとて、IDCTの安全性ならびに初期有効性を評価するために計画され、米国12州の13施設から60例の患者が組み入れられました。
この試験において、腰痛は100-mm Visual Analog Scale(VAS)値で計測、障害指数およびQOLは、Oswestry Disability Index Questionnaire(ODI)およびEQ-5D指数でそれぞれ評価しました。
「われわれは、この試験の2年間の総合評価結果に非常に勇気づけられました。統計的に有意な持続性のある腰痛・障害ならびにQOLで見られた有効性や、根本原因である変性した椎間板の体積増加、さらに併用される鎮痛剤の使用量の減少は、われわれのIDCT療法が、DDDの臨床管理の枠組みを変革させる重要な指標となっていると考えます。」と、DiscGenicsのCEO兼ChairmanのFlagg Flanaganはコメントしています。
DiscGenics はU.S. Food & Drug Administration(FDA)のOffice of Tissues and Advanced Therapies(OTAT)に臨床試験の総括報告書を提出しております。
同時に、DiscGenicsは自社製造設備のスケールアップを行っており、将来の使用にあてる細胞の準備を整え、FDAによる検討結果の評価を行うことになっています。
この結果の骨子は、以下の場で公表されました:
・The American Academy of Neurological Surgery (AAcNS) 84th Annual Meeting (リンク ») (AAcNS)+84th+Annual+Meeting ( (リンク ») (AAcNS)+84th+Annual+Meeting ) by Kevin T. Foley, MD, Professor of Neurosurgery at the University of Tennessee Health Science Center and Chairman of Semmes-Murphey Clinic on September 29, 2022.
・The North American Spine Society (NASS) 37th Annual Meeting (リンク ») (NASS)+37th+Annual+Meeting ( (リンク ») (NASS)+37th+Annual+Meeting ) by Matthew F. Gornet, MD, Board Certified Spine Surgeon at The Orthopedic Center of St. Louis on October 12, 2022.
・The 41st Annual J.P. Morgan Healthcare Conference (リンク ») ( (リンク ») ) by Flagg Flanagan, CEO and Chairman of DiscGenics on January 11, 2023.
IDCTについて
IDCT(rebonuputemcel)は、有症状の早期~中等度のDDD患者を対象とした他家椎間板前駆細胞(Discogenic)を有効成分とする注射型細胞治治療です。これらの細胞は、cGMP(current Good Manufacturing Practice)の下、制御された環境で、細胞増殖および表現型の変化をもたらす製造工程を経て、Discogenic細胞として生成されます。製造工程が終了したDiscogenic細胞は、使用前に様々なリリースクライテリア(純度、力価、安全性など)の評価受けます。そして、粘性の高いヒアルロン酸ナトリウム溶液などと混合され、最終製品であるIDCTが生成されます。IDCTは冷凍保存され、外来で椎間板に経皮的に注射して投与されます。なお、IDCTは2019年にFDAよりファストトラック指定を受けています。
なお、IDCTはDiscGenicsが開発中の臨床製品であり、FDAや他の規制当局から、臨床試験以外でヒトへの使用はまだ認められておりません。
IDCT臨床試験(DGX-A01)について
DGX-A01は、多施設共同基材及びプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験であり、症状を有する変形性椎間板症患者に投与された際の安全性・有効性を検証する目的を有する臨床試験です。患者数は60名で、アメリカ12州にわたる13施設で行われました。
組み入れられた被験者は組入前にスクリーニングを受け、L3~S1の間で単層かつ軽~中度の変形性椎間板症を患い、腰椎手術の経験がなく、神経根症や下肢痛もなく、腫瘍、線維筋痛症、全身性疾患、変形性関節症、慢性オピオイド使用などの併存疾患がないことなどの適格基準をすべて満たしていることが確認されました。
被験者は試験に組み入れられた後、IDCT低用量群(3,000,000cells/mL;20例)、IDCT高用量群(9,000,000 cells/mL;20例)、基材対照群(10例)、プラセボ対照群(生理食塩液;10例)の4つのコホートの何れかに無作為に振り分けられ、組入時に定義付けされた各々の被験者のターゲット椎間板に対して、単回の椎間板内注射が行われました。組み入れられた全被験者に対し、2年間の観察・評価期間が設けられており、主要評価項目は「安全性」であり、主要有効性評価項目はVAS値で測る「痛みの軽減」です。副次的評価項目には、障害度合いの軽減と及び画像診断による椎間板の体積の改善などがあります。
より詳しくは、以下のURLからご確認ください
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DDDおよび慢性的な腰痛について
慢性的な腰痛は、世界的に身体障害の主な原因の1つとなっている重篤な疾患で、米国ではがん以外で最も多くオピオイド鎮痛薬が処方される理由となっています。米国成人の12~30%が何らかの形で同疾患を患っているとされており、毎年1,000億ドル以上のコストが米国の医療制度に課せられていると推定され、患者個人と併せて経済にも大きな負担を与えていると考えられています。そして、慢性的な腰痛を患っている方の約4割は、椎間板の持続的な変性・破壊に伴い痛みを生じるDDD患者と推計されております。
DiscGenicsについて
DiscGenicsは、脊椎関連変性疾患を患う患者の疼痛緩和および機能改善をする再生医療等製品の開発に注力する臨床開発段階にある未上場バイオベンチャー企業です。世界で唯一椎間板疾患を治療するための椎間板由来他家細胞治療製剤を開発する企業として、腰痛に悩む数多くの患者を治療するユニークなポジションを有しています。同社最初の開発品目であるIDCTに含まれる他家相同利用のディスコジェニック細胞は、椎間板組織由来の前駆細胞であり、手術を伴わない注入剤として投与されるため、低侵襲な方法で軽度から中程度の変形性椎間板症の組織再生を促す可能性を秘めています。
より詳しくは、同社ホームページ参照 www.discgenics.com/home-ja (リンク »)
ソース:DiscGenics, Inc.
問合わせ先:リンゼー・サクソン(英語)lindsey@discgenics.com or コーリン・リー・ノビック(日本語)colin.lee.novick@cj-partners.com
(日本語リリース:クライアント提供)
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