グローバルヘルスケアカンパニーであるゲティンゲ(ゲティンゲ本社:スウェーデン ヨーテボリ)の日本法人で、医療技術をリードするゲティンゲグループ・ジャパン株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:長澤 悠子、以下ゲティンゲ)は、国内の薬事承認上初めてとなる最大14日間の中長期使用iが認められたECMOシステム「HLS Set Advanced-LT」(販売名:補助循環システム HLS SET Advanced-LT)の販売を2023年5月25日から開始することを発表しました。
国内の薬事承認上の使用可能時間が6時間に制限されていた従来モデルiiに対し、最大14日間の使用が認められた本製品は、ECMO使用が中長期化しやすい重症呼吸不全患者や、中長期のECMO装着が必要となる重症心不全患者および肺移植や補助人工心臓(VAD)導入を待機する患者の管理において、大きな前進をもたらします。具体的には、ECMO回路交換回数の低減による患者の体への負担軽減、回路交換時の血液暴露による医療従事者の感染リスク低減といった医療安全面の改善です。さらに、ECMOは高度な技術と経験を有するスタッフを多人数必要とするチーム医療であることによる人材不足面、また単回使用医療機器である人工肺等のコスト削減という医療経済面においても貢献することiiiが試算されています。
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販売名:補助循環システム HLS SET Advanced-LT
医療機器承認番号:30200BZX00270000
一般的名称:ヘパリン使用経⽪的心肺補助システム
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画像:使用イメージ
ECMO(extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺)は心臓や肺の機能が低下した患者に対して適応される、体外循環による心肺補助法です。患者の体外でつないだ一連のデバイスや装置(膜型人工肺、遠心ポンプ、駆動装置、脱送血カニューレなど)を用いて、本来は肺で行われる血液の酸素化および二酸化酸素除去、あるいは血液を肺や全身に送り出すという心臓が果たす役割を代替します。ECMOは心臓や肺を休ませ、その回復を待ったり、肺移植や補助人工心臓導入までの橋渡しとして使用され、心肺機能を補助するのがVA-ECMO(循環補助)、肺機能を補助するのがVV-ECMO(呼吸補助)です。
ECMOを中長期にわたって導入する症例としては、新型コロナウイルス感染症等を原疾患とする重症呼吸不全患者におけるVV-ECMOが代表的で、多くの症例で14日以上の治療期間が必要であることが国内臨床試験ivにより示されています。一方、国内のECMO症例数の大半はVA-ECMOでありv、心停止患者に対するECPR(体外循環式心肺蘇生)における循環補助や、心原性ショックなど心疾患患者の急変に対して短期的に導入するケースが多い状況です。ですが重症心不全患者の循環補助および肺移植や補助人工心臓(VAD)導入を待機する患者の管理においてもECMOを数日間から数週間使用することがあり、これらのVA-ECMO症例においても、中長期に使用することができるシステムを望む声が上がっていました。
大阪大学大学院医学系研究科 特任教授 澤 芳樹 医師は下記のように述べています。
「ECMOは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や重症呼吸不全の患者に対するVV-ECMO はもちろん、重症心不全、肺移植や補助人工心臓(VAD)導入までの待機症例等のVA-ECMO 症例においても中長期に使用することがあるため、臨床現場では海外のように中長期に使えるシステムが国内で提供されることを待ち望んでいました。なぜなら高度なスキルと経験を備えた医師や臨床工学士を含む6~10名のスタッフを必要とするECMOの回路交換において、これまでの6時間ごとの交換では大きな負担となっていた夜間や休日等の人員不足が軽減されるからです。患者にとっては回路交換時の輸血等による体への負担が低減されるとともに、医療従事者にとっては作業時の感染リスクの低減も図られます。このHLS Set Advanced-LTによって中長期使用が可能になれば、昨今の医師の働き方改革の推進にもつながると同時に医療材料費だけでなく関連する人件費や薬剤費を節減できることから、日本の医療経済面においても望ましいことです」
ゲティンゲの代表取締役社長、長澤 悠子は次のように述べています。
「本製品は欧州において2010年から提供を開始し、欧州はもちろんアジア地域やグローバル全体でもトップクラスのマーケットシェアを築いています。一方、日本ではこれまでVV-ECMO(呼吸補助)での採用がほとんどで、VA-ECMO(循環補助)に当製品をお使いいただく施設は限られていました。2014年のECMO駆動装置「Cardiohelp」(販売名:CARDIOHELP コンソール)の日本発売から8年を経た今、ようやく14日間という国内初の中長期使用と保険償還価格が承認されたことで、日本でもより多くの医療機関、患者さんに当社のECMOシステムを提供していきたいと考えています」
ゲティンゲでは、ECMOに携わる医療従事者や医療機関がより安全で質の高いケアを患者に提供できるように、また治療を受ける患者の安心を高められるように、引き続きあらゆる側面から支援を続けてまいります。
■HLS Set Advanced-LT について
2022年12月1日に保険収載された、遠心ポンプ、人工肺および熱交換器が一体となった経皮的心肺補助システム。一体型であることやその他の構造上の工夫により、血栓や血漿リークの発生率を中長期にわたり抑えられることが確認されています。ゲティンゲのECMO駆動装置「Cardiohelp」、「HLSカニューレ」と組み合わせて使用。
■HLS Set Advanced-LT について(従来モデルとの比較)
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■関連プレスリリース
2022年12月1日付 ゲティンゲ、中長期使用が可能なECMOシステムの保険収載を発表
(リンク »)
■関連製品
販売名:CARDIOHELP コンソール / 医療機器承認番号: 22500BZX00277000
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販売名:HLS カニューレ / 医療機器承認番号:22600BZX00042000
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販売名:AVALON ダブルルーメンカテーテル / 医療機器承認番号:23000BZX00033000
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■ゲティンゲについて
Getingeは、すべての人と地域社会が最善のケアを受け得ることを願い、病院やライフサイエンス関連施設に、臨床結果の向上と最適なワークフローの実現を適える製品・ソリューションを提供しています。その領域は、集中治療、心臓血管手術、手術室、滅菌再生処理、ライフサイエンスといった多様な領域にわたります。Getingeは、世界で10,000人以上の従業員を擁し、製品・ソリューションは135か国以上の国で使用されています。
詳細はこちら: (リンク »)
i 当社では厚生労働省通知 薬生機審発0326第1号(「中長期間呼吸/循環補助(ECMO/PCPS)システムの評価ガイドライン」及び「体外設置型連続流補助人工心臓システムの評価ガイドライン」)に基づき、6時間以上30日間以内の期間を「中長期間」としています。
ii 販売名:補助循環システム HLS SET Advanced、医療機器承認番号:22800BZX00092000、一般的名称:ヘパリン使用人工心肺用回路システム、使用可能時間:最大6時間
iii 当社試算データより
iv 下表1) の当社国内臨床試験データを参照
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v 厚生労働省 第7回NDBオープンデータ( (リンク ») )、日本循環器学会2022年度実施・公表 循環器疾患診療実態調査報告書( (リンク ») )、およびNPO法人日本ECMOnet公開CRISISデータ( (リンク ») )を基に当社にて試算
プレスリリース提供:PR TIMES (リンク »)
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