研究成果のポイント
・乳房炎は酪農をする上で、最も問題となる病気(経済損失は日本全体で年間 800億円)
・原因となっている細菌をすぐに判定することができることで、より有効な治療が可能
・従来の細菌培養法では判定までの時間が 1 日は必要だったが、携帯型シークエンサーの活用で 6 時間程度にまで短縮
・携帯型の機器なので応用しやすく、酪農現場での活用が期待される
研究成果の概要
酪農学園大学 臼井教授らの研究グループは、携帯型シークエンサー (nanoporesequencer) を活用することで、乳房炎の原因となる細菌をその日のうちに判定できる方法を開発しました 。
乳房炎は、酪農をする上で、最も問題となる病気で、その経済損失は日本全体で年間 800 億円にのぼると言われています。乳房炎の治療には、抗菌薬が使用されますが、適切な抗菌薬の使用のためには、一刻も早い原因細菌の発見が必要です。これまで、乳汁から細菌を培養することで細菌検査が実施されておりましたが、原因細菌の判定には少なくとも 1 日かかります。そのため、迅速な原因細菌の発見方法の開発が酪農現場からは求められていました。
そこで今回、簡易かつ安価な携帯型シークエンサーを用いた原因細菌の判定法の開発を行いました。結果、6時間程度で、乳房炎の原因となる細菌大腸菌や黄色ブドウ球菌などを正確に判定する方 法が確立されました。これにより、検査を開始したその日のうちに、判定結果を治療に反映することが可能になりました。
開発された方法が普及することで、乳房炎に苦しむ乳牛や酪農家の助けになることが期待されます。
論文発表の概要
Usui M*, Akiyoshi M, Fukuda A, Iwano H, Kato T. 16S rRNA nanopore sequencing for rapid diagnosis of causative bacteria in bovine mastitis. Res in Vet Sci. 2023. In press.
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▼本件に関する問い合わせ先
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類
教授 臼井 優
住所:北海道江別市文京台緑町582番地
TEL:011-388-4723
メール:usuima@rakuno.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター (リンク »)
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