海事クラスターのべ27機関による共同研究「実海域実船性能評価プロジェクト(OCTARVIA)」の アプリ活用セミナーを12月15日(金)に開催

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所

From: PR TIMES

2023-11-21 12:47

~オープンイノベーションで海上輸送のSDGs達成に貢献~

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所在地:東京都三鷹市、所長:峰本 健正、以下 海技研)は、より先進的かつ地球環境へ配慮した海上輸送の実現に向けて、オープンイノベーションによる共同研究「実海域実船性能評価プロジェクト(OCTARVIA:オクタビア)」を2017年より実施してまいりました。
OCTARVIAは、船舶が実際に運航する波や風のある海域の中での速力、燃料消費量等の性能(実海域性能)を正確に評価する方法を開発するための共同研究プロジェクトです。この度、本プロジェクトで開発した3つのデータ解析アプリの活用セミナーを、2023年12月15日(金)に実施いたします。海技研では本プロジェクトの成果の普及を通じて、海上輸送の省エネ化・高性能化に貢献してまいります。



※オープンイノベーション:製品開発や技術改革、研究開発などにおいて、自社以外の組織が持つ知識や技術を取り込むことで、企業単独では実施困難な課題の解決を図る方法のこと
※海事クラスター:海運業、造船業を中核に舶用工業のほか、船級協会、気象コンサルタント会社といった広い業種で構成され、これらが直接・間接に関係する産業群のこと

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オープンイノベーションで世界の海上輸送の省エネ化・高性能化に貢献

オープンイノベーション方式の海事クラスター共同研究「OCTARVIA」について
国際的に進める必要がある温室効果ガス(GHG)排出削減、カーボンニュートラル社会の実現には、個別企業で対応できる範囲を超え、海事産業分野を結集したクラスターにおいて、技術の総力戦を展開することが不可欠です。このため、海技研では、2017年より、船舶の実海域における性能評価に関する共同研究「実海域実船性能評価プロジェクト(OCTARVIA)」を主導し、船社・造船所・メーカー等と協業しながら、船舶の設計段階において実際に運航する波や風のある海域の中での船舶性能(速力、燃費等の性能等:実海域実船性能)を正確に評価する方法の開発に取り組んでまいりました。

フェーズ1(2017年10月~2021年3月):
船社・造船所・メーカー等25機関が参画し、実海域実船推定・計測・評価手法及び計算プログラム等を構築・確立

フェーズ2(2022年3月~2024年3月):
船社・造船所・メーカー等24機関が参画し、フェーズ1で開発した評価法の社会実装および国際標準化について研究

<フェーズ1参加:25機関>
川崎汽船株式会社、株式会社商船三井、日本郵船株式会社、今治造船株式会社、株式会社大島造船所、川崎重工業株式会社、サノヤス造船株式会社(現:株式会社新来島サノヤス造船)、ジャパン マリンユナイテッド株式会社、株式会社新来島どっく、住友重機械マリンエンジニアリング株式会社、常石造船株式会社、内海造船株式会社、株式会社名村造船所、
三井E&S造船株式会社、三菱造船株式会社、関西ペイントマリン株式会社、中国塗料株式会社、日本ペイントマリン株式会社、かもめプロペラ株式会社、ジャパン・ハムワージ株式会社、ナカシマプロペラ株式会社、ナブテスコ株式会社、一般財団法人日本海事協会、一般財団法人日本気象協会、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
<フェーズ2新規参加:2機関>
Ocean Network Express Pte. Ltd., 株式会社三井E&S

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「OCTARVIA」発足の背景と課題
海上輸送の安全性の向上や地球環境負荷の低減は喫緊の課題であり、業界が団結し技術を統合して革新的な研究開発を進める必要があります。なかでも船舶からの地球温暖化ガスの削減は世界的な目標であり、一層の技術革新が求められますが、そのためには船舶が実際に運航する波や風のある海域の中での速力や燃料消費量等の性能を正確に把握・評価する技術が重要です。
しかしこれまで、実際の運航状態における船舶の性能を的確に評価する客観的な指標(ものさし)は存在しておらず、海事産業に関わる各機関が独自の技術のなかで船舶の開発(計測、解析、評価のプロセス)に取り組んできた背景がありました。同時にものさしが存在しないことで、業界内では実海域中での実船性能が高く評価されている日本国内の海運・造船技術について、優位性を十分にアピールできないという課題もありました。

「OCTARVIA」によって実現する未来
本プロジェクトでは客観的指標(ものさし)の開発・確立および運航船舶への適用を目指し、海事クラスターが共同で研究に取り組んでまいりました。開発した指標(ライフサイクル主機燃費)を用いることで、世界中の船舶を対象に客観的な評価・比較が可能になります。このことにより、技術革新の基盤が構築され、より効率の高い海上輸送の実現、GHG等の地球環境への負荷の低減を我が国が主導して実現することが可能となります。

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「OCTARVIA」で開発した指標(ものさし)と評価・解析プログラム

「OCTARVIA」では、多数の実船データ、風洞試験、国内外の水槽試験による検証を通し、実海域実船性能を計算するwebアプリを開発しました。成果プログラムは、国内外にものさしとして広く利用していただき、実海域性能の高い船舶の建造、運航の実現に向けた取り組みを支援することを目的に、海技研クラウド※1で国内外に公開しています。

実海域実船性能の推定・計測・評価の指標(ものさし):「ライフサイクル主機燃費」
主機関の燃料消費量、船舶の輸送距離、輸送貨物量から算出する、ライフサイクル総計の主機燃料消費量。波風の影響の他、経年劣化、生物汚損を考慮することができるため実船の実海域性能を定量化することができ、開発に適用することで個船の性能向上、運航改善、メンテナンス計画への反映等が可能です。

実海域実船性能を計算するwebアプリとして公開しているプログラムは下記の3つで、いずれも機能限定版(無償)とフル機能版(有償)の利用が可能です。Microsoft Edge、Google Chrome等のwebブラウザー上で動作します。

1.実海域性能推定を行い、ライフサイクル主機燃費を評価するプログラム:OCTARVIA-web
・ライフサイクル主機燃料消費量にて検討船や省エネ技術の経済性評価が可能です。
・世界最高精度※2の実海域性能モデルを実装し、個船ごとのEEXI※3やCII※4の検討の他、運航状態での外力影響の分析や航路・メンテナンス計画等の運航計画の評価が可能です。
・EAGLE-OCT.-web, SALVIA-OCT.-webと連接することで船社等でも実海域実船性能評価が可能です。

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2.実船モニタリングデータを解析するプログラム:SALVIA-OCT.-web
・実船モニタリングデータのデータフィルタリング機能、波・風の外乱修正機能があり、平水中性能および任意海象下の実海域性能(船速・回転数・主機出力関係)を求めることができます。
・品質評価結果を出力することで、客観性が高く、恣意性のない実船モニタリングデータ解析が可能です。
・株式会社シップデータセンターの実船モニタリングデータおよび一般財団法人日本気象協会の海事産業向け気象海象データサービス(POLARIS)とデータ連接もでき、正確かつ効率的な解析が可能になります。
参考: (リンク »)

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3.主要目から上記プログラムの入力となる船体形状・船体性能を簡易推定するプログラム:EAGLE-OCT.-web
・船種(コンテナ船、自動車運搬船、バルカー、タンカーより選択)や船長などの主要目を入力し、OCTARVIA-webでの実海域性能推定やSALVIA-OCT.-webでの外乱修正で必要となる水線面形状・横断面情報等の船体情報を簡易推定します。
・造船設計データを保有していない船社・舶用メーカー等の利用者も、実海域性能を評価できます。

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※1 様々なプログラムやデータを結び付けて利便性・拡張性が高いソリューションを提供し、海事・海洋分野のオープンイノベーションを加速させることを目的したプラットフォーム。
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※2 波、風の外力推定法は、国際試験水槽会議(International Towing Tank Conference:水槽試験及び数値シミュレーションにより船舶及び海洋構造物の流体性能の予測を行う国際機関)にて比較を行い、最も精度の高い方法と認められた当所が開発した方法を実装しています。
※3 EEXI(Energy Efficiency Existing Ship Index)は既存船エネルギー効率指標で、地球温暖化防止対策の一環として2023年から規制が開始されています。
※4 CII(Carbon Intensity Indicator)は船舶に対する燃費実績の格付け制度で、地球温暖化防止対策の一環として2023年から開始されています。


一般向けOCTARVIAアプリセミナー開催概要

海技研では、本プロジェクトでの成果を造船設計の改善や効率運航へと繋げていくため、船舶の燃費性能評価にご興味がある方を対象とした一般向けセミナーを開催いたします。
アプリを使用することにより、運航方法や、メンテナンス計画、波や風に対する応答の違いが、船舶の性能にどのように寄与し、船の生涯(ライフライクル)における温室効果ガス(GHG)排出量がどのくらい削減されるかを評価することができます。

開催日時:令和5年12月15日(金) 13:30~17:00
開催場所:(国研)海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(東京都三鷹市新川6-38-1) 本館 1階会議室
参加費用:無料
定員:20名
プログラム:
  第一部 講演(1時間30分)
    OCTARVIAプロジェクトの目的と実施内容の紹介
    各OCTARVIAアプリの機能説明
    株式会社シップデータセンターとの実船モニタリングデータとのデータ連接の説明
    一般財団法人日本気象協会の海事産業向け気象海象データサービス(POLARIS)とのデータ連接の説明
  第二部 デモ・演習(2時間)
    各OCTARVIAアプリの使用法デモ及び実習

参加方法:
・ お申込みURL: (リンク »)
・ OCTARVIAアプリは機能限定版(無料版)を使用します。
・ 会場では無料のWIFIネットワーク接続サービスが利用いただけます。
・ 参加者はWIFIネットワーク接続、ブラウザ(Microsoft EdgeまたはGoogle Chrome)が使用できるノートPCをご持参ください。
・ 参加者は11月30日(開催日15日前)までに、海技研クラウドWEBサイト(URL: (リンク ») )より、会員登録及びwebアプリ(OCTARVIA-web(Free Version), SALVIA-OCT.-web(Free Version), EAGLE-OCT.-web(Free Version))の利用申請手続きを行ってください。過去にOCTARVIAアプリを利用申請済みの場合は不要です。


海技研クラウドについて

海技研のクラウドサービス、“海技研クラウド”は、海事・海洋分野のオープンイノベーションを加速させることを目的したプラットフォームとして、クラウド技術を活用した高度で利便性・拡張性の高いソリューションを無償・有償にてご提供しています。
日本の海事産業では、個別の機器・技術等で高い競争力を有する企業が存在しているにも関わらず、国際的に厳しい競争環境に置かれています。海技研クラウドでは、海技研の有するシミュレーション技術や当所施設の実験データ等についてクラウド技術を活用した形で公開することで、各企業が有するデータやアプリケーションとのAPI等によるデータ連携を安全なかたちで実現します。国内海事産業における組織間の技術連携が活発化されることで、海事産業のDXを促進することを目指しています。

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YouTube:
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国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所について

海上技術安全研究所は、大正5年(1916年)に逓信省管船局船用品検査所として発足して以来、研究所の姿かたちを進化させつつ時代背景や社会情勢の変化に応じて我が国の政策課題や産業界の技術的課題の解決に貢献してまいりました。
本年は港湾空港技術研究所、電子航法研究所との統合から8年目を迎え、統合法人である、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所(うみそら研)として、分野横断的研究の成果および、統合によるシナジー効果の創出について引き続き取り組んでまいります。

【法人概要】
法人名:国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所
所在地:東京都三鷹市新川6丁目38番1
所長:峰本 健正
設立:平成13年4月
事業内容:海上交通の安全及び効率の向上のための技術、海洋資源及び海洋空間の有効利用のための技術、海洋環境保全のための技術に関する研究等
会社HP: (リンク »)

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