日本企業向けに「バスク州水素産業ウェビナー」を開催。バスク州の水素サプライチェーンの強みを生かした協力体制の基盤づくりに

Basque Trade & Investment

From: PR TIMES

2024-05-17 12:16

バスク州政府貿易投資事務所(以下BT&I)は、水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)の協力のもと、州のキーパーソンを登壇者に迎えたウェビナーを主催。日本企業に州の戦略、事例、強みを発信しました。



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■概要
2024年4月17日(水)、バスク州政府貿易投資事務所は水素関連事業に取り組む日本企業を対象としたウェビナー「Japan-Basque Country : Powering Progress, Basque Hydrogen Excellence, Connecting Continents」を開催しました。

登壇者としてバスクの水素産業を担う産官学のキーパーソンを招き、「水素産業の成長戦略」、「進行中の域内事例」、「注力する技術研究領域」について、専門的な話題を交えながら発表を行いました。質疑パートでは、バスクの視点から見たEUのサプライチェーン動向、水素政策の課題、水素需要を向上させるポイントなどについて、意見が出されました。最後に、日本との協力関係の構築に対する期待を込めたメッセージをそれぞれの立場から発信していただき、締めくくりとしました。
▶当日のフル動画(日本語)は以下のURLから視聴できます。
(リンク »)

■開催目的
- バスク州が持つ「水素バリューチェーンの強み」を戦略的展望・事例とともに紹介することで、日本企業とバスク州・企業が協力関係を構築する基盤をつくる

なお、バスク州は日本との関係構築に関して以下の中長期目標を掲げています。
本ウェビナーは、この目標達成に向けた重要なステップとして位置づけられています。
- 日本ーバスク間での投資促進および新規のビジネス機会創出
水素セクターにおける両国間のビジネス関係の強化
- 国内外における、バスク企業と日本企業の協業事例の増加

■プログラム( (リンク ») )
[表1: (リンク ») ]
■各パートのポイント
□バスク州の水素戦略
- バスク州は、重工業が盛んな地域であること(州GDPの25%が工業)、欧州の交通の要所であること、貿易が盛んなビルバオ港と大規模製油所の存在を背景に、水素産業に注力
- 産業ごとに形成されたクラスターを核とし、中小企業のネットワークが緊密。州政府のバックアップのもと、産官学が強固に連携する体制が敷かれている
- 上記を背景に、バスク州エネルギー庁が2020年に「リンク ») ">Basque Hydrogen Strategy(バスク水素戦略」を制定。立ち上げ期(2021年~2030年)と成熟・成長期(2030年~2050年)のフェーズを通じて、年間10万tの再生可能・低炭素由来の水素製造、21万~29万tの化石燃料削減、59万~79万tのCO2削減を目指している

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□「リンク ») ">バスク水素回廊(BH2C)」の取組
- バスク州内に水素エコシステムを構築する官民イニシアティブで、民間ではバスクに本社を置くPetronor社(スペイン大手石油ガス企業のレプソル社傘下)が中心的な役割を果たす
2022年に「Hydrogen Valley of the year in Europe」に選定。2030年までに11億ユーロを投資する計画
- 行政、学術、R&D、クラスターのバックアップのもと、製造から貯蔵・輸送、利用に至るまで、域内の水素バリューチェーン全体に渡ってプロジェクトを実施中
- サステナブル水素の開発に注力する第1フェーズ(2020年~2026年)と、インフラ開発・産業需要開拓・移動手段への応用に注力する第2フェーズ(2026年~2030年)で計画
- 5つのテーマに区切り、33のプロジェクトに取り組む。うち、水素製造プラント事業(Sener社)と100MW大規模水電解槽事業(Petronor社)は、2024年にIPCEI(欧州共通利益に適合する重要プロジェクト)に認定され、国家補助対象となっている

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Petronor社の取組
・自社製油所(220ヘクタール)とビルバオ港の脱炭素化
・2023年に2.5MW電解槽を稼働し、ビルバオ市内のガラスやセメント工場で利用
・2025年にはモビリティー向けに10MW、産業利用向けに100MWの電解槽を稼働させる予定。これにより、エネルギー消費の激しい産業でも集積が可能となる

□水素領域におけるバスクのポテンシャル
- バスクは狭いエリアに多種多様な重要産業・企業が存在するのが特長。特にエネルギー分野では、これまで多数の国際イベントを誘致するなど、高い実績を誇る
中小企業のクラスターネットワークを州政府が全面的にバックアップする強固な官民連携体制が実装されている
水素領域では、水素製造、水素輸送、モビリティ、鉄鋼の4つの領域での取組が特に盛ん

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□水素技術のトレンドとバスク州の取組
- バスクの水素産業構造は、企業と関係機関の技術力にR&Dの研究力が組み合わさることで成り立っている
R&D機関のTecnalia社は自社の水素ラボを整備し、以下の研究に着手

・電解槽用の膜、電極、バイポーラプレートの電気化学的特性評価
・電解槽用MEA/セルの特性評価
・最大2kWまでの電解槽用スタックの特性評価(AEL, PEM, AEM, SOEC)
・電解槽用スタックおよびBoPコンポーネントのテスト(最大50 kWまで)
・300バールまでのH2との材料互換性テスト用オートクレーブ
・水素センサー特性試験装置

- 現在のTRL(テクノロジー・レディネス・レベル)は、基礎研究・応用研究段階のTRL1-4。先進試験設備の整備によって実験的開発(TRL5-7)→革新(TRL8-9)へと発展させ、産業界にインパクトをもたらしたい
日本とは協力関係を構築してオープンイノベーションエコシステムを創出したい
- その他、バスクで進行中の主要R&Dプロジェクトは以下のとおり

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□質疑
・水素の発展はすでに欧州の共通目的。EU諸国は協力関係が緊密で、バスクはオランダへの海上輸送やマルセイユを経由した回廊の構築に注目
・課題は輸送形態が確立していないこと。既存設備の利活用、水素専用設備の要否、水素キャリアなど、検討事項は多岐に渡る。相当な投資がいるため、コスト削減を両立して堅牢なソリューションにする必要がある
・水素の政策的な成功には、官のバックアップを元に企業が取り組む体制構築が不可欠。
・スケールメリットを生かすためには、工業、モビリティ、製造業などがすべて物理的に近距離にいる必要がある
・水素はまだ成熟しておらず、市場には拒絶する動きも見られるが、徐々に競争力をつけつつある。バスやトラックは重要な需要になる可能性があるが、住宅ではまだ利用できない。法整備で水素需要を後押しするのも重要
・水素を代替ソリューションとして考える前に、水素自体の課題を解決する手段として水素を利用すること。たとえば、グレー水素は次の水素に置き換える必要がある。水素派生製品に注力すれば次のステップに進みやすくなるのではないか

■登壇者から日本へのメッセージ
- 「短期スパンではなく、中長期的な視点で協力を考えていきましょう。水素は製造だけでなく需要開拓も必要です。日本の水素産業は世界的に見ても先端を行き、重要なポジションにあります。大きな期待を寄せています」(バスクエネルギー庁/フアン・マヌエル氏)

- 「バスクには学ぶ姿勢があります。水素は多くの課題がありますが、水素輸送もそのひとつです。成熟と呼ぶには早く、最適な輸送方法を見つける必要があります。Petronor社に関心のある日本企業がいれば、喜んでコラボレーションさせていただきたいです。ぜひ前向きに検討してください」(Petronor社/アシエル氏)

- 「日本は目指すべきモデルだと思ってきたので、今回の機会をうれしく感じています。様々なチャレンジを日本との相互協力で乗り越えていきたいと考えています。今後もこの絆をつないでいきましょう」(Tecnalia社/エカイン氏)

- 「バスクは常に謙虚で真剣な姿勢でコラボレーションしています。欧州でも強力なプロジェクトを実行していきますので、ぜひ日本と協業出来ればと思います。バスクと日本の間には、真剣さや意識の持ち方など、文化的な共通点も感じられます。相性はとてもいいはずです」(バスク・エネルギー・クラスター/マルコス氏)

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