伊豆大島火山の陸海の全体像を示す地質図の刊行

国立研究開発法人産業技術総合研究所

From: 共同通信PRワイヤー

2026-04-27 14:00

「伊豆大島火山地質図(第2版)」を刊行

ポイント

・ 「伊豆大島火山地質図」を、第1版が刊行された1998年以降の研究の蓄積と進展をまとめ、更新

・ 伊豆大島火山がどこでどのような噴火を経て形成されたかを、海陸シームレスな地質図として表現

・ 火山災害軽減の基礎資料としてハザードマップ・避難計画策定等に活用が期待される情報を提供

 

【画像: (リンク ») 】

 

国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、国立大学法人東京大学地震研究所の研究チームと共同で調査した伊豆大島火山の噴火履歴などをまとめ、火山地質図「伊豆大島火山地質図(第2版)」(以下「本地質図」という)を刊行しました。本地質図は、伊豆大島陸上および沿岸部について4万分の1、周辺海底部を含む広域地質図は11万分の1の縮尺で作成しました。活火山からなる火山島沿岸部について、この縮尺の精度で噴火履歴に関する情報を海と陸をシームレスにつなぐ地質図として出版することは、世界で初めての取り組みです。

 

伊豆大島火山は日本における活火山の一つで、過去に何度も噴火を繰り返しています。およそ100〜150年に一度の割合で、カルデラの外の山腹に堆積物を残すような大規模な噴火(マグマ噴出量1億トン以上)を起こすとともに、19世紀半ば以降では中規模な噴火(マグマ噴出量1億トン未満、100万トン以上)を繰り返し、1986年に発生した噴火では、全島避難する事態になりました。産総研では、1998年に「伊豆大島火山地質図」を刊行し、1986年噴火を含めた伊豆大島火山の噴火履歴に関する情報を発信しました。

 

伊豆大島火山の火山体の大部分は海面下に分布しています。そのため、噴火履歴や噴火の仕組みを考える上では、海底部を含めた火山体全体やその基盤に関する情報が不可欠です。本地質図の作成にあたって、伊豆大島火山の噴火履歴について、これまでの研究成果に加え、1998年以降に入手可能となった高解像度の地形データとそれに基づく地質情報、噴火堆積物調査の成果を取り込んでいます。これにより、従来明らかになっていなかった火口を記載するとともに、火口の位置情報の精緻化をはかり、噴出物とその供給源である火口の対比の信頼性が向上しました。これはどの地域でどのような規模の噴火が想定されるのかを知り、その影響がおよぶ範囲を推定することに役立ちます。

 

さらに、噴火が起きた際の影響が懸念される沿岸域と周辺海域について、高分解能地形調査や構造探査、海底試料採取を実施し、海底部の火口および噴出物の分布などの地質情報を整備しました。高分解能地形調査では、特に海洋調査船での観測が困難な水深の浅い沿岸域において、小型船(漁船)に測深機をセットして観測を実施しました。高周波(250 kHz~300 kHz程度)の音波を使用して、水深200 m程度までについての1 m〜2 mグリッドの地形データを取得しました。また構造探査では、小型船から低周波(約1 kHz)の音波を発振するブーマー音源と、複数の受波器(ハイドロフォン)を備えたストリーマーケーブルを曳航、発振した音波の反射波を観測、解析することにより海底面下の地層の重なりとその岩質を推定しました。これらの調査により得られたデータを踏まえて、海底試料採取を行いました。水中カメラの曳航や水中ドローン(小型ROV)の潜航により海底映像を取得することで、海底地質を推定した上で、採泥器やサンプリング用治具を取り付けた水中ドローンにより海底の岩石や堆積物を採取し、調査地域の地質を確定させました(図1)。この研究により沿岸海底部には陸上部分と同様に、おおむね北西―南東方向に配列する多くの側火山が存在することが初めて明らかになりました。沿岸部における海底噴火の影響評価の向上が期待されます。

 

これらの成果をまとめ、陸上部のみならず、海面下の山体や側火山の分布、隣接する伊豆東部火山群などの情報を合わせて提示し、火山全体を理解できる地質図を「伊豆大島火山地質図(第2版)」として出版しました。産総研では、引き続き陸上、海底部分を合わせた伊豆大島火山全体の噴火活動履歴の把握と、特に側火山に注目した伊豆大島火山のマグマ供給系の理解を進め、科学論文公表とともに火山防災に資する基礎情報の提供を目指していきます。

 

本地質図は、学術研究の基礎資料のみならず、火山災害軽減の基礎資料としてハザードマップ・避難計画策定等に活用されるほか、ジオパークや国立公園等の自然解説ガイドとしての活用も期待されます。

 

下線部は【用語解説】参照

 

【画像: (リンク ») 】

 

メンバー

石塚 治(産総研 活断層・火山研究部門 首席研究員)

川邉 禎久(産総研 地質情報基盤センター)

井上 卓彦(産総研 地質情報研究部門 海洋地質研究グループ 研究グループ長)

有元 純(産総研 地質情報研究部門 海洋地質研究グループ 研究グループ付)

前野 深(産総研 活断層・火山研究部門 客員研究員(東京大学地震研究所 准教授))

 

入手先

 本地質図は、産総研地質調査総合センターのウェブサイトからダウンロードできます( (リンク ») )。また、産総研が提携する委託販売先からも購入できます( (リンク ») )。

 

関連する論文

掲載誌:Journal of Volcanology and Geothermal Research

タイトル:Long-distance magma transport from arc volcanoes inferred from the submarine eruptive fissures offshore Izu-Oshima volcano, Izu–Bonin arc

著者:Ishizuka, O., Geshi, N., Kawanabe, Y., Ogitsu, I., Taylor, R.N., Tuzino, T., Sakamoto, I., Arai, K., Nakano, S.

DOI: (リンク »)

 

掲載誌:Earth and Planetary Science Letters

タイトル:Progressive mixed-magma recharging of Izu-Oshima volcano, Japan: A guide to magma chamber volume

著者:Ishizuka, O., Taylor, R.N., Geshi, N., Oikawa, T., Kawanabe, Y., Ogitsu, I.

DOI: (リンク »)

 

用語解説

火山地質図

表土の下にある岩石や地層の種類・分布、褶曲や断層などの地質構造を、色や模様、記号を用いて地形図上に示したものを地質図といい、特定のある噴火で発生した噴出物の分布(噴火実績図)とともに対象とする火山全体の形成史がわかるように示した地質図を火山地質図という。

 

カルデラ

火山に見られる円形ないし楕円形に近い凹地形で、一般的に直径2 km程度以上のものをカルデラと呼ぶ。火山性カルデラの多くは、大量のマグマが短時間に噴出することで地下のマグマだまりの天井が崩壊、落ち込むことでできた陥没地形と考えられる。

 

 

プレスリリースURL

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