可用性と拡張性を求めてIBMのミドルウェア群を選択
統合CRMシステムの高い可用性、拡張性を確保するにあたって、同銀行が基盤構築のベースとして選択したのがIBMのミドルウェア群だ。
データベース(DB)としては「DB2 9.8」およびクラスタリングオプションの「DB2 pureScale」、アプリケーション(AP)サーバとして「WebSphere Virtual Enterprise(WVE)」、仮想化プラットフォームとして「PowerVM」を利用して、DBサーバとAPサーバの統合を図った。
DB2 pureScaleを採用した理由は「スケールアウトによって高い拡張性を確保できる点」だという。また、縮退稼働を水平分業で実現することによって可用性を確保できることもポイントだったとのことで、これらの製品群によって「自律的管理」を実現することも当初から念頭に置かれた。プロジェクトをスタートした2010年当時、これらの構成については「大規模な利用事例がほぼなかったため、当初は苦労した」と井澤氏は言う。
可用性を向上させるための構成として、新たなシステム基盤においてはDBサーバとAPサーバをそれぞれ並列させ、トラフィック流量や各サーバの稼働状況、アプリケーションごとに必要とされるサービスレベルなどによってロードバランシングやフェールオーバーを自動的に行う環境を用意した。APサーバへのアクセスについてはWVEの「ヘルス管理&保守モード」を利用することで、APサーバの障害および予兆を検知した場合に、自動的にリクエストの割り振りを停止することでサービスへの影響を最小化する仕組みを取り入れた。また、DBサーバではpureScaleの機能を利用したロードバランシングを活用したという。
「想像以上のレベルで」自律的な管理が実現
井澤氏らは、このプロジェクトにおいて、DB2 pureScaleとWVEを含むシステムが、実際に自律的な負荷分散をスムーズに行えるかどうかの検証を行ったという。セッションでは、その検証結果も紹介された。