10年がかりでLinuxに移行したミュンヘン市、Windowsへの回帰を検討 - (page 2)

Ed Bott (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2014-08-22 07:00

 Microsoftは2013年前半に委託した調査で、こうした試算に反論した。その調査によれば、LiMuxプロジェクトのコストが6000万ユーロを超えることが分かったという。一方、「Windows XP」とOfficeのソリューションを採用していた場合のコストは1700万ユーロだったとしている。市職員は、その報告書は「誤った仮定」に基づいていると述べた。

 無料のソフトウェアと比較した場合、Microsoftのライセンス費用が、こうした大規模な政府による導入コスト全体に重くのしかかるのは間違いない。しかし、批評家が指摘してきたように、国内のほかのほぼすべての政府機関がWindowsを使っているにもかかわらず、それと別の方針を採用すれば、大きなコストが発生する。

 ミュンヘン市の市長選に出馬したSabine Nallinger氏によると、データのやりとりが特に困難で、適切に機能しなかったという。Schmid氏も同じ考えで、ミュンヘン市最大の新聞であるSuddeutsche Zeitungに対して、カスタムプログラミングが必要なので「Linuxは非常に高コストだ」と述べている。

 また、プロプライエタリなソフトウェアを完全に排除することは、現実的な選択肢ではない。先述したECの2008年の報告書によると、ミュンヘン市は公務のために300の「専門的な行政向けソフトウェアパッケージ」を使用しているという。同市の目標は、プラットフォームに依存しない代替ソフトウェアでそれらのプロプライエタリなアプリケーションを置き換えることだったが、現実には、そのほとんどが最終的に仮想マシン内のWindowsで動作することになるだろう。その場合、もちろんMicrosoftにライセンス料を支払う必要が生じる。

 このように、ミュンヘン市は現在、振り出しに戻っており、外部の専門家が複数の代替案を評価している。「専門家がMicrosoftへの回帰を勧めたら、その可能性を除外することはできない」(Schmid氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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