企業向けクラウドストレージ5種を比較

Mary Shacklett (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-07-07 06:15

 ITに関する意志決定者の42%が、2015年にクラウドコンピューティングの予算を増やすと推定されている。さらに、従業員が1000名以上の企業はクラウドの予算を52%増加させると予測されている。管理するデータの急速な増加と、そのデータの新しい「保管場所」を見つける必要性を考えると、こうした予算の一部はストレージに充てられるだろう。

 この記事では、5つの主要なクラウドストレージソリューションと、各社がIT部門やエンドユーザーに示すバリュープロポジションについて紹介する。

Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)

 「Amazon S3」は、アプリケーションと、そのアプリケーションが使用する関連データやリソースをコンテナ化することができる、オブジェクト指向のストレージだ。このストレージは、必要に応じて拡張または縮小でき、ユーザーは使用分だけを支払う。AmazonはS3を自社の広範な事業に使用して成功してきた。

 S3は、コンテンツのストレージやデータバックアップ、アーカイブやディザスタリカバリといった目的に適合させることができる。また、これは「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」や、「Amazon Elastic Block Store(EBS)」といったAmazonのほかのクラウドサービスと完全に連携している。EC2のワークフローでは、IT部門がリソースを簡単に拡張または縮小することができる。EBSは、Amazon EC2の仮想サーバで使用するための、ブロックレベルのストレージボリュームを提供する。

 「Amazon Glacier」は、めったにアクセスしない大量のデータを低コストで保存したいというニーズに応える、コールドストレージソリューションだ。これによって企業は、維持することが求められているデータストアの急激な増加に対処できる。

 Amazonのクラウドサービスの導入コストは魅力的だ。最低料金もなく、設定費用もかからない。

 Amazonは、クラウドで最善の管理方法を探している企業にぴったりだ。S3は、アプリ開発やテストに必要なリソースをアウトソーシングすることによって、データセンターのコストを低く抑えようとしている組織に訴求するだろう。

Microsoft Azure

 今や、「Windows」だけでなくクラウドベースの仮想Linuxも提供する「Microsoft Azure」は、企業が必要とする、異機種のコンピューティング環境に適合してきた。LinuxとWindowsの2つのOSをサポートし、オープンスタンダードに適合しているため、Azureは、Infrastructure as a Service(IaaS)の選択肢の1つにもなっている。

 Azureが提供するオブジェクトストレージは、クラウド上でのアプリケーション開発とテストに最適だ。Azureは、コンテンツストレージとテーブルストレージも提供する。テーブルストレージは、大量の構造化データをクラウドベースで保持する。

 2012年、Microsoftは、クラウドゲートウェイベンダーのStorSimpleを買収した。StorSimpleの買収によって、Azureはハイブリッドクラウドストレージへと拡大し、オンプレミスとクラウドベースのストレージを1つのストレージ管理システムの下で管理することが可能になった。データセンター内外のストレージ向けに手頃な価格の「究極の管理」ソフトウェアを見つけることは、多くの企業が苦労している点であるため、それを提供できるAzureには、優れたバリュープロポジションがあると言える。

 価格の観点から考えると、AzureはAmazon S3と直接競合する。設定費用も最低料金も、解約手数料もかからず、使った分だけ支払うようになっている。

 Azureは、Microsoftのソリューションや技術を自社のデータセンターで既に大規模に採用している企業によく適している。そうした企業にとって、Microsoft Azureに拡張することは、パブリッククラウドに移行する上で自然な入り口となるだろう。Azureは、広範囲にわたるクラウドサービス品質保証(SLA)と、世界19カ所のAzureデータセンターのネットワークも提供しているため、ガバナンスとディザスタリカバリの面でクライアントを安心させるかもしれない。

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