ワークスタイルは変革できるのか

ワークスタイル変革が成功しない理由 - (page 4)

宮下 徹

2015-08-28 07:00

 コスト削減では、移動にかかる費用・時間の節約、また、業務効率化に伴う残業の削減が期待できる。従業員の生産性向上では利益に貢献するだけでなく、BYODやテレワークも併せて導入することで満足度向上に寄与し、優秀な人材の確保にも効果がある。

 ただ、ワークスペースを従来の社内から社外へと拡大することになるため、経営層からはセキュリティの担保が大前提となり、利用ガイドラインやポリシーを確立する必要がある。

 スマートデバイスは簡単にデータを持ち出しやすくする性質を持っている上に紛失しやすいので、ガバナンスをしっかりと効かせたい、という要望はもっともである。ただし、1人あたりが所持するスマートデバイスの数は増加傾向にあるため、ガバナンスをきかせるのは容易なことではない。

 一方で、ユーザーからもさまざまな要望が上がってくる。端末の面では「iPhoneなどの特定の端末を使いたい」「2年経ったので最新の機種を使いたい」というものや、使い方の面では「社外でもメールを受信できるようにしたい」「社外でも承認業務を行いたい」というところまでさまざまである。ただし、ユーザーからの要望はそもそも必須かどうかを判断することも必要で、「効率化」をどのように定義するかが重要になる。

 そして、これらの要望を両立する形で実現しなければならないのが情報システム部門である。非常に悩ましい課題だが、どのようなツールで、どのような形で実現すればよいか、本連載の中で詳しく紹介する内容が参考になれば幸いである。

 なお、今回は触れていないが、ICTツールだけでなく人事制度やオフィスファシリティ(レイアウトや設備)もワークスタイル変革には重要なファクターである。近年注目されているテレワーク制度やフレックス制度の実施、BYODの導入など、環境の変化に合わせてさまざまな制度を整備する必要がある。

 次回はワークスタイル変革を実現していく上で必要となる部分について、具体的な人事制度の部分やITファシリティについて解説する。またテクニカルな部分についての全体像も合わせて紹介し、3回目以降のアジェンダを示す。

ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 第2応用技術部 EUCチーム 宮下 徹
2004年よりVMwareを中心とした仮想化製品を担当。現在は「モビリティ」をキーワードに新しい働き方を啓蒙するべく社内外問わず活動している。

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