VMware Photon:VMware vSphere向けに最適化された軽量OS
OSからコンテナへの移行という一大作業においては、最小構成のOS上でマイクロサービスを稼働させるというアプローチにも力点が置かれている。「CoreOS」や「RancherOS」、Red Hatの「Atomic Host」、「Microsoft Windows」向けの「Nano Server」の台頭により、VMwareもコンテナの稼働に最適化された、軽量かつ最小構成のLinux OSを構築するという方向に進むこととなった。
VMwareの開発した新OS「Photon OS」はフットプリントが非常に小さく、起動にはわずか数秒しかかからない。このOSはVMware vSphereに最適化されているとはいうものの、「Google Compute Engine」と「VMware vCloud Air」上で稼働できるようになっている。VMwareはPhoton OSを、仮想化プラットフォーム上に配備されるマイクロサービスベースのグリーンフィールド(まっさらな)アプリケーションを開発するための環境と位置付けている。なお、ソースコードとISOイメージはGitHubからダウンロード可能だ。
VMware Photon Controller:オープンソースのコンテナオーケストレーションエンジン
OSとコンテナエンジンはクラウドネイティブプラットフォームの必須要素だが、オーケストレーションエンジンも各パーツを協調させるうえで重要な役割を演じる。オーケストレーションエンジンは、プロビジョニングやスケジューリング、モニタリングのほか、アプリケーションのライフサイクル管理に関するオーケストレーションやコーディネーションを行うものだ。これを実装したコンテナオーケストレーションプラットフォームとして、「Docker Swarm」や「Kubernetes」「Mesosphere Datacenter Operating System(DCOS)」がある。
VMwareはコンテナスタックに多大な投資を行うことで、クラウドネイティブアプリケーションの必須要素、すなわちオーケストレーションエンジンを作り上げようとしている。「DockerCon Europe」で発表された「VMware Photon Controller」は、VMware vSphereが稼働するホスト環境や、Photon OS上に配備されるコンテナを管理するオープンソースの管理プレーンだ。Photon Controllerは十分な機能を有したオーケストレーションエンジンだが、Docker SwarmやKubernetes、「Apache Mesos」と協調するような設定も可能だ。
VMware Lightwave:マイクロサービス用のアイデンティティマネージャ
VMware Lightwaveは、オープンソースとして開発されている、マイクロサービス用のアイデンティティマネージャだ。
提供:VMware
クラウドネイティブアプリケーションは、マイクロサービスとしてパッケージ化された、小さなモジュール構造を持ったコンポーネントから構成される。こういったコンポーネントは自律的に動作し、特定の作業を1つずつ実行するように設計されている。各マイクロサービスは、自身の認証メカニズムに従って動作するため、開発者はセキュリティ関連のさまざまな手順やプロトコルを取り扱う必要に迫られる。
「VMware Lightwave」は、マイクロサービスを開発する際に出てくる重要なセキュリティやガバナンス、コンプライアンスの問題を取り扱うための統合されたレイヤを提供する、オープンソースのアイデンティティ及びアクセス管理サービスだ。これはPhoton OSとともに動作し、シングルサインオンや認証、権限付与、認証局(CA)といったユースケースだけでなく、インフラやアプリケーションスタック全体を横断する認証鍵の管理サービスもサポートする。