米VMware主催の年次イベント「VMworld 2015」が8月31日(米国時間)、サンフランシスコにて開幕した。VMwareプレジデント兼 最高執行責任者(COO)のCarl Eschenbach氏によると、同イベントには世界88カ国から2万3000人以上が参加しているほか、オンラインからの参加者は5万人以上に上るという。
VMworldの今年のテーマは「Ready For ANY」。これは、VMwareが掲げる「One Cloud, Any Application, Any Device」、つまり1つのクラウド上で、すべて(ANY)のアプリケーションとすべて(ANY)のデバイスが利用できるITインフラを目指す戦略に基づいており、「こうしたANYの環境への準備が整っているかどうかを問いかけたものだ」とEschenbach氏は説明している。
VMwareプレジデント兼 最高執行責任者(COO)のCarl Eschenbach氏
ANYの環境を実現するにあたってVMwareでは、同イベント内にてさまざまな製品を発表している。その1つが、クラウドネイティブアプリケーションに向けた新たな仮想化基盤として発表した「Photon Platform」だ。VMwareが長年に渡って提供している「VMware vSphere」が従来のオンプレミス型アプリケーションに向けた仮想化基盤であるのに対し、新製品のPhoton Platformはコンテナやクラウドネイティブアプリケーションに最適化した仮想化基盤として提供する。
1分間に数千のコンテナを作成
同製品の発表にあたったVMware クラウドネイティブアプリ担当最高技術責任者(CTO)のKit Colbert氏によると、Photon Platformは「VMware Photon Controller」と「VMware Photon Machine」で構成する。
Photon Controllerは、高可用性が求められる環境に最適化された管理製品。1分間に数千単位で新たなコンテナを作成でき、同時に数十万のワークロードに対応できる。一方のPhoton Machineは、ベアメタルハイパーバイザ「VMware ESXi」をベースとした小型ハイパーバイザと、VMware独自のLinux OS「Project Photon OS」が含まれている。
Photon Platformは、Docker Swarm、 Kubernetes、Mesos、Cloud Foundryなどのクラウドフレームワークで稼働する。現在はテクノロジプレビューとして提供するが、Photon Controllerはオープンソースのプロジェクトとして近日中に公開予定で、Photon Machineは2015年後半にプライベートベータ版が公開される予定だ。
VMwareはまた、従来型の仮想化基盤VMware vSphereの拡張機能として、「VMware vSphere Integrated Containers」もテクノロジプレビューとして発表している。vSphere Integrated Containersは、vSphere上でコンテナを稼働させるための基盤だ。
Photon PlatformやvSphere Integrated Containersといった製品を提供する背景について、VMware コーポレートシニアバイスプレジデントのRay O'Farrell氏は、「従来の開発スタイルでは、一度製品を出荷した後はあまり頻繁に製品をアップデートすることはなかったが、最近では開発者がコンテナベースのテクノロジを活用するようになり、アプリケーションを頻繁に更新するようになった」と述べ、マイクロベーステクノロジとコンテナベーステクノロジに対応した俊敏性の高いアーキテクチャが必要になるとしている。