海外コメンタリー

元ヴイエムウェアのエンジニアが創業した注目の新興企業3社

Keith Townsend (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-08-31 06:45

 VMwareは「vSphere」データセンター仮想化プラットフォームのほかにも、データセンター自動化やネットワーク仮想化、ストレージ、エンドユーザーコンピューティングなどさまざまな製品を提供している。VMwareの元エンジニアの中には、VMwareエコシステムの価値を高め、時にはVMwareと競合することもある新興企業を創設した人もいる。本記事では、そうした新興企業の中から、筆者が特に興味深いと感じている3社を紹介する。以下の新興企業3社は、VMwareエコシステムの価値を独自に解釈し、競合ハイパーバイザとともにVMware vSphereの用途を拡大している。

PernixData

 PernixDataは、VMwareの元社員2人によって創設された。最高経営責任者(CEO)のPoojan Kumar氏と最高技術責任者(CTO)のSatyam Vaghani氏だ。同社の主力製品は「PernixData FVP」である。同ソリューションの狙いは、VMware vSphereホストに搭載されたローカルのSSDを利用して、ストレージパフォーマンスを向上させることだ。この技術は、ローカルに配置されたSSDを、SANベースのプライマリストレージ向けの読み取り/書き込みキャッシュとして利用されるミニストレージクラスタにプールすることで機能する。

 小規模なストレージベンダーがPernixDataと提携し、PernixData FVPと比較的ローレンジまたはミドルレンジのストレージアレイを組み合わせる統合ソリューションを提供している。この統合ソリューションを利用することで、予算の限られた組織も少ない初期費用でオールフラッシュアレイのパフォーマンスを手に入れることができる。

 先頃、一連のレイオフが発表されたことで、PernixDataの将来を危ぶむ声もある。レイオフは後退というより規模の適正化だ、と同社は主張している。PernixDataは直近の四半期に記録的な売上高を達成したとしている。

SpringPath

 VMwareはハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)システムへの大規模な投資を開始している。VMwareは「VMware Virtual SAN」でHCI市場に参入した。その後、VSANをベースとする「EVO:RAIL」HCIアーキテクチャを発表している。HCI分野では、いくつかの新興企業が登場しており、SpringPathもその1つだ。SpringPathの創設者は、VMwareの元社員であるMallik Mahalingam氏(SpringPathのCTO)とKrishna Yadappanavar氏だ。

 SpringPathはソフトウェアだけを手がけるHCI企業である。VMwareのハードウェア互換性リストに準拠するコモディティx86サーバを利用することで、完全なHCIソリューションを作り出している。vSphereが必要なVMware VSANと異なり、SpringPathはさまざまなハイパーバイザやコンテナソフトウェアと連携する。

提供:SpringPath
提供:SpringPath

Platform9

 筆者がPlatform9のチームと初めて話をしたとき、彼らはひっそりと製品戦略を開発しているところだった。同社のソリューションは、「VMware Lab Manager」を失ったことによるフラストレーションから生まれた。VMware Lab Managerは、開発者やインフラストラクチャが仮想マシンリソースのプロビジョニングを行うために使用していたセルフサービスポータルだ。VMwareがクラウド中心の技術に戦略を移行させるにしたがって、Lab Managerは軽視されるようになった。vCloudはあまりにも複雑すぎることが判明したため、Lab Managerの喪失によって、使いやすいラボプロビジョニングツールがなくなってしまった。

 Platform9の4人の幹部は、以下の元VMwareエンジニアによって構成されている。

  • CEOのSirish Raghuram氏
  • 製品担当バイスプレジデントのMadhura Maskasky氏
  • エンジニアリング担当バイスプレジデントのRoopak Parikh氏
  • チーフアーキテクトのBich Le氏

 その後、Platform9はLab Managerの代替品を作るというピンポイントな目標から離れていった。同社の手がける製品は、管理レイヤをPlatform9にアウトソーシングすることで、「OpenStack」を迅速に展開できる機能を顧客に提供する。Platform9のクラウドベースのサービスでOpenStack管理機能を提供するので、ユーザーは複雑なOpenStackの管理に頭を悩ませる必要がない。また、OpenStack APIによって、経営チームがOpenStackの習得に苦戦することなく、開発者はリソースのプロビジョニングを行うことができる。

提供:iStock/Eugene Sergeev
提供:iStock/Eugene Sergeev

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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