データセンターの技術は、ゆっくりではあるが、ハードウェアベースからその多くをソフトウェアベースとするモデルに移行している。VMwareもこの流れに加勢する企業の1社だ。
IntelやCisco、EMCの行く末を案じるのはまだ早い。ハードウェアあってこそのデータセンターやクラウドであることはVMwareもよくわかっている。しかし、仮想マシン(VM)技術がサーバ分野に衝撃を与えたように、ソフトウェア定義ネットワーク(Software Defined Network:SDN)やソフトウェア定義ストレージ(Software Defined Storage:SDS)がネットワークやストレージハードウェアの売り上げに影を落とし始めているのも事実だ。
これを裏付けるべく、VMwareも米国時間8月31日の報道発表の中で、Research and Marketsによる調査結果を紹介している。SDDC市場は2015年の217億8000万ドルから、2020年までには771億8000万ドルに成長すると予想されるという。
同社は、ソフトウェア定義データセンター(Software-Defined Data Center:SDDC)分野の以下の製品群を発表した。
- VMware vRealize Operations 6.1--プライベートクラウドからの移行や、ハイブリッドクラウド向けのテクノロジの導入を進める企業に向けて、一貫性のある管理フレームワークを提供できるように設計されている。新しいIntelligent Workload Placement機能により、VMware vRealize Operationsはユーザー固有のIT/ビジネスニーズとワークロードとの整合化を図り、最適な配置ロケーションを提案してくれる。さらにProactive Rebalancing機能により、継続的にこれらのニーズを満たすこともできる。またOSとアプリケーションのモニタリングをVMware vRealize Operationsでネイティブに行えるほか、予測分析の活用により、統合的な自己学習管理ソリューションを介してインフラおよびアプリケーションスタックでの障害を先行して特定し、事前回避も可能になる。
- vRealize Log Insight 3--新機能として、1秒間に収集できるメッセージ数が2倍の1万5000に向上したほか、クラスタリングにより耐障害性が改善された。また、新たなチャートオプションやクエリスナップショットによる分析機能の強化や、VMware vRealize Operationsとのより密な統合、ビッグデータ処理によるクエリ性能の向上も含まれている。
- VMware Integrated OpenStack 2--OpenStack Kiloを基盤としている。VMware Integrated OpenStackはvCloud Air Networkプログラムを通して、サービスプロバイダ向けにも提供される予定。
- VMware Site Recovery Manager 6.1--VMware NSX 6.2との統合により、ITチームによる仮想ネットワークの活用を促し、ディザスタリカバリ管理の効率化と、SDDC環境でのリカバリの加速化を実現する。また、Cross vCenter vMotionのサポートにより、サイト間でのVMの大規模なライブマイグレーションを管理でき、ダウンタイムの無い災害回避やデータセンタ移行を可能にする。VMware vSphere Storage Policy Based Managementとの相互運用も可能だ。EMC VPLEX、IBM San Volume Controller、Hitachi Virtual Storage Platformを含むクラスタソリューションへのサポートも提供予定。
- VMware vSphere APIs for IO Filtering--Asigra、EMC、Infinio、PrimaryIO、サムスン、SanDisk、StorageCraftなどのエコシステムパートナーが、サードパーティー製のソフトウェアベースサービスとしてレプリケーションやキャッシングなどを提供できるようにする。これらのデータサービスはvSphereに完全統合され、vSphereのすべてのSoftware-Definedストレージサービスの管理と同じvSphere Storage Policy-Based Managementのフレームワークで管理される。
- VMware NSX 6.2--企業は、ディザスタリカバリの際のアプリケーションの継続性や、複数のデータセンタ間でのリソースの効率的な活用を可能にするメトロプーリングを実現させることができる。NSXでは、リカバリタイムの目標短縮値が最大80%となっている。物理インフラとより密に統合ができるようにもなった。
多くがまだ発展途上の技術であることにVMwareが触れていないことに注意されたい。機能するかと問われれば答えは「イエス」だろうが、VMwareエンジニアによる多くの支援を受けずに機能させられるかは、別の問題である。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。