「OpenStackエコシステム以外との連携こそ要」:OpenStack Summit2日目 - (page 2)

松下康之

2016-04-28 12:46

 次のゲストはGoogleのアーキテクトと新興の大規模LinuxディストリビューションベンダーであるCoreOSの最高経営責任者(CEO)だ。CoreOSのCEOであるAlex Polvi氏はオースチンで開かれた第1回目のOpenStack Summitの参加者75人の内の1人で、早くからOpenStackを支援していたという。まずはGoogleのアーキテクトが社内の分散クラウドインフラを構築した経験を紹介し、それと同じような構造のインフラをコンテナ上に配置したOpenStackで動かすというデモを実施した。

 これは #GIFEE(Google’s Infrastructure For Everyone Else)とCoreOSが呼ぶ、Googleのインフラをコンテナ管理技術「Kubernetes」を利用して再現するもので、OpenStackに必要な複数のプロセスを格納したPodを停止しても自動的に立ち上がるセルフヒーリング機能をみせるためのデモであった。

 OpenStackそのものはPythonで書かれたアプリであり、それはKubernetes側から見れば1つのプロセスとして認識することにより、稼働や停止などをTectronicのコンソールから行うというものだ。より詳しいデモはCoreOSが開発しているTectonicのページでみて欲しい。実際に行ったデモがそのまま再現されている。このデモではOpenStackのコンソールであるHorizonがV2からV3に瞬時に入れ替わることでアップグレードも容易になることを示した。


Googleのインフラをコンテナー上で模倣するデモ

 Mark Collier氏の意図とすれば、OpenStackのアップグレードが難しいという問題に対する1つの回答をコンテナーとKubernetesを使った全く新しい発想を利用することで可能性を示したということだろう。

 次に登壇したゲストはシスコのLew Tucker氏だ。シスコのクラウド事業の最高技術責任者(CTO)として事業を推進するTucker氏だが、ここでもOpenStackだけではなくOPNFVやCloud Foundry、FD.ioといった外部の組織、製品とのコラボレーションが重要であるというテーマを強調する内容になった。


OpenStackとその他のイニシアティブとの連携

 次にインテルのコントリビュータが登壇しOenStackClientと呼ばれるコマンドラインインターフェースを統合したクライアントを紹介し、OpenStackのユーザーエクスペリエンスを改善するプロジェクトを紹介した。その後、台湾で行われたOpenStack Application Hackathonを紹介。そのハッカソンで優勝したチームが登壇し、ギターを弾く際の腕の筋肉の動きをセンサで計測し、そのデータを可視化するというデモを実施した。


台湾のハッカソンチームのデモ

 ここで登壇したのはinwinSTACKという台湾のベンチャーで、前回の東京サミットでOpenStack FoundationのGoldメンバーになった企業だ。今回は台湾だけではなく中国からの参加者やブース展示が多数あり、台湾、中国においてもOpenStackが大きなモメンタムになっていることを感じさせるデモであった。

 次に地元であるテキサス大のテキサスアドバンスドコンピューティングセンターのHPC事例を紹介され、インテルのオープンソーステクノロジーセンターのGMのプレゼンテーション、OVHの紹介などが続いた。

 9時に始まり、11時近くまで約2時間のキーノートだったが、次々と登壇するゲスト、さらに短い動画やデモなどを交えたメリハリのある構成によって飽きさせない辺りにOpenStack Foundationの経験を見た気がする。

 全体を通して通底していたのはOpenStackだけではなくさまざまなソフトウェアとの連携が必要だというメッセージだ。コアのプロジェクトからビッグテントに枠を拡げることで機能を拡充し、IoTにおいてのインフラとしても実績を紹介し、台湾や中国からコミュニティへの参加を見せつけることで、OpenStackがより大きな流れになっていることを実感させるキーノートであった。

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