プライベートクラウドのIaaS環境構築管理ソフトのデファクトスタンダードともいうべき、OpenStackのカンファレンスが米国テキサス州オースチンで始まった。2016年4月24~29日に事例紹介や最新のプロジェクトアップデート、プロダクトのトレーニング、そして開発者のため議論の場として例年、非常に盛り上がるカンファレンスである。
AustinSummitのロゴ いかにもテキサスっぽい
今年からOpenStackの管理者のための認定試験も開始され、いよいよ本番運用に入ったことを予感させるカンファレンスとなった。また次期バージョンのためのスペックなどを議論するデザインサミットも同時に開催され、ソフトウェアを開発する側にとってもユーザー視点での情報共有が可能になる。またOps Meetingに代表されるように運用する側にも有用な情報収集と議論の場でもある。
冒頭のキーノートではOpenStack FoundationのエグゼクティブディレクターであるJonathan Bryce氏が登壇、13回目となる今回のサミットにおいて東京開催時の5000人を超える7500人以上の参加者が60カ国から参加し、OpenStackがITインフラとしてモメンタムを獲得していることを宣言した。参加者の多さと同時にコミュニティーとして多様性を重要視していることがわかるプレゼンテーションからスタートした。
OpenStack FoundationのJonathan Bryce氏
次に登壇したのはGartnerだ。必要とする特性が違うことを強調した上で、レガシーなアプリケーションを“モード1”、クラウドに特化したアプリケーションを“モード2”と称してそれぞれが必要とするプラットフォームが異なると説明した。OpenStackはプラットフォームとしてまずはモード2のアプリケーションをサポートすると解説。
GartnerはかつてOpenStackがエンタープライズのインフラとしては未熟であると断言したということだが、ここに来てOpenStackがエンタープライズのインフラとしてデファクトスタンダードであることを認めた格好となった。モード1とモード2は排他的な関係ではなくモード2においてモード1のデータやAPIを活用する必要があるし、モード2として登場したアプリケーションもいずれはモード1の安定性と信頼性を獲得する必要があると解説した。
Gartnerによるモード1とモード2の位置付け