技術フォーカス企業にならなければ成長はない――Nike
VMwareは会期中、VMwareインフラ上にOpenStackを構築できる「VMware Integrated OpenStack(VIO)」の最新版を発表した。バージョン番号は3となり、4月に公開した「OpenStack Mitaka」を土台とする。
VIOとVMwareが2011年より進める「SDDC(ソフトウェア定義データセンター)」を導入している一社が、Nikeだ。O’Farrell氏に招かれてステージに登場したNikeのインフラオペレーション担当シニアディレクターMike Wittig氏は、「デジタルは成長に不可欠」と切り出す。
Nikeは直近の会計年度で320億ドルを売り上げたが、2020年に500億ドル達成を目標にしている。「成長で重要になるのがデジタル」とWittig氏、Nike.com、モバイルアプリのNike+、スニーカーに特化したアプリSNKRSなどがデジタルでの取り組みとなる。
Wittig氏らチームは2015年、デジタル強化にあたってNike.comを再構築した。データセンターも新しくするという完全なプラットフォーム刷新となり、これを機に自動化技術にOpenStackを導入することにした。そこでVIO採用に至ったという。
「他に選択肢がある中でなぜVMwareを選んだのか」というO’Farrell氏の問いに対し、Wittig氏は「新しい製品や技術で支援を必要としており、(VMwareの)専門知識が重要だった」と答えた。
既に結果は出ている。「Nike.comの売り上げとボリュームは過去最高に。Nike.comの総売上高は前年比39%で成長した」とWittig氏は胸を張る。さらにはNike.comを実店舗にも拡大することに。店舗用のアプリケーションを新たに開発し、店内のApple端末でこのアプリを使って顧客がNike.comで購入できるようにしているという。これによりゴルフシューズを探す顧客がランニングシューズ中心のNikeストアを訪問した場合も、店舗でゴルフシューズを注文できるようになり、顧客を逃すことがない。「デジタルの在庫がすべての店舗で利用できるようになった」とWittig氏。
なお、モバイルデバイス管理にはVMwareの「AirWatch」を利用しており、ネットワーク仮想化ソフトウェアであるNSXも導入しているという。今後は、その他のアプリケーションについてSDDC上に移行させたいという。
Wittig氏は最後に、これらは新しい技術であり、「理解している技術者を見つけるのは簡単ではないかもしれないが」と苦笑しながら、「目標に達成するためには、技術にフォーカスした企業にならなければならない」と述べた。