VMware&AWS共に詳しいパートナーだからこそできること
アマゾン ウェブ サービス(AWS)のパブリッククラウドと、VMware vSphereで構築した既存のオンプレミス環境を組み合わせて運用する企業が増加中だ。vSphere基盤はIT部門が中心に構築し、情報系システムを中心とした「守りのIT」を運用する。一方、AWSは事業部門(LOB)やR&D部門などが中心となって、スマホ向けサービスなど顧客に近い「攻めのIT」を実践する。このように、オンプレミスとクラウドのよいところを使い分けるハイブリッドクラウドは企業の主流になりつつある。
伊藤忠テクノソリューションズ
クラウドサービス本部
クラウドサービス企画開発部
エキスパートエンジニア
水上 貴博氏
水上氏はまず「近年はこうした構図がやや変化しています」と指摘した。「リフト&シフト」などの言葉のあるように、IT部門が管理してきたvSphere基盤をAWSなどのクラウド側へ移行し、AWSの各種サービスと連携しやすくする動きが本格化してきたのだという。そんななか、VMwareとAWSの共同ソリューションとして提供されたのが「VMware Cloud on AWS」だ。
「VMware Cloud on AWSは、従来のハイブリッドクラウドに存在していた課題を解消し、企業が攻めのITと守りのITを高度化させるための機能が提供されます。大規模ハイブリッドクラウドの決定版とも言えるソリューションです」(水上氏)
CTCは、2008年からVMwareの仮想化技術を用いたホスティングサービス「TechnoCUVIC」を展開し、ソリューションプロバイダー/クラウドサービスプロバイダーとしてVMware最上位のプレミアパートナーとなっている。また、AWSについても2012年からAWS構築運用サービス「CUVIC on AWS」を提供し、国内に8社しかないAPNプレミアコンサルティングパートナーでもある。「VMwareとAWS共に詳しいパートナーだからこそVMware Cloud on AWSの価値を引き出すサービス提供が可能です」と水上氏は主張した。
差別化ポイントはVMware Cloud on AWSとAWSとの連携性にあり
水上氏によると、VMware Cloud on AWSが解決するハイブリッドクラウドの課題は大きく3つある。それは「クラウドへの移行の際に仮想マシン(VM)の作り直しが発生すること」、「ネットワークレイテンシと帯域確保が難しかったこと」、「移行することでVMのポータビリティの低下を招くこと」だ。
VMware Cloud on AWSは、AWSのインフラ上でvSphere基盤が稼働し、AWSとは25Gbpsの高速ネットワーク(VMware Cloud ENI)で接続される。またVMware Hybrid Cloud Extension(HCX)という接続のための新しいツールも利用できる。これにより、オンプレミス側の要件さえクリアすれば、仮想マシンはそのままVMware Cloud on AWS上にリフト&シフトでき、同一リージョンで高速通信が可能になり、クラウドからオンプレミスvSphere基盤への移動も可能になる。
水上氏によると、具体的なユースケースは大きく4つに分けられる。まず、オンプレミスの災害対策(DR)サイトとして利用する「クラウドDR」と、オンプレミスのリソースの不足を補う「クラウドバースト」がある。加えて、クラウドをより活用するためのユースケースとしてオンプレミスにあるシステムをクラウド上へ移行する「クラウドシフト」、AWS機能を用いてビジネス環境に迅速に対応するためスケールアウトや廃棄を可能にする「オンデマンド」がある。
「VMware Cloud on AWSは、AWSと連携することでこの4つのユースケース全てをカバーします。このAWSとの連携性が大きな差別化ポイントです。よくVMware Cloud on AWSとAWSをコスト比較したいという声をいただくのですが、ポイントは、それぞれのコストの違いよりも、両者がそれぞれに連携しあう点にあります。両者をOr条件で選択することから、And条件で使いこなすマインドチェンジが重要になってきます」(水上氏)
VMware Cloud on AWSは単体では使うことができず、AWSの利用が前提であるのも、こうした連携性を踏まえてのことだ。