前回(2016年1月)まで「SDN Japan」の名称で行われていたネットワーク技術者会議「Open NetworkIng Conference Japan 2016」が、2016年10月21日、慶應義塾大学日吉キャンパス 協生館(神奈川県横浜市)にて開催された。本稿では、この会議のスポンサー講演で紹介された、Dell EMCのオープンネットワーキング・ソリューションを用いて構築されたベライゾンのNFVサービスについて解説しよう。
サーバーだけでなくスイッチもマルチOS。スイッチの民主化も今すぐそこに!
デル株式会社
インフラストラクチャ・ソリューションズ事業本部
ネットワーキンググループ統括部長
杉本直之氏
「Open NetworkIng Conference Japan」は、前回(2016年1月)まで「SDN Japan」の名称で開催されていたネットワーク技術者のカンファレンスだ。今回から名称を変更した背景には、SDN/NFV技術だけでなく、ネットワークを取り巻くオープン技術全般に議論の枠を広げるためだという。
今回の会議では、「Networking Solutions for the Future-Ready Enterprise」と題されたDell EMCの杉本直之氏による講演が、ベライゾンジャパンの生田隆由氏をゲストスピーカーに迎えてスポンサー講演として行われた。
講演の冒頭で杉本氏は、ネットワークの現状を次のように説明した。
「現在、ネットワークの世界はプロプライエタリからオープンネットワーキングへの過渡期にあります。従来のプロプライエタリなネットワークの世界では、ベンダー各社がそれぞれ独自の仕様でスイッチを開発していました。専用のASICを使ったハードウェアで専用のOSを動かし、専用の管理ツールで管理する。そのため、ベンダー間の異機種接続にはそれなりのノウハウが必要で、難しい部分も多々ありました。Dell EMCが目指すオープンネットワーキングとは、汎用のチップで作られたオープンスタンダードなハードウェアの上で、目的に合わせて自由にOSを選択し、自由にオーケストレーションできるネットワークです。サーバーの世界で行ってきたシステムインフラの民主化を、ネットワークの世界でも展開していこうというのが当社の考えです」(杉本氏)
※クリックすると拡大画像が見られます
ユーザーが多様なOSやソフトウェア、機能の追加を選択できるスイッチハードウェアを“ホワイトボックススイッチ”と呼ぶが、 Dell EMCが提供するスイッチは、Dell EMC自身のOS10、OS9といったネットワークOSに加え、Big Switch、Cumulus、Pluribus、IP Infusionなどの他社のOSもサポートしている。SDNファブリック構築に長けたBig Switch、LinuxネイティブなCumulus、モニタリングを含めた仮想ネットワークをワンパッケージで提供するPluribus、WAN接続とMPLS/VPLSに強いIP Infusionといったように、ネットワークOSには、それぞれの特徴や得意分野がある。ちなみにDell EMCのOS10はLinuxベースのオープンネットワーキング型のOSだが、OS9はDell EMCが自社スイッチ専用に提供する従来型のネットワークOSだ。プロプライエタリからオープンへの過渡期にある今は、従来型OSも選択できることが強みになる。
※クリックすると拡大画像が見られます
共通のプラットフォームの上で広範囲な選択肢を提供するというDell EMCの戦略は、スイッチだけでなく、サーバーをベースとするNFV(ネットワーク機能仮想化)/NVO(ネットワーク仮想化オーバーレイ)ソリューションでも同様だ。VMware、マイクロソフト、レッドハット、OPNFVなどの仮想化基盤をサポートすることで、それらの上で稼働するさまざまなNFV/NVOソリューションが利用可能である。