ニフティクラウドの個性が生みだす富士通とのシナジー
-「ギブ&テイクの貢献」というのは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

これまで、ニフティクラウドは、ニフティ内部のサービスとして自分たちの開発力を武器にサービスを展開してきました。しかし、それだけでは限界があり、どうしても手を入れられるのはプラットフォーム部分までにとどまっていました。一方で、ご存じのとおり、富士通はハードウェア、ソフトウェアの開発から、システム全体のインテグレーションまでを手がけています。ここに、VMwareベースのパブリッククラウドである「ニフティクラウド」の価値を加えることで生まれるシナジーが、クラウドネイティブの世界観というものを、より発展させていくと考えています。
ニフティクラウド側も、富士通の技術力、開発力、営業力を活用していきますし、富士通側も「FUJITSU Cloud Service K5」や、デジタルビジネス・プラットフォームとして推進している「MetaArc」の拡充のために「ニフティクラウド」を活用していくことになります。
-富士通グループのクラウド戦略の中にあって、「ニフティクラウド」の個性となり得る強みは何だとお考えですか。
ひとつは「スピード感」でしょう。最新の技術やデジタルトレンドにタイムリーに追随していくフットワークの軽さは、これからもニフティクラウドの強みになっていくと考えています。
もうひとつは、FJCTは富士通の既存のパートナーだけでなく、これまで培ってきたさまざまなパートナーシップを通じて、富士通以外のチャネルにもリーチが容易な点だと思います。
また、より大きなものとしては、ニフティクラウドが「VMwareベースのパブリッククラウド」であるという点です。VMwareは、現在オンプレミスで非常に力を持った仮想化基盤であり、VMwareをベースとした「ハイブリッドクラウド」に対するニーズは強いのです。富士通では、主にプライベートクラウド向けのソリューションとしてVMwareを取り扱っていますが、VMwareを基盤としたインテグレーションの幅を拡大していくにあたって、パブリッククラウドとしてVMwareのノウハウを蓄積してきたニフティクラウドの存在価値は高くなると思います。
-では、これまでの「ニフティクラウド」のユーザーに対し、今後も変わらない部分として強調されたい点はありますか。
先ほど挙げた「サービス展開のスピード感」「VMwareベースによるオンプレミスからの移行のしやすさ」はもちろん、「高性能クラウド」「ホワイトボックスクラウド」といった、お客様から高く評価していただいているニフティクラウドの特長については、今後も継続して磨きをかけていくことをお約束します。
特に、クラウド内部の状態を可能な限りお客様にお伝えする「ホワイトボックス」化は、国内のお客様にとっては重要なポイントであり、外資系のクラウドベンダーに対する強みにもなっていくと考えています。
制約がなくなった「ステップ」を、顧客と共に成長する「ジャンプ」につなぐ
-FJCTとしてスタートした直後の4月下旬に「ニフティクラウド DeepLearning Powered by Zinrai」というサービスを開始されましたね。この内容についてお聞かせ下さい。
「ニフティクラウド DeepLearning Powered by Zinrai」は、富士通が提供するAIプラットフォームである「Zinrai」のディープラーニングに関する機能を、ニフティクラウド上のサービスとして利用できるようにしたものです。これを使うと、ビッグデータの蓄積と加工だけでなく、そこからディープラーニングによる後処理を行う流れまでを「ニフティクラウド」で完結できるようになります。

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例えば、近年、ニフティクラウドはIoTプラットフォームの提供も強化し、それを使ってどのように企業がデジタルトランスフォーメーションを実現していけるかというのを、コンサルティングを含めてサポートする体制を作ってきました。
IoTというのは、多くの企業にとって非常に新しい領域ですので、いざ始めるにあたって、お客様側で明確な目的や仮説を持っていらっしゃるようなケースは少ないのです。そのため、特に導入初期の段階では仮説と検証のPDCAサイクルを高速に回していく必要がありますが、膨大なデータの処理結果を人的リソースによってモデル化していくのには限界があります。そこで、ディープラーニングのようなAI技術が必要になるわけです。その際にも「ニフティクラウド DeepLearning Powered by Zinrai」をパーツの一部として活用していただけます。
-最後に、新たなスタートを切った「ニフティクラウド」は、今後の5年、あるいは10年で、どのように進化していくのでしょうか。
まず、確実に言えることは、富士通の名を冠するグループの一員となったことで、限られていたリソースの制約から解放され、富士通全体の総合力で展開できるようになることが「ニフティクラウド」に大きな変化をもたらします。「三段跳び」に例えると、「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」の「ステップ」の段階に入ったわけで、それらを有効に活用して、営業力、開発力を強化し、非連続の大幅な成長を果たしていきたいと考えています。
現在、ICTそのものの潮流も大きな転換点に差し掛かっていると認識しています。これまで、ICTの普及が進んでいなかったところも含め、あらゆる業種業界に「クラウド」の浸透が進んでいます。これからの5年は、その上で、IoTのようなテクノロジーをどう活用し、デジタルトランスフォーメーションを実現していくかというのが、われわれを含むすべての企業にとっての課題になるはずです。その結果としての成功が「ジャンプ」になるのではないでしょうか。
FJCTは、ニフティクラウドを通じ、デジタルの時代にお客様に信頼され、一緒に成長していけるパートナーになりたいと考えています。