SPARC/SolarisベースのIaaS「FUJITSU Cloud Service U5」が登場、真に基幹系システムを動かすクラウドの条件とは

SANストレージを採用し
基幹系に必要な性能と信頼性を確保

怒賀新也
ZDNet Japan 編集長 怒賀 新也

怒賀 具体的にU5のクラウドはどのような構成になっていますか?

吉山 U5は高性能、高信頼なUNIXサーバー「SPARC M10」を使ったIaaSです。SPARC M10は、すでに海外も含め数多く稼働しており、二重化などの高信頼性、可用性構成でこれまでにハードウェア故障による業務停止が1回も発生していない堅牢なサーバーです。

 また多くのクラウドではストレージにNAS(Network Attached Storage)を使っていますが、U5では信頼性を高めるためにあえてSAN(Storage Area Network)を採用しています。NASだとストレージIOのパケットが通信ネットワークを通ります。U5ではSANで通信ネットワークと経路を分け、IO帯域とレイテンシーを確保しています。SANストレージではサーバーからブロックデバイスに見えるので、Oracle Automatic Storage Managementを使いOracle Real Application Clusters(RAC)の構成もとれます。ここも他のクラウドとは異なります。

 OSにはSolarisを採用し、仮想化機能は「Oracle VM Server for SPARC」を利用しています。富士通とOracleは長い年月に亘る強力な協業体制があり、エンジニアの交流も盛んです。富士通にはSolarisの開発エンジニアもおり、自前のOS、自前仮想環境と同様のサポートが可能です。つまりハードウェアを含めオール富士通体制でサポート、運用できるのもU5の強みです。

怒賀 実際にパブリッククラウドを利用し始めると、データベースの性能が十分に発揮できないなどクラウドの限界的な話も聞こえます。一般のクラウドサービスとU5を比べると、性能などでどのような差があるのでしょうか?

吉山 通常のパブリッククラウドではリソースが共有されます。そのせいで十分な性能が出なかったり、突然性能が劣化したりします。ある日は夜間バッチが終わったのにある日は終わらない、あるいは月末は処理が遅いといったこともあります。

 U5も仕組み的には他ユーザーの影響を受ける可能性もありますが、富士通ではそういった影響が出ないようサーバーやストレージの配置を技術者の手で最適化しています。それではクラウドらしくないと感じるかもしれませんが、きめ細かい対応があるからこそ基幹系システムに求められる性能や信頼性を実現できるのです。

SPARC/Solaris環境をIaaSとして提供 SPARC/Solaris環境をIaaSとして提供
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基幹系システムを構築してきた
エンジニアのノウハウも注入

怒賀 富士通が持つ基幹系システム運用ノウハウについて、もう少し詳しく教えてください。

吉山 各種業務システムを構築してきたノウハウが富士通にはあります。高い可用性が必要と言っても、金融業の求めるものと製造業、流通業の求めるものは異なります。金融では可用性において二重化ではなく三重化が必要かもしれません。製造業では二重化しているけれど、実際はシングルでも十分な場合もあります。そういった業種ごとの違いが、SEの頭にノウハウとして入っています。技術者の豊富なノウハウは、高い信頼性と可用性を求められる基幹系システムでは大いに役立ちます。

 また、SPARC/Solarisの基幹系システムはその環境に閉じているわけではありません。IAサーバーで動くさまざまなシステムとも連携しています。ハイブリッドなクラウドをどう組み上げていくかも、技術者のノウハウが役立つのです。

怒賀 U5ならではの特長を改めて教えてください。

吉山 まずは富士通のUNIXは信頼性の高さが特長です。壊れにくいので、お客様のもとではかなり古くなったSolaris 8のシステムが動いていることもあります。U5はそのような古い環境もそのまま動かせます。

 U5では仮想化にOracle VMを活用しています。Oracle VMの良いところはリソースのオーバーコミットの概念がないことです。なのでシステムに割り当てたリソースが占有でき、これにより基幹系システムにも適した性能を発揮できます。これは基幹系のシステムを動かす上では重要です。

 もう1つの特長が、純粋なIaaSなのでユーザーからはOSが生で見えることです。そのためオンプレミスで利用しているソフトウェアを利用することで、運用管理をクラウド向けに変更する必要がありません。AWSでは管理が独自の仕組みになりますが、U5では運用管理も顧客が自由に選択できるのです。

関連情報

Solarisの市場を継続しさらに広げていくのが富士通の責任

提供:富士通株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2017年5月31日
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