HPが呼びかける、今できるサーバー節電術--費用ゼロでも可能な方策はある

2.最適なパワーサプライを選ぶ

 2つ目は、パワーサプライの見直しだ。

 HPが社内データで調査した一般的なラック型サーバーの消費電力の内訳を見ると、多いものから順にCPU(30%)、メモリ(11%)、HDD(6%)と続くが、「その他」に分類されるものが44%にも達する。この「その他」の中に、パワーサプライにおけるAC-DCの変換ロスや冷却ファンが含まれている。

しかも、パワーサプライは供給できる能力に対して100%に近いほど効率が良くなるため、「ちょうどいいサイズで、交流・直流の変換効率の優れたパワーサプライを適宜選択することがポイント」と山中氏は指摘する。

パワーサプライは供給できる能力に対して100%に近いほど効率が良くなる パワーサプライは供給できる能力に対して100%に近いほど効率が良くなる

 HPのProLiantシリーズの場合だと、パワーサプライ部分の筐体がコモンスロット化(共通化)されている。460W・750W・1200W・-48VDCの各容量を必要に応じて換装できるようになっているので、サーバーに搭載されているCPUやメモリのリソースを計算すれば、適切な(ぎりぎりの)パワーサプライを選択できるようになる。

また共通スロット化を行ったことにより、これまでモデル別に開発していたパワーサプライを統合できたため、集中的に開発投資ができるようになり、HPでは業界最高レベルの高効率パワーサプライを独自設計することが可能になった。そのほとんどが国際的な電源格付け団体80PLUSプログラムにおける80 PLUS Goldか80 PLUS Platinum(最高位)のグレードを取得している。

 「コストの面から、電源部分をゼロから開発をしようとするメーカーは少数派だった」(山中氏)というが、こうした高効率な電源を選択することは、今後は必須の流れとなっていくだろう。

3.CPUは、処理に合わせてクロック数を変更

 3つ目のチェックポイントがCPUのクロック数の制御だ。

 「クロック周波数と消費電力は比例するため、処理に合わせてクロック周波数の変更を行うと劇的に消費電力が改善します。3GHzクラスのCPUが搭載されていても、利用率が低い場合には2GHz程度に動的に変更させることで、チップ自体の消費電力を3分の2に削減できるのです。利用率を監視しながらクロックを動的に変更する、HP パワーレギュレーターという機能が、『HP Integrated Lights-Out 3(iLO3)』に実装されています。」と、山中氏は言う。

 従来、このiLO3は、サーバーの電源や各種設定などを遠隔操作するチップとして知られているが、クロックを制御するパワーレギュレーターは隠れた機能としてあまり知られることはなかった。これにより、パフォーマンスを犠牲にせず、更に消費電力を下げることが可能となる。

 さらに山中氏は、「夏の強制的な電力使用制限時に非常に有効なのが、『Dynamic Power Capping』という機能です」と強調する。サーバー単体やサーバーグループでの使用電力の上限を動的にキャッピング(頭打ち)し、もし上限を超えた場合はiLO3が強制的にクロックを低下させて0.5秒以内で設定値内に制御する。「サーバーのみならず、一般的な機器は電源ONを行うときなど、瞬間的に大きな電流が流れます。その瞬間的な電流は許容することが一般的で、3秒以上過電流が流れないと多くのブレーカーは動作しません。また、パフォーマンスが低下しすぎない設定も可能で、何より電力の総量規制は確実に維持することができます」(山中氏)

 パワーレギュレーターは追加ライセンス不要で、Dynamic Power Cappingはオプションの「Advanced Pack」ライセンスを適用していれば多くのiLO2、iLO3搭載モデルで利用可能だ。「ほとんどのお客様がAdvanced Packを利用しているのに、せっかくの機能をご存知ない場合が多い。ぜひパワーレギュレーター機能やキャッピング機能を知って、夏に向けて活用していただきたいのです」と山中氏は願う。

(ダウンロード資料:HP ProLiant サーバーの消費電力上限(HP Power Capping)および動的消費電力上限(HP Dynamic Power Capping)

説明 iLO3による動的消費電力上限(Dynamic Power Capping)機能。単体サーバーやサーバーグループの使用電力の上限をキャッピング(頭打ち)する
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