来年(2015年)7月に迫るマイクロソフト「Windows Server 2003」のサポート終了を、どのようなIT改革につなげるか――。この問題への答えとして、IBMが提唱しているのが、ハイブリッド・クラウド環境へのすみやかな移行だ。企業ITの導入・拡張、そして運用管理の負荷を大きく減らし、しかも、ビジネスの変化や新たなニーズへの対応力を増す。そんな環境作りを目指し、IBMは今、Windows Server 2003から新プラットフォームへの移行を進める企業に最善手を提示・提供している。
なぜハイブリッドが必要なのか
サポート期間終了が刻一刻と迫るWindows Server 2003。同サーバOSをベースにしたシステムを、どのようなプラットフォームに移行させるのが正解なのか――。
「クラウドファースト」の潮流の中で、おそらく、多くの企業がパブリッククラウド(以下、クラウド)を移行先の有力候補として掲げているだろう。確かに、システムのプラットフォームをクラウドに移行すれば、ITインフラの運用管理や基盤ソフトウェアの更新にユーザーサイドが煩わされることはなくなり、ビジネス要件に応じたITリソースの拡縮も自在に行うことが可能になる。ITの人的リソースが不足している企業にとっては、一見、クラウドへの移行が最良の選択肢に思えるはずだ。
だが、クラウドは基本的に、標準化されたプラットフォームやサービスを提供するための仕組みだ。標準化によってサービス料金が低く抑えられる反面、利用者固有の特殊要件に対応しづらく、特殊要件に対応するためのコストもかさむ。そのため、特殊性が高く、かつ、ワークロードの変動が少ないシステムをクラウドに移行させても、現状では、コストが増えるだけで大きなメリットはえられない。
さらに問題なのは、現時点では異なるクラウド間でのポータビリティが低いことだ。例えば、A社とB社のクラウド・サービス間で、データやアプリケーションをシームレスに行き来させることは難しい。したがって、万が一、契約しているクラウド・ベンダーが破綻したり、ビジネス戦略上の理由からサービス供給をストップさせたりした場合には、利用者のデータ資産・サービス(アプリケーション)資産が失われる可能性もゼロではない。たとえ、それらの資産を手元に取り戻せたとしても、他のプラットフォームへの移行に手間取り、ビジネス運営に支障をきたすおそれが強まるのだ。
東根作 成英氏
日本IBM
システム製品事業本部 x/Pureセールス事業部
製品企画・営業推進
システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト
System x担当
「そこで浮上するのが、プライベート・クラウド基盤を整備し、ハイブリッド・クラウド環境を構築するという選択肢です」と語るのは、日本IBMの東根作 成英氏だ。
「ハイブリッドの環境ならば、オンプレミスのシステムを媒介にして、1つのクラウドから他のクラウド・サービスに乗り換えることが容易になります。また、適材適所でオンプレミスとクラウドを使い分け、ワークロードの最適化やリスク管理とスピードの両立、IT投資効率のアップ、ピーク変動に合わせたキャパシティ調整なども可能になるのです。
ですから、Windows Server 2003ベースのシステムについても、無理にクラウドへの全面移行を推し進めたり、単なるOSの更新やハードウェアを入れ替えといった緊急避難的な対処療法に走ったりするのではなく、ハイブリッド・クラウド環境の構築を基軸にしたプラットフォーム作りを進めるべきです。またそれが、のちの大きなメリットにつながるのです」(東根作氏)